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『虹をつかむ男』西田敏行、吉岡秀隆、田中裕子、田中邦衛

虹をつかむ男

『虹をつかむ男』(1996年、松竹)を観ました。西田敏行が、地方(徳島)の映画館主を演じています。『男はつらいよ』のレギュラーメンバーも出演しています。公開されたのが1996年ですから、もう20年前になります。ああもうそんなになるかなあという思いがします。



『虹をつかむ男』は、1996年暮れに『男はつらいよ 寅次郎花遍路』が企画されていたものの、渥美清が亡くなったために実現不可能となり、出演予定だった俳優で急遽作られたそうです。

『男はつらいよ』は全部で48作。

『男はつらいよ 寅次郎花遍路』は49作目になるはずで、当初の予定では50作目が最終話。

黒柳徹子が出演し、車寅次郎が亡くなるところまで予定されていたそうですが、やはり区切りの数字まで作りたい、という気持ちが山田洋次監督にはあったんでしょうね。

このブログでたくさんご紹介した、全30作ある東宝のクレージーキャッツ主演映画も、温情派のナベプロ・渡辺晋社長が、東宝と渡辺プロダクションの屋台骨を支えたクレージーキャッツ、とりわけ植木等に報いるために、区切りの30作まで作りたいと思ったようです。

映画の斜陽化と、クレージーキャッツの人気凋落で興行収入は下がっていましたが、渡辺プロダクションの渡辺晋社長が、半ば自主制作のような感じで、27~30作目は制作されています。

『日本一の断絶男』出世や金に執着しなくなった“無責任男”
『日本一のヤクザ男』未DVD、古澤健吾監督植木等主演最後の作品
『だまされて貰います』植木等、加藤茶、谷啓
『日本一のショック男』東宝クレージー映画のファイナル作品

そのために、その4作は今もDVD化されていないのですが。

本作のレビューを見ると、西田敏行は渥美清になれなかった、というような書き方が多いように見受けられます。

山田洋次監督が、本作とその続編をもって、喜劇を作るのをやめてしまったこともその印象を強くしているのでしょう。

私も、渥美清の偉大さは改めてよくわかりました。

でも、30年間育てられたキャラクターと、急遽の代作を比較して、演者に役者の違いまで結論づけてしまったら、それはちょっと西田敏行に気の毒な気がします。

ましてや、当時の西田敏行は、『釣りバカ日誌』という当たり役があるわけですから、それとは全く別の新しいキャラクターを、観客に印象づけるのは時間のかかることだったのではないでしょうか。

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名画と“毒”


松竹が予告編をアップしています。


平山亮(吉岡秀隆)は、就職試験に失敗したことが原因で親子げんかとなり、両親(倍賞千恵子、前田吟)と住む葛飾柴又の家を飛び出し、徳島県に辿り着きました。

そこで出会ったのが、オデオン座という寂れた映画館を経営する白銀活男(西田敏行)です。

亮(吉岡秀隆)は、オデオン座で働くことになりました。

そこでは、映写技師の常さん(田中邦衛)や、映画好きの町民たち(すまけい、柄本明、松金よね子、柳沢慎吾)と、会員制の「土曜名画劇場」を催していました。

「土曜名画劇場」は、かつての名作(洋画)がいろいろでてきます。

活男(西田敏行)は、上映する作品は、亡くなった幼なじみの妻だった会員・八重子(田中裕子)を意識して選んでいました。

八重子(田中裕子)を密かに想うものの、それを口にすることができないでいたわけです。

その八重子の父親が急死。活男はいよいよ自分の出番かと張り切りますが、八重子の口から、活男の気持ちはわかるけれど、自分は亡夫の同僚と結婚して大阪に行くと言われてしまいます。

活男は、累積赤字が膨らむオデオン座の閉館を考えますが、常さん(田中邦衛)が密かにためた貯金1200万円を提供したことで、映画館を続けることになりました。

そして、亮は活男に「生涯働ける仕事を探せ」と言われ、柴又に戻っていきました。

『男はつらいよ』も、寅さんはいつも女性にフラれていましたが、今回もそうです。

「いい人」に尽くさせておいて、それでも女性がフるという、山田洋次監督お得意の毒のある設定です。

『馬鹿まるだし』ハナ肇と渥美清の関係、山田洋次監督の“毒”

しかも、本作の八重子は、活男だけでなく、いったんは東京に帰ろうと思った亮(吉岡秀隆)を引き止め、思わせぶりな態度までとって亮を翻弄しています。

主演2人が、八重子に振り回されているのです。

東大法学部卒の山田洋次監督の人情礼賛映画など庶民におもねる欺瞞だ、と評している個人ブログを観ましたが、私は違う意見です。

なぜなら、そもそも山田洋次監督の描く世界は、きれいごとの人情映画ではなく、人間の持つ“毒”を描いていると思うからです。

“毒”というのは、ヒロインの冷酷さです。

結ばれない寅次郎の哀愁を描くのは、別の見方をすれば、女の残酷さを描いてもいたわけです。

私もフラれるタイプの人間なので、その毒は、個人的に「よくぞ描いてくれた」と快哉モノでもあったわけですが……。

山田洋次監督は、若い時よほど女性でつらい思いをしたのでしょうかね。

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