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『“東洋の神秘”ザ・グレート・カブキ自伝』入門から現在まで

ザ・グレート・カブキ

『“東洋の神秘”ザ・グレート・カブキ自伝』(ザ・グレート・カブキ著、辰巳出版)を読みました。昭和から平成にかけて日米をまたにかけて活躍したプロレスラーの、入門から現在までを述懐したものです。本名の米良明久時代、中堅選手の高千穂明久時代、そして、全盛期のザ・グレート・カブキ時代についてそれぞれ詳しく書かれています。



『“東洋の神秘”ザ・グレート・カブキ自伝』は、まあおそらくゴーストライターが書いたのだとは思いますが、かなり本人が熱心に関与して完成した本だと思います。

画像は全く無く、みっちり20万字近い文章が組まれています。

本人でなければ知り得ないエピソードが、それほどたくさん書かれているということです。

時系列や固有名詞などの間違いもありません。

昭和プロレスマニアにはたまらない回顧


さて、著者の米良明久は少年時代、力道山に憧れ、中学を出ると日本プロレスに入門します。

力道山時代の最後の入門志願者です。(実際に入門したのは、学校の卒業の関係で力道山の死後)

本書は、若手だった日本プロレス時代の、先輩・後輩の話や、道場の稽古がどうきついかなどが具体的に書かれています。

たとえば、グレート小鹿と山本小鉄、松岡巌鉄と大熊元司は合わないので、その組合わせはガチンコの試合になった。

星野勘太郎は巧かった。

魁勝司(北沢幹之)、ミツ・ヒライは、試合運びや技のかけ方など、自分にとって勉強になった等々。

昭和プロレスのマニアには、この件だけでもこたえられない内容です。

著者は日本プロレス時代は高千穂明久を名乗り、そうした先輩たちから鍛えられた若手のテクニシャンでした。

そして、アメリカ遠征に。

帰ってきて、ジャイアント馬場の全日本プロレスに合流します。

そこからまた渡米、帰国を繰り返し、テキサス・ダラスのマネージャーの要請で、ザ・グレート・カブキになります。

顔は、レスラーが従来行ってきた覆面ではなく隈取り。

ヌンチャクのパフォーマンスや毒霧など、それまでの怪奇派レスラーや日系レスラーにはない演出がアメリカで大ウケし、2年間トップレスラーに君臨します。

ジャイアント馬場の要請で、いったん全日本プロレスに復帰しますが、齟齬があり退団。

メガネスーパーが作った団体・SWSに移り、その後はいわゆるインディー団体といわれる弱小団体のリングにも上がった後、50歳でいったん引退します。

その後は、焼き鳥とちゃんこの店を開きましたが、先輩・星野勘太郎の要請がきっかけで、店が休みの日曜日だけ現役復帰し、今もプロレスと関わっています。

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面白かった点


本書を読んで、一般の社会にも通じる興味深いポイントが3点ありました。

義理が大切である


米良明久は、力道山死後の経営に不安がある時期に入門したため、いったん人員整理の対象となりました。

それが、幹部でのち社長の、芳の里淳三に「お前、残れ」と言ってもらったために首がつながり、その後の活躍につながりました。

それ以来、「義理は大切にしよう」と思うようになり、芳の里社長に対してはもちろんのこと、たとえば、アメリカで稼げたザ・グレート・カブキの全盛時代でも、ジャイアント馬場に「戻ってこいよ」と言われると、アメリカの仕事を打ち切って帰国しました。

そうした姿勢がプロモーターに信頼され、50年もレスラー生活を続けながら、カブキは契約のトラブルが全くありません。

自分のポジションをわきまえろ


高千穂明久は、自分の体格や実績などから、自分はトップにたつ人間ではなく、ひき立てる役なのだと認識し、坂口征二やジャンボ鶴田など、後輩の踏み台になりました。

しかし、自分の仕事を誠実に行う真面目な姿勢があってこそ、アメリカでザ・グレート・カブキという未知のキャラクターを花開かせたのだと思います。

プロレスラーというのは、実力の世界のはずなのに、野心家であり、かつジェラシーの強い生き物です。

後輩が自分より格上になると面白くないとか、試合ではタッグパートナーよりもいいところを見せようとか。

でも現在の自分の仕事をしっかりできない人に、チャンスは回ってきません。

入り口のハードルを高くするな


メガネスーパーが作った団体・SWSに移り、入門者の採用に関わるようになったザ・グレート・カブキは、やはり同じ権限を持つ若松市政と対立します。

若松市政は、入門テストと称して、スクワット○回、腕立て伏せ×回など、入り口にハードルを作りました。

しかし、自分が、体力もスポーツの実績もないところから入門したザ・グレート・カブキは、そうしたハードルを否定します。

できなければ、入門してからやれるようになるまで練習すればいい、テストでふるいにかけるのではなく、厳しい練習に耐えて残った連中がデビューすればいいのだ、といいます。

スクワットや腕立て伏せがたくさんできたからといって、レスラーとして成功できるかどうかなんてわかりませんからね。

実際に道場で練習させて、能力・適性を見ようというのは、誠に合理的であると思います。

私たちも、なにかチャレンジする時、勝手に「めやす」や「基準」を設けて、それに到達しないからと諦めてしまうことがありますが、やってみなければわからない、ということでしょうね。

その他


また、SWSでは、片山明という選手が、試合中にケガをして現在も車いすの生活ですが、

『元・新日本プロレス』、片山明の「快挙」はどう伝えるべきだったか

メガネスーパーの社長は、過去のプロレス団体にはなかった手厚い補償をしたこと。

そして、ザ・グレート・カブキの次女は、アメリカでピストルの暴発によって亡くなったという噂がありましたが、実は亡くなっておらず、車椅子生活にはなったものの、3人の子どもに恵まれているという新事実も明らかにしています。

以前、後楽園ホールで行われたザ・デストロイヤーのサイン会の帰りに、ザ・グレート・カブキの店に寄ったら、店は満員だったために入れず、諦めて出てきたことがあったのですが、カブキ夫人がささっと追いかけてきて、何度も謝りながら「これにお懲りにならず、またよろしくおねがいします」とカブキの名刺をくれました。

現夫人の話もあれば、なおよかったですね。

“東洋の神秘

“東洋の神秘"ザ・グレート・カブキ自伝 (G SPIRITS BOOK)

  • 作者: ザ・グレート・カブキ
  • 出版社/メーカー: 辰巳出版
  • 発売日: 2014/10/29
  • メディア: 単行本

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nice!(309)  コメント(15)  [編集]
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コメント 15

ナベちはる

おっしゃる通りだと感じました。

やらないことには結果についても何も得られないので、あらかじめ決められた基準・目安に達しなかったとしても諦めずにやることが大切だと思います。
諦めなければ、いずれはそこに到達するはずなので落ち込んでも挫折してはいけないですね。
by ナベちはる (2016-08-29 00:28) 

yamatonosuke

ザグレートカブキ、また懐かしいレスラーの登場ですね。毒霧には初めて見たときはビックリしました。今だにあの仕組みが分かりません。
by yamatonosuke (2016-08-29 00:44) 

うつ夫

娘さん、ピストル暴発でも九死に一生でよかったですね。
by うつ夫 (2016-08-29 01:06) 

関谷貴文

命が助かったのは一安心としても、
やっぱり銃社会は怖いです。

by 関谷貴文 (2016-08-29 01:15) 

HIDEe

ザ・グレート・カブキの毒霧は、プロレスを見なくなった今でも心に残ってますね。
間違いなく、プロレス界に風を送り込んだ人と思います。
by HIDEe (2016-08-29 01:25) 

扶侶夢

全日やSWSのみならず、新日のグレート・ムタ誕生にも大いに関係していたのでなかったでしょうか?
誰からも何処からも認められている方なんでしょうね。

世間と一緒で、名の露出の控えめな人ほど周りへの貢献度は高いようです。
by 扶侶夢 (2016-08-29 02:16) 

green_blue_sky

ニャンコは狭いところが好きですし、暑くはないです(^_^;)
by green_blue_sky (2016-08-29 05:59) 

プー太の父

プロレスそのものが私の記憶から
消えてしまっていたようなので
グレート・カブキなんて懐かしいですね。

by プー太の父 (2016-08-29 06:12) 

pn

自分の立ち位置をちゃんと分ってるんですね。
今いる場所で咲きなさいって誰かが言ってましたがその通りだと思います。咲いて無いけど(^_^;)
by pn (2016-08-29 06:34) 

Take-Zee

おはようございます!
毎回楽しく、懐かしく拝見しています。
グレートカブキも懐かしく思い出しました・・・
カブキ、意外と強く、頑張ると絵の具が流れるんです。

by Take-Zee (2016-08-29 06:48) 

追いかけっ子

正直プロレスには全く興味が無かったのですが
ザ・グレート・カブキという名前には
かなり強いインパクトが残っています。
そういった意味ではかなりプロレス界に貢献された方だと思います。
当然なのでしょうがそういった成功を自らの手で作り出した方は
それ相当の大変な努力・忍耐をしたんですね。
ところでいっぷくさんの選ばれた3つのポイントはどの世界でも
必要なことだとは思いますが、改めて痛感させられました。
今後の自分の生き方の糧にできればと思います。

by 追いかけっ子 (2016-08-29 08:21) 

makkun

「ザ・グレート・カブキ」のタイトルに
一瞬「そんな歌舞伎があるの?」でした~(笑)
私はプロレスにはあまり興味が無かったですが
「グレート・カブキ」の名前は覚えてますので
懐かしく拝読させて戴きました~(*^~^*)ゝ
CoCoタンの賢さには飼い主も驚いてますよ~(笑)


by makkun (2016-08-29 11:04) 

tachi

ご無沙汰しておりました。
義理、入り口の話など確かに一般社会にも通用しそうなお話ですね。
個人的には、メガネスーパーがプロレスに関係していたことにびっくりしました。
by tachi (2016-08-29 21:58) 

アフロおやじ

おおっグレートカブキ懐かしいですねぇ!
当時、あの毒々しい霧吹きが斬新だったのをおぼえています。
by アフロおやじ (2016-08-29 23:57) 

momotaro

ブロレスはほとんど見ない者ですが、ヘーッとと思いつつ読みました。
by momotaro (2016-08-30 05:24) 

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