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アドレナリンを投与して生還させた救命士が処分される話

アドレナリンを投与して生還させた救命士が処分される話

今日も考えさせられる話です。佐世保の30代女性救急救命士が、心肺停止状態の男性を病院に搬送する際、医師の指示を受けずにアドレナリンを投与して蘇生させていたことが分かり、消防局は法律に抵触する行為だったとして警察に通報するとともに、救命士の処分を検討するというニュースです。



救急救命士は、いったんは医師の指示を求めたものの、許可が出る前に1回目のアドレナリンを投与、2回目は指示も求めず投与したようです。

心肺停止男性へ医師の指示なくアドレナリン投与蘇生救命士通報へ

男性は、それでやっとこさ生き返った。

指示を待っていたら、この男性は亡くなっていたかもしれません。

というより、もう亡くなったと同じなんです。

心肺停止というのは文字通り心も肺も停止しているんです。

いろいろやったら、もしかしたら生き返るかもしれない、でもそのままなら確実に死亡の確認をするだけの状態なんです。

そして、一刻も早い処置が必要。

アドレナリン投与は、蘇生の手順としては順当な処置ともいわれています。

でもアドレナリン投与は、医師の許可なくやってはいけないと法律で決まっている。

今回は蘇生できましたが、そうでなかった場合、揉めるでしょう。

ですから、消防局が救命士について「処分を検討する」とオフィシャルに発表するのは当然だと思います。

私も、妻が心肺停止になりましたので、もし妻を助けた救命士がそうなっていたら、百科事典ぐらいの上申書を書いたでしょうね。

それはともかく、この場合、「救命士はいいことをした」「いや、助かったからOKということではない」という議論があるわけですが、いずれにしても、救命士の処分だけで終わらせたら、おそらく今後、多くの救命士は自分の判断や処置全般に対して、消極的になるなど禍根が残るのではないでしょうか。

奇貨おくべしといいます。

これを機会に、たとえば医師の救急車への同乗、遠隔地から救急車内のモニタリング、さらに看護師や救命士の判断で処置できる範囲を拡大するなどの検討は行えないものでしょうか。

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医療や介護は従事者が増えて業務も細分化されている


職権について議論を求めているのは、救命士だけではないのです。

障がい者や高齢者の介護でも、医療行為に触れることがあると、せっかくお願いしたヘルパーが手を出せないケースがあるのです。

たとえば薬の見守りなどがそうです。

毎日の服薬は、量も時間も決まっているルーチンであっても、原則ヘルパーが薬の管理はできないのです。

訪問看護で、せっかく看護師が訪問しているのに、医師にだけ決定権がある行為が必要なときは、その処置を行える手技をもっていてもできないこともあります。

そもそも、医師の判断こそが間違いない、ともいいきれないんですよね。

救命救急と延命治療の区別もつけずに、心肺停止なら「安楽死」すべしと示唆している医師もいますし。

安楽死問題?道で急に倒れて心肺停止したら救命してはいけないか

介護にしろ医療にしろ、昔に比べると、意識も技術もずっと進歩しています。

そして、従事者も増えて業務も細分化されてきました。

だからこそ、その昔の法令との矛盾が出ることがあるのかもしれません。

ここで「かくあるべきだ」と議論しても、ただちに実現するわけではないのですが、国民の意識が社会を動かしていくはずですから、ネットでも「ではいったいどうしたらいいだろう」という話題は大いに取り上げていただきたいですね。

で、今回の救命士の話は、どう思われますか。

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pn

その場で診ないと分からない微妙な症状もあるだろうから指示待ってたらダメって思ったのかな。素直に医者を常に乗せとくって出来ないんすかね。
by pn (2018-02-09 23:22) 

hana2018

心肺停止状態の男性を搬送する際、医師の指示を受けずにアドレナリンを投与して蘇生させた行為が、指示の出る以前であり・・・救急救命士としての職務を越えた行為であった。
生き返ったから、結果オーライと簡単に言いきれない問題を多く含んでいるので、自分自身の経験を思い返して考えさせられました。
この場合、助かった男性になんらかの後遺症が残った場合、本人、家族から責任を問われる事になる場合もあります・・・。
自分自身の身であれば、次回は助けてもらわなくて結構。家族に対して無責任過ぎる選択ながら、本人としてはずっとそう思っています。夫にも事ある毎に話してはいるものの、きっとそうはならないのでしょうね。
私は過去に、父親が入院先の病室で医療者達の過失により死亡した経験もあって、今であったら絶対に訴訟問題にまで発展させていたであろう…経緯ももっています。
人間の生死については個々の考え方、その時、その時で様々だから、一言で言いきれない。難しい問題だとずっと思い続けてきました。
医療技術もながら、我々がもつ意識が数十年前と比べたら、ずっと進歩した。
そこに新たな問題が生じている・・・と言う事でしょうね。
by hana2018 (2018-02-09 23:51) 

ヤマカゼ

今まさに瀕死の状態を目の当たりにするときっと、同じ事をしたかもしれませんね。法律はいつも後からきます。それとは別にすべての生き物の一生は定めがあり、一瞬がよくても必ずくるのだと最近痛切に感じます。
by ヤマカゼ (2018-02-09 23:58) 

ゆりあ

助けたのに処分させられるなんて、いかがなものでしょうね。
でも、法律で医師の許可なくやってはいけないと決まってる以上は何らかの処分を受けなければならないのですね。
なにか、もっと臨機応変に対処できれば問題も無くなるだろうに、でもそれは医療の問題だけでもないですね^^;
by ゆりあ (2018-02-10 00:02) 

式条 梨々子

現在法律を勉強中です。
法治国家なので法は守らないといけません。
ただ法も人が作った物、完璧ではありません。
今回のような特殊なケースは想定されていなかったのでしょう。
法改正のきっかけになりそうな出来事です。

個人的な意見で言えば救急救命士を処罰するのは変です。
by 式条 梨々子 (2018-02-10 00:23) 

nikki

うろ覚えですが、救命救急士は医師の資格みたいなものを取るか、医師を同乗させるようなことをどこかで聞いた覚えが最近あります。
法律を守らないと。その法律が間違っているか、実情に合わなければ、変更すれば。
こういうことを国会議員の野党がもっと追及すればいいのに。

by nikki (2018-02-10 00:26) 

末尾ルコ(アルベール)

アドレナリンを投与して生還させた救命士が処分される話・・・結局これは、「法律」について常に思考を働かせ、検討しているべきであるという問題の一つと言えるのでしょうね。とりわけ「人間の生命」や「人生を損なうか否か」といった点に関わる法律を、常に「起こり得る、ありとあらゆるケース」を想像し、「ありとあらゆるケース」に対して現行の法律が適切に機能するか否かを常に検討し、機能が難しいものはその都度改定を検討、実施していくという姿勢が必要なのでしょうね。

>さらに看護師や救命士の判断で処置できる範囲を拡大するなどの検討は行えないものでしょうか。

賛成です。日本だけではないのでしょうが、「重大事案が生じてから、法律などについて検討される」というパターンが多過ぎますよね。「prepare for the worst」という段階へは程遠い状態です。
とは言え、わたし自身、法律関係に明るいとは言えず、できるだけ日頃から意識するようにしたいと思います。もちろんいっぷく様のお記事にはいつも多くの示唆をいただいております。

医療や介護は従事者が増えて業務も細分化されている・・・弟が介護の仕事をしておりますので、病院関係の生の情報もいろいろ入ってきます。本当に厳しい職場です。医師、看護士、介護士と言っても、同じ職種の人が同じ技量やモチベーションを持っているわけではないところが難しいですね。例えば、しっかりした接客が必要な職場であれば、スタッフの技量は一定以上のものに訓練されることが普通ですが、医師、看護士、介護士らは、多くの医療機関で、かなり「個人のモチベーション任せ」的な状況にあるのではないかと思います。
結局、「医療の目的」は患者の健康なのですから、その原点を忘れずに、「あらゆる事態」に対応できる態勢に近づけるための法律などの見直しは常にされるべきだと思います。

いつも素晴らしいコメント、感謝感謝ですが、昨夜いただいたコメントがまた「最高!!!」で、はっきり言って、「感動」いたしましたです!
「腹切り」って、素晴らしいではありませんか!わたしこそ、「お子様」で女子ウケ狙いのフィンガー5とは、我が身を恥じる想いです(笑)。
そして「腹切り」を選択した小学時代のいっぷく様のお気持ちも、僭越ながらかなり理解できる気も致します。と言いますのも、おそらく特撮ヒーローものや『タイガーマスク』などの影響なのでしょうが、「自分が悲劇的に死ぬ姿」もよく想像して悦に入っていた(笑)ことをよく記憶しているからです。まさしく「若気の至り」ならぬ「保育園児の至り」的な感じなのですが、誰もいない部屋で、口の端から血を滴らせるイメージをキープしながら(笑)、「くくくっ・・・」と断末魔の苦痛に耐え、しかしついに「ガクッ」と死に至るという。他にも複数のパターンがありましたが、「口の端から滴る血」と「ガクッ」の部分が極めて重要でした(笑)。
しかしわたしはそれを「誰もいない部屋」でやっていた自己満足でしたが、いっぷく様はお楽しみ会で披露されたのですね!凄い!!

>腹を切って、口から血を吹くという発想自体意味不明です。

いや~、「口から血」っていうのは、なぜか憧れちゃうものですよね。まあ、小奇麗なガーデニングと上っ面の笑顔で何もかも取り繕うとするご家庭のことは知りませんが(笑)。わたし、自殺願望は一切ないのですが、子ども時代は「死」にヒロイックなイメージを持つことはけっこう自然なのかもしれません。もちろん「ただ死ぬ」のではなく、「人類のために凄い戦いをした挙句の死」という前提なのですが、「人類のために何をしたか」という具体的なイメージは、せいぜい「宇宙からの侵略者と戦う」とか、そんな程度の大雑把なものですが、重要なポイントは、そんなヒロイックに死んでいくわたしに、「好きな女の子が号泣しながら抱きついてくる」というイリュージョンでした(笑)。「好きな女の子」はちょいちょい変わりましたが(笑)。もちろん林寛子もその中の一人でした。

わたしも子どもの頃に、刺身はあまり食べませんでした。鉄火巻きだけはずっと好きでした。高知の料理として、皿鉢料理が一部でよく知られていますが、そんなに美味しいものではないと思います。冷えた茹でエビとか、姿寿司の横に甘い寒天を置いてあって、その甘味が寿司に移るとか・・・(どうなんだろう)という状況が頻発する料理ではあります。

>1万円というのは、子供の頃も、そして今も「大金」と呼ぶ金額です。

そうですよね!わたしも子どもの頃にもらったお年玉など微々たるもので、同級生に「今年は10万以上」なんてほざく(笑)奴がいて、(なんじゃ、それは!)とか思ったものですが、きっとそいつはロクな大人になってないと、思うことにしてます(笑)。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-02-10 01:47) 

taro-u

現在の日本。最高指導者(安倍首相)の下で、何を信じるか。それは、自分しかない。自分が自分の最善を尽くすことで良いのでは。その結果に意見を言えるのはその当事者では。
by taro-u (2018-02-10 05:00) 

風太郎

救急救命講習会で
救急救命士は「倒れている人を心臓マッサージをして万が一
患者の肋骨などを折ってしまっても責任は問われない、
という善きサマリア人法がありますので、安心して
人命救助をしてください」と言われました。
by 風太郎 (2018-02-10 06:12) 

えくりぷす

個人的には、この女性救急救命士さんの場合、刑事的にも民事的にも「緊急避難」が成立するとすべきだと思います。
手段も妥当のようですし、むしろ賞賛すべきでは…
by えくりぷす (2018-02-10 10:35) 

足立sunny

医師法は時代に合わず古いのではなく、無資格の医療行為を(実際にある程度できるからといって)医師ではない者が行う危険から国民を守っている、というのが本来の見方なのではと思います。

救急救命士という限定された各種医療行為を行える資格を持っていても、医師ではないのですから、医師が行うべき医療行為を自分の判断だけで行えないのは当然と思います。
ふりかえれば消防署の救急隊といっても救急患者に対しほとんどなにもできない状態から、救急救命士制度を導入することによって病院搬送前にある種の処置ができるようになったと記憶していますが、
たとえ救命の最前線にいる、その場で処置しなければまさに命を左右する救急救命士といっても、独自判断で医療行為が自在にできるとはするべきでないと思います。今回のように、心肺停止で死んでいる状態であったとしても。
どういう形ならば。どの範囲でならば、医療処置できるかということは、救急救命士制度を導入した当初から議論されていたことで、医師の判断を待たずに処置した現話題の救急救命士が処分を検討されるというのには「良い、悪い、理不尽」とかの余地がないと思います。
ただ、この救命士に運良く巡り合えた患者は感謝するでしょうし、褒めたたえる人が一部にいるのはそうだと共感はできます。しかし、それでも、この話題者には何らかの処分をすべきと思います。
医師の資格を持たないカリスマ医療者は許しておくべきでないと考えています。
by 足立sunny (2018-02-10 10:48) 

ニッキー

目の前に心肺停止の人がいて、一刻も争う時は救急救命士として
手立てがあるならばアドレナリン投与をやってしまう気持ちは
わかります。
もう少し現実に基づいた法律改正が必要だと思います。
by ニッキー (2018-02-10 10:58) 

チャー

難しい問題ですね
臨機応変 と言う言葉がありますが

見て見ぬ振りの多い中
大きな決断だったと思います
命が救われたこと これが答えだと思います
by チャー (2018-02-10 13:32) 

みな

救命医療は長い目で治療できない1秒が本当に大事な場面が多いですよね。
だから今回の話題は「助かったからいいじゃん」と「でももし助からなかったら・・・」という気持ちで複雑です。

「医師の救急車への同乗」、「遠隔地から救急車内のモニタリング」もどちらも実施している病院はあります(YouTubeに番組を見たことがあるハズ)。
NHKのプロフェッショナルでも救命医療が取り上げられていましたが数が少ないから番組でも取り上げたのでしょう。
むしろ普通になって欲しいし矛盾は解消して欲しいです。
私はたまたま救急医療にはかかったことはありませんがこれからも絶対にないとは言えないですし。
by みな (2018-02-10 13:38) 

makkun

今回の件は命を助ける立場にいながら
最後の手段をしたくても出来ないと言う事は
「ただ早く病院へ運べば良いだけ・・」と
いじけた救急隊員にならなければ良いのですが・・。
厳重注意をして「結果オーライ!」とは
行かないものなんでしょうか~

by makkun (2018-02-10 13:44) 

little_me

自分の立場より、目の前の命を優先するというのは
立派だと思います。
処分が軽い事を願います><
by little_me (2018-02-10 14:53) 

Take-Zee

こんにちは!
また、難しい問題ですね。

by Take-Zee (2018-02-10 15:46) 

きーちゃん2

人命を救う為なら法を犯すコトも辞さないアメリカあたりだったら、コレは賞賛の嵐だと思いますね。私は阪神大震災の時たくさんの海外からの救援部隊が来てくれたにも関わらず、彼らの提案に対し「前例にない」、「法律に抵触する」などの理由で埒が明かず、成果を上げられなかった海外の救援部隊は帰国してしまったというハナシを聞いて、日本という国は、法&前例にない>人命なのかと情けなく思ったコトを思い出しました。
by きーちゃん2 (2018-02-10 17:15) 

ヨッシーパパ

救急救命士の役割は、かなり、拡大されてきましたが、やはり、まだまだ、法改正が必要なのでしょうね。
by ヨッシーパパ (2018-02-10 18:37) 

sana

命を助けたのに処分とは‥
始末書程度の重くない処分なら、妥当かもしれません。
緊急の場合に、ある程度の知識と経験がある人なら出来ることもあるのでは?と思うのですが‥
その範囲はド素人には決められません。
その判断が間違っている場合も起こり得ると言えば、それは‥
緊急の場合に、医師が間に合うかどうか、という医師の人数不足といった問題もあるのでしょうね。
by sana (2018-02-11 00:58) 

yokomi

 ほんと、法律はいつも後から(>_<)
 行政は被害が出てから。
 警察は事件が起きてから。
 女性救急救命士に百科事典ぐらいの上申書を!!!!!!!
by yokomi (2018-02-11 09:00) 

伊閣蝶

家内が医療関係従事者でしたので、こうした医療現場の矛盾については以前からいろいろと聞き、そのあまりにも硬直化した体形に疑問を感じておりました。
今回の救命救急士さんの措置も、患者の生命を第一に考えれば、処分の対象になるようなものではないと思うのですが、残念ながら現行法規では、医療行為を行いその責任を負えるのは限定された者となっているため、厳正に対処すればこういう結果になるのでしょう。
いっぷくさんも仰っている通り、緊急時における医療行為従事者の範囲を拡大するべきだなと思います。
医者が常に救急車に同乗するのは恐らく不可能だと思いますし。

by 伊閣蝶 (2018-02-15 12:26) 

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