So-net無料ブログ作成

PM2.5関東「上陸」のウソ・ホント

PM2.5(2.5マイクロメートル未満の微小粒子状物質)といえば、今年の流行語大賞になりそうな話題の言葉です。メディアが薄暗い北京の映像を交えて報じることで、“尖閣にちょっかいを出す中国産の大気汚染”というイメージがありますが、本当に中国産なのか、と国内のPM2.5事情を明らかにしているのが『日刊ゲンダイ』(4月5日付)の「純国産PM2.5が危ないエリア」という記事です。

メディアは「PM2.5が関東上陸か」という報じ方をします。しかし、そのような報じ方では、PM2.5はもっぱら中国から来るものであって、本来日本にはなく、これまでもそんな心配はなかったという解釈もできてしまいます。

ほんとうにそうなのか。同紙では、先月、基準値超えを記録した神奈川県に取材しています。
純国産PM2.5が危ないエリア
「神奈川県では、3月7日に県内5カ所、8日に3カ所、そして9日には17カ所で、PM2.5が環境基準を超えました。ただ、このくらいのことは珍しくありません。平成23年度からPM2.5の観測を続けていて、大体1年間に10日くらいはあります」(同県環境農政局環境保全部大気水質課)
 中国のPM2.5が注目されたのは最近なのに、2年前から10日間は基準超え? ということは、国内にももともとPM2.5は存在してきたということか。
「PM2.5が中国由来か、日本のものかはよく分かりません。ただし、たとえば3日連続で環境基準を超えた測定局3つのうちのひとつ、(川崎区池上新田公園前)は臨海部の工場地域に近く、高速道路が通っていて、工場の噴煙や車の排ガスの影響を受けやすい。この測定局は国内の影響が強いといえるでしょう。測定値は40マイクログラム前後でした」(同課)
とにかく、PM2.5問題は以前からあり、かつ基準値を超えることもあった。もし今問題にするのなら以前から問題にしてもおかしくはなかったということです。

神奈川県では、川崎区池上新田公園前のほか、川崎区役所大師分室、宮前平小学校前などの測定値で基準値超えを記録しています。

川崎区池上新田公園。軟式野球場、遊戯広場などがある公園です。すぐ近くに産業道路(上が首都高横羽線)があり、周りは工場です。

そういえば、産業道路の歩道橋には、煤が固まったコールタールのようなものがべったり分厚く貼りついているのですが、こんなものを吸っていたらたまんないなあ、などと思ったものです。

川崎区役所大師分室。川崎大師にある大師公園のすぐ近くです。大師公園には長い、いわゆるコロコロ滑り台があり、親子連れがたくさん来ています。

コロコロ滑り台

神奈川の3月の最高値52.6マイクログラムを記録したのは伊勢原市谷戸岡公園。ここも国道246号と東名高速に挟まれたエリアです。

同紙は都内82カ所の測定場所においても、「先月28日は一般局だけでも1日平均の基準値35マイクログラムを超えた場所が、神田司町、晴海、港区台場、品川区豊町、大田区東糀谷、渋谷区宇田川町、板橋区本町、練馬区練馬の8カ所もあった」ことを指摘。

要するに「上陸」しようがしまいが、とっくに基準値超えで存在していたのです。

以前、このブログで「PM2.5問題、緊急性とリスクは?」という記事を書きましたが、中国産であることを強調する報道に「今、なぜ?」という問いかけを私はしました。

それに対して、「これでPM2.5が知られるようになったのだからその点ではよしとすべき」という意見もありました。たしかにそれも言えないことはありません。

ただ、それ以上に、マスコミの報じ方で国民の認識や価値観が振り回される、ということに私たちはもっと懐疑や憤りの気持ちを持ってもいいのではないかと私は思うのです。

もし、日中関係や国民感情が今と違っていたら、PM2.5は少なくともこれほどセンセーショナルには報じられなかったのではないでしょうか。むしろ純然たる公害(大気汚染)としてだったら、報道は抑えられたかもしれません。

PM2.5を、「大気汚染の問題」ではなく「『ナショナリズム』の問題」にすり替えてしまうことについて、私たちは何の疑問も抱かなくていいのでしょうか、ということです。

少なくとも、純国産のPM2.5をまき散らしている原因と責任から国民の目を逸らすことにつながっているからです。

アスベストにしてもBSEにしてもそうですが、様々な事情から、あるときまではずっと伏せておき、いったん報じたら今度はセンセーショナリズムで国民を右往左往させる。今回もそれと同じパターンではないかなと私は思うのです。

酸性雨から越境大気汚染へ (気象ブックス)

酸性雨から越境大気汚染へ (気象ブックス)

  • 作者: 藤田慎一
  • 出版社/メーカー: 成山堂書店
  • 発売日: 2012/04/04
  • メディア: 単行本

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
スポンサードリンク↓


nice!(339)  コメント(28)  トラックバック(0)  [編集]
共通テーマ:学問

nice! 339

コメント 28

昆野誠吾

全く同感です。
いきなり湧いて出た物質ではなく
以前から存在している物質。
情報弱者である一般国民を操作するのは
たやすいことでしたが、ネット時代の到来により
簡単ではなくなってきましたよね~
by 昆野誠吾 (2013-04-06 15:28) 

レイン

同感です。
情報リテラシーを高める必要がありますね。
by レイン (2013-04-06 15:54) 

motosoft

池上彰さんの解説番組で、Particulate Matter 2.5 の話題を取り上げた際に視聴してして、石原前都知事がディーゼル車規制を打ち出した頃には大気汚染物質と総称で呼称していたものを、中国で発生したものには英語の呼称をしたものだから、黄砂のように中国固有の物質と誤解されていると述べていました。
情報操作が行われているのかもしれませんし、偶然なのかもしれません。
  We have PM 2.5.
by motosoft (2013-04-06 16:25) 

isoshijimi

そうですよね。
むしろ今まで語られてこなかったということはもともとリスクが小さいのか、それとも、隠したかったことなのか…
疑念が出てきてしまいますね。
たまたま読んだ、先月に発売されたNewtonにもPM2.5のことが載っていましたので、少し知識入れてです(笑)

by isoshijimi (2013-04-06 16:28) 

繭

なんと!PM2.5なんて知らなくて、本当に中国の汚染物質だと思ってました。。

>あるときまではずっと伏せておき、いったん報じたら今度はセンセーショナリズムで国民を右往左往させる

鳥インフルエンザの死者〇名、と公表した時点で、中国のことだから〇名×10とかそれ以上だろうって言ってる人もいて、まったくだ!と思ってましたが、日本も同じですかぁ( ̄。 ̄ )ボソ...


by (2013-04-06 16:33) 

ryuyokaonhachioj

ここ、PM2.5の問題が浮上してきて
なんか心配ごとが増えるようです。
飛散物を何とかしないとね~。

by ryuyokaonhachioj (2013-04-06 17:02) 

muk

メディアの報道のしかたは、「うれんかな」の部分があったり、ナショナリズムが影響していたりと偏りがありますね。
いっぷくさんのブログのような発信がとても大切に思えます。

by muk (2013-04-06 17:05) 

K

「PM2.5」 正直、最近知った言葉です。
以前からあったとは・・・
by K (2013-04-06 18:12) 

ヨッシーパパ

確かに、最近の報道ではPM2.5 イコール 中国産と勘違いしてしまいます。
by ヨッシーパパ (2013-04-06 19:04) 

なんだかなぁ〜。横 濱男です。

中国のPM2.5出騒ぐようになったから、
情報を公開した?のかな???
中国のがなければ、ダンマリ??作戦。

害のある問題は公表して欲しいですね。


by なんだかなぁ〜。横 濱男です。 (2013-04-06 19:22) 

yu-papa

作り話の様なニュースは
いけませんのいけませんです(凹)
by yu-papa (2013-04-06 19:57) 

chima

そういわれてみれば中国から飛んできたと
思わせられてしまうような報道でしたねー
踊らされないようにしなくては
by chima (2013-04-06 22:05) 

あるまーき

そう言えば、タバコの煙にも大量のPM2.5が含まれているという話がありますね。「化石燃料などの燃焼で発生する」というのなら、いくら排ガス基準が厳しくなっても、多かれ少なかれどこの国でも発生しているはずですから、そのあたりに関しては、決めつけずに冷静に考えてみることが大切ですね。
by あるまーき (2013-04-06 22:17) 

cheese999

国民は政府に目隠しされている???のでしょうか。
by cheese999 (2013-04-06 22:36) 

藤並 海

確かタバコの燃焼時に発生する煙もPM2.5でしたよね
ニュースだけを鵜呑みにしていたら
いつかひどい目にあいそうです
by 藤並 海 (2013-04-06 22:41) 

green_blue_sky

国内産もあるんだ・・・
by green_blue_sky (2013-04-06 22:56) 

みずき

川崎といえば公害で有名でしたもんね。
国内産よりも中国産の方が
攻撃しやすいってのがあるもかも・・・
by みずき (2013-04-06 23:09) 

ナベちはる

国内産のPM2.5もあるとは、知りませんでした…
by ナベちはる (2013-04-07 00:49) 

まお

川崎の工業地帯は煙モクモクなので、大気汚染の心配してました。
すでに2年前から基準値越えしていたとは驚きです^^;
by まお (2013-04-07 00:57) 

爽

環境省の見解は、以下のリンクの中にありますが、長期的にはPM2.5は減少傾向にあるようですね。

http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html
by (2013-04-07 01:11) 

月夜

歴史は繰り返されるというか、一昔前の日本も大気汚染酷かったですからね。今もヘタすると怖いですが。そういう悪いお手本があるのに、またも発展途上や先進国で大気汚染がというのはもっとみんなで協力しようよおおおと思います。いろんな柵で難しいのでしょうが。
by 月夜 (2013-04-07 01:55) 

ryuyokaonhachioj

暴風は、如何でしたか?
こちらは、それほどではなくて良かったです。
これから雨が降る予報ですけど・・・。
by ryuyokaonhachioj (2013-04-07 05:47) 

moto_mach

報道する人たちも良く解っていないんでしょうね
by moto_mach (2013-04-07 06:33) 

やおかずみ

我が国も昭和40年代は、今の中国の状態だったのでしょうね。
by やおかずみ (2013-04-07 10:00) 

ikamasa

こんにちは。大陸に目を向けさせられたけれど、じつはじぶんの足元がすでに危険な状態に……ということなんですね。この分野の研究は行政なのでしょうか。ある程度の情報はじぶんで集めることがあたりまえの世の中になってきたんですね。
by ikamasa (2013-04-07 10:26) 

PATA

川崎在住なので人事とは思えません。
以前からあったのなら
マスコミはナショナリズムに踊らされず
真実を報道して欲しいですね。
自分で情報を集めなければいけない時代になりましたね。
by PATA (2013-04-07 10:40) 

macinu

世の中の仕組み、為になりました。
by macinu (2013-04-07 13:43) 

すずめちゃん

福岡でも去年の方が多かったのにという報道があります。
マスクをつける人たちが急増。世論操作は成功したようですね。
by すずめちゃん (2013-04-09 06:17) 

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます