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『日本一のショック男』東宝クレージー映画のファイナル作品

日本一のショック男タイトル

『日本一のショック男』(1971年=72年正月映画、渡辺プロダクション/東宝)を観ました。60年代の東宝の屋台骨を支えたと言われる東宝クレージー映画30作のファイナルです。本作はDVD化されていませんが、日本映画専門チャンネルと、時代劇専門チャンネルとの「戦後70年共同企画」の一環として、1月から集中放送されている「植木等劇場」の一作として放送されました。(画像は『日本一のショック男』より)

『日本一のショック男』は、前作『だまされて貰います』に引き続き、人気絶頂だったザ・ドリフターズの加藤茶との2枚看板となっています。

東北の過疎村で巡査をつとめる日本一作(植木等)は、自殺を止めた山上春子(酒井和歌子)に、初恋の相手・花子を重ね、彼女のために一肌脱ごうと彼女の住む東京に行きます。

東京では、春子(酒井和歌子)と前川昭夫(田中邦衛)の結婚に、春子の兄の啓太(谷啓)が反対しているため、昭夫(田中邦衛)は単身、アメリカに転勤してしまいます。

日本一作(植木等)は、東京に行った村人の出世頭だったはずの佐藤茶助(加藤茶)のキャバレーに行くも、すでに茶助(加藤茶)はおらず、そこで働くハメに。

日本一作(植木等)は、そこで知恵を絞り支配人に昇格。

それがきっかけで、春子(酒井和歌子)の勤める金丸化学・八木沢社長(北竜二)を、あることから助け、今度は金丸化学の社長秘書に。

日本一作(植木等)は、社長代理を名乗って、スポンサードするドラマの内容を変更して、八木沢社長(北竜二)が探していた娘・恵美子(小柳ルミ子)を抜擢し、過疎村を舞台にしたドラマを作ります。すると、ドラマも好評で、社長(北竜二)にも喜ばれ、日本一作(植木等)を重役に、という話になります。

ところが、いいことばかりは続かず、密かに想っていた春子(酒井和歌子)ともう一歩で結婚という時に、昭夫(田中邦衛)が帰ってきてしまい、失意の日本一作(植木等)は田舎に戻ります。

しかし、過疎村は、テレビで取り上げられたことで観光客でにぎわい、茶助(加藤茶)らも帰村して幸せに暮らした、というラストです。

小柳ルミ子が、当時の持ち歌を全部で3曲歌っています。

小柳ルミ子

ザ・ピーナッツや中尾ミエといったクレージー世代ではなく、ドリフ世代である小柳ルミ子が出演したというところにも、時代の流れを感じました。

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人間としても芸能人としても大人だったクレージーキャッツ


2013年5月から、『東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』という分冊百科が発売されました。

東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン

森繁久彌の社長シリーズ、クレージー映画、喜劇駅前シリーズ、てなもんや、コント55号など、1960年代に作られた東宝喜劇映画の作品の中から、50作品をDVD化。当時のエピソードの読み物をつけて雑誌コードで売ってしまおうという企画です。

『喜劇駅前団地』

ポスター

社長洋行記

その中で、東宝クレージー映画は、過半数の26作が収録されました。

以来、そのほとんどの作品をこのブログでは記事にしました。

ただし、東宝クレージー映画は全部で30作。

分冊百科のレビューだけでは全作ご紹介できません。

そこで、マニアおまちかねの企画が、今年1月から始まった、日本映画専門チャンネルと、時代劇専門チャンネルとの、「戦後70年共同企画」の一環として放送されている「植木等劇場」です。

その枠で、DVD化されていない、残りの4作が放送されると発表されていたからです。

私自身は、いわゆる“遅れてきたクレージーファン”。

クレージーキャッツ全盛時を知るリアル世代ではなく、その時期を過ぎてから青年期を迎えたので、記憶の片隅に残っている当時の活躍を、過去の映像や資料で確認していくファンです。

そんな私が、今回クレージー映画にこだわったのは、まず、当時の映像を懐かしむこと。

もうひとつは、どうしてクレージーキャッツが凋落したのかを、確認してみたかったのです。

足掛け3年かけて30作観て感じたのは、

・高度経済成長時代の10年間で、我が国の文化も価値観もかわり、「無責任男」や「日本一男」に説得力が失われつつあったこと
・植木等自身も歳をとり、20代の設定だった当初のキャラのまま、40過ぎても同じ役を続けることが困難になっていたこと
・凋落の始まりと言われた『クレージーメキシコ大作戦』あたりから、子どもから金を盗んだり、詐欺師の役だったりと、当初の設定「無責任」とは似て非なる「無頼漢」になってしまったこと
・映画が衰退し、テレビでより下世話な方向に活路を見出したザ・ドリフターズが台頭したこと

などが原因かなあ、なんて思っていますが、いちばん大きな理由は、メンバーはみんな育ちのいい人たちで、手段を選ばずスターの座にしがみつく、ガメつさがなかったからかもしれません。

たとえば、クレージーキャッツは私生活の切り売りをしなかったし、そもそもマスコミの餌食になるようなスキャンダルを起こしませんでした。唯一、桜井センリの離婚報道ぐらいかな。

内輪もめで、グループが分裂したり解散したりもしませんでした。

でも、芸能人として、それは決して得策ではないんですよね。

芸能界は、なんでもいいから話題になった者勝ちの世界ですから。

でも、そういう売り方は、リーダーのハナ肇が許さなかったんでしょうね。

クレージー行進.png
『クレージー作戦くたばれ!無責任』より

クレージーキャッツは、やはり人間としても芸能人としても大人だったんだと思いますし、それが今もなお、多くのファンに支持されている理由だと思いますから、それでよかったのだと思います。

クレージー映画大全―無責任グラフィティ

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 1997/07
  • メディア: 単行本

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