So-net無料ブログ作成

がんもどきを捨て、医療の現実を見つめさせる『医療否定本の嘘』

医療否定本の嘘

『医療否定本の嘘』(勝俣範之著、扶桑社)という書籍が話題で、今日はとうとう急上昇キーワードにランクインしました。内容は、近藤誠氏の「がんもどき」理論の批判です。すでに批判は以前から行われていましたが、急上昇キーワードになるということは、いまだに「がんもどき」理論をナイーブに信奉する人が多いということでしょう。



いわゆるオカルト・疑似科学のトークバトルが、やっと消えてくれた現在では、医学・科学陣営の最大の敵が、この「がんもどき」理論かもしれません。

今回のもととなるまとめスレッドはこちらです。
“がん放置理論”を提唱する「近藤理論」を放置してはいけない

勝俣範之医師が「がんもどき」理論についてインタビューに答えています。

近藤誠氏の「がんもどき」理論とは、

1.がんには、転移する能力を持っていないから放っておいても大丈夫な「がんもどき」と、早期発見してもすでに転移していて命を奪う「本物のがん」の2通りあるが、どちらにしてもがんは「放置」が一番良い

という説です。

最近はその矛先をとくに抗がん剤に定め、

2.抗がん剤を使わなければそこそこ延命できたのを、抗癌剤を使ったから苦しんで早く死んだ

という説が、一部大衆にウケている、というわけです。

1.については、このブログでも、私の意見としても、医師の著書などをひいても何度も反論を書きました。

【近藤誠氏の「がんもどき」理論言及記事】
近藤誠医師の「がんもどき」理論、生還の事実をどう見る?
『「医療否定」は患者にとって幸せか』の快哉と落胆
『「医療否定本」に殺されないための48の真実』の真相
『病気で死なない生き方33 普通の医師には教えられない』の真骨頂
「がんもどき理論は確実に間違っている」大場大氏の寄稿が話題に
『病気の9割は歩くだけで治る!』歩行が医者いらずの人生に!?

ひっきょう私は、「がんもどき」の信者は、重篤な病気の深刻な現実と向き合えない弱い人間や、身近な人を治療の甲斐なく亡くした経験のある人が、がん治療そのものを否定することで自分の気持に折り合いを付けるべく、今の標準治療を否定して「ガンは放置しろ」という「低きに流れる」説に飛びついているのだと思います。

がん治療は、部位、ステージなどにより、抗癌剤を使うのか使わないのか、使うなら何をどのような目的でどのように使うのかを判断するもので、そのガイドラインは伊達や酔狂で決められているわけではありません。

たとえば、大腸がんなら、リンパ節に転移があるかないかで切除する範囲も決まっていますし、年齢や体力によって、抗癌剤は使う場合も使わない場合もあります。

そして、患者やその家族が自らそれを拒むことだって出来ます。

セカンドオピニオンも、ずいぶん自由にできるようになりました。

にもかかわらず、「2」の、何と抽象的で韜晦的な例示でしょう。

「がんもどき」信者は、何かというと「2」を根拠とするのですが、まじめにやっている医療従事者が、よく怒らないものだと思っていました。

……と、思っていたら、このたび、医師の側から「怒れ」と書いているのが、本書です。

勝俣範之医師は、腫瘍内科医です。

私たち素人は、医師というと、心臓外科医や消化器外科医など、命に直接関わる手術を行う人達を花形のように思いますが、腫瘍内科医は医師の中でもとくに勉強熱心な秀才といわれています。

その勉強熱心な立場から、勝俣範之医師は要約すると、近藤誠氏の「がんもどき」理論について、次のことを同書で述べています。

1.進行しないがんが存在するのは事実だが、それは最初から見分けることができないから、近藤誠氏が発見したがんを軒並み「放置」とするのは間違いであり乱暴である

2.そもそも、がんは「がんもどき」と「本物のがん」の2極だけでなく、中間層や例外にあたる「延命・共存できるがん」もあり、それは医学の進歩で増えてきているが、近藤誠氏の「理論」にその概念はない

そして、実はその「延命・共存できるがん」こそが、現在の医学では生存率、延命率を上げるキーワードになっています。

そうした現在の医学の課題や努力から、私たちの目を背けさせてしまう役割が、「がんもどき」理論にはあるわけです。

スポンサードリンク↓

あなたは病気になっても本当に「放置」できるんですか?


この「がんもどき」理論の信者はかなり強力で、このブログで取り上げるたびに、コメント欄が荒れました。

価値のある建設的な異論・反論ならいいのですが、結局は「信じたいものを信じる」だけの思考停止なものが多かったので、私はそれがきっかけで、このブログのコメント欄を閉じることにしました。

くだらないコメントは無視すればいいかもしれませんが、不寛容で神経質な私は、そういうのを見ると人間不信に陥ってしまうので、精神衛生上よろしくないと判断したからです。

ま、その意味では、私も、一部大衆の現実と向き合わない弱い人間かもしれませんね。

まあね、今は、「近藤誠氏のがんもどき理論は素晴らしい」などと言っていた人もたいていは、いざ自分が命を脅かす病気になれば、標準治療を受けるんですよ。

だったら、がんもどき理論に傾倒するエネルギーを、今の医学がどうなっているのか、何が出来て何が出来ないのか、その上で自分ならどんな選択をするかなど、前向きな知識吸収と心構えに向けたほうがいいのではないかと思います。

医療否定本の嘘

医療否定本の嘘

  • 作者: 勝俣 範之
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2015/07/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
スポンサードリンク↓


nice!(326)  コメント(5)  [編集]

nice! 326

コメント 5

うつ夫

白血病や悪性リンパ腫患者には迷惑な説ですね。
by うつ夫 (2016-04-14 23:12) 

レイコ

みんな手術とか抗がん剤とか、怖いのだと思います。
副作用とか色々言われてますからね。

by レイコ (2016-04-15 01:22) 

pn

楽に死ねるのはどっちだろう?と、生きる事より死ぬ瞬間を考えてしまう俺は弱い人間です(笑)
by pn (2016-04-15 06:31) 

taekozue

近藤氏の医療否定本は、以前読んだことがあります。
今度は医療否定本の嘘ですか。
本はあくまでも参考にする程度であって、
最終的には後悔のない選択をしたいですね。
その為にはいっぷくさんが言っておられるように、
自分自身で知識を吸収することって、
とても大事なことのように思います。
医学も急速に進んでいますよね。
腫瘍内科医っていうのは初めて知りました。
by taekozue (2016-04-15 11:15) 

赤面症

「がんもどき理論」とやらを選択しない者は、ボロボロの死が待っていると言わんばかりの決めつけが思い上がってますね。
医師に殺されるとか、抗癌剤に殺されるとかね。
それって自分が医師の選択、治療の選択をする自信がないだけの話でしょう。
昔は医事紛争は患者が勝てないとか言われてましたが、
今はカルテだって公開される時代ですよ。
だいいち医師の治療で助かったたくさんの人はどうやって説明つけますか。
いっぷくさんがいつも仰るように、
国民はいつも他者に依存ばかりして、
ないものねだりして文句ばかり言って
自分に何も責任を持たないところがあります。
自分の命と健康ぐらい自分で考えろって。
by 赤面症 (2016-04-16 00:12) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます