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佐藤慶の祥月命日に『絞死刑』と『水滸伝』を思い出す

佐藤慶の祥月命日に『絞死刑』と『水滸伝』を思い出す

佐藤慶(さとうけい、1928年12月21日~2010年5月2日)を覚えていますか。テレビドラマの黒幕役でおなじみでした。しかし、その前に佐藤慶のキャリアはひとつのピークがありました。そのひとつが、大島渚監督の『大島組』時代の出演作品です。



映画出身の名のある俳優は、大物映画監督とのコンビで作品を重ねていますが、佐藤慶の場合は大島組、大島渚監督の作品に出演していました。

佐藤慶
Google検索画面より

渡辺文雄、戸浦六宏、小松方正、小山明子、そして佐藤慶が必ず出演する大島組の映画は、体制にはおもねない、それでいて従来の左派的な立場ともまた一味違う独自の世界観を表現していました。

そのもっとも特徴的な作品が、『絞死刑』(1968年、ATG)です。

絞死刑

タイトルからして独創的です。

絞首刑ではなく、絞死刑なのです。

在日朝鮮人死刑囚のR(←劇中こう命名)は、絞首刑に処せられたものの失敗。

しかし、そのショックで心神喪失になってしまいます。

刑事訴訟法では、刑の言い渡しを受けた者が心神喪失状態にあるときには、執行を停止しなければなりません。

そこで刑務官たちは刑の再執行のため、Rに記憶と罪の意識を取り戻させようと、滑稽なまでに躍起になる話です。

『絞死刑』は、マニアにはウケた作品ですが、いかんせんテーマがデリケートなものなので、大島渚監督が亡くなったときも、CSの映画チャンネルで追悼放送はされなかったと思います。

作品のモデルは、1958年に東京で発生した小松川事件の犯人。

当時、事件の背景として在日朝鮮人の差別と貧困が取り沙汰されたため、作品は死刑制度の原理的問題とともに、在日朝鮮人についても描いています。

Rを演じた俳優は、その後リアルで民族団体の大幹部になり、晩聲社というルポルタージュやジャーナリズムで実績のある出版社の社長に就きました。

若い頃、晩聲社の本ではずいぶん勉強させてもらったので、「あの絞死刑の人が……」とちょっと驚きましたね。

それはともかく、佐藤慶はその刑務官の役で、死刑囚に記憶を取り戻させるために学生服まで着て頑張っていました。

鑑賞したときは、絞首刑の場面をリアルに再現した冒頭のシーンに集中しすぎて、終盤はちょっと疲れてしまい詳細に記憶にとどめておりませんが(汗)、結局Rは事件を思い出し、自分のしたことを自覚した上で再執行に合意する、というストーリーです。

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主人公を苦しめる金権権力者


佐藤慶がテレビに活動の場を移してからは、日本テレビ開局20周年記念番組として制作された『水滸伝』(1973年10月2日~1974年3月26日、国際放映/日本テレビ)で、金で権力を買い取り、主人公である豹子頭・林冲(中村敦夫)を苦しめる高求役が印象に残ります。

水滸伝

水滸伝
『水滸伝』より

『水滸伝』は、明代の中国で書かれた伝奇歴史小説が原作です。

12世紀初めに、36人が梁山泊の近辺で反乱を起こした史実をもとに、108人の義賊による壮大な物語に創作されたと言われています。

日本には江戸時代に輸入され、翻訳されたり、日本の作家によって日本版の小説として著されたりしています。いわゆる翻案ですね。

また、『水滸伝』としてではありませんが、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』のように、ストーリーや設定こそ異なるけれど、明らかに影響を受けている作品もあります。

水滸伝はご覧になりましたか。もしくはお読みになりましたか。

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nice!(220)  コメント(18)  [編集]
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コメント 18

ナベちはる

水滸伝、恥ずかしながら初めて名前を知りました…
by ナベちはる (2018-05-03 00:40) 

末尾ルコ(アルベール)

佐藤慶の祥月命日に『絞死刑』と『水滸伝』を思い出す・・・モノクロ時代の大島渚はあまり観てなくてですね、『絞死刑』もぜひ観てみたい作品の一つです。
それにしても佐藤慶、顔がいいですね。こういう顔をした俳優が今はいないですね~。と言い出せば、「今はいない・ない」者や物がぞろそろ挙がってきますが(笑)。男臭さと知性と、そして危険な雰囲気が漂う魅力的な顔立ちです。『殺人遊戯』『蘇える金狼』『野獣死すべし』とか松田優作主演作にも出てますね。わたし特に『野獣死すべし』が好きなんです。
『水滸伝』についてはあまり知りませんでしたが、これもおもしろそうです。お写真の佐藤慶の顔がこれまたいい!
ただ、『水滸伝』自体は話もよく知りません。だいたい十代の頃から、日本以外ではヨーロッパの文化や歴史に目が行ってしまう傾向がありまして、案外中国については知らないことが多いのです。中国関係の書籍のページを開くと、見慣れない漢字が多く出てくるのも(笑)、もう一つ馴染めない要因となっているようです。かつての日本人は漢文の素読をガンガンやって教養の地力をつけたと言いますが、わたしの場合はそういうのが欧州系の文化となってしまっていました。
大島渚は『愛のコリーダ』のスキャンダラスな話題がインパクト抜群でしたね。もちろん公開当時に同作品を鑑賞できたわけではないですが(笑)。そして『戦場のメリークリスマス』は坂本龍一の分かりやすいスコアの影響もあり、高知でも映画館が満員でした。シャーロット・ランプリングがチンパンジーと恋愛するという話の『マックス、モン・アムール』は、淀川長治、蓮實重彦、山田宏一の大御所批評家トリオが絶賛しておりました。それだけに、その後『御法度』が遺作となったのは残念でした。
『戦場のメリークリスマス』は公開時の鑑賞では、「退廃美」を描いた作品に見えたのですが、後年観返すと、ポップなコメディ作品の要素が強く、その意味で別の愉しみ方ができました。

「妄想」という観点からすれば、確かに吉永小百合のポイントは低いですね。わたしも吉永小百合出演映画の多くは未鑑賞ですが、キャリアを概観してみても、現実の女性として惹かれる要素はいささか少ない気がします。では女優としてはどうかと言えば、若手時代はわたしのブログ記事でも書きましたが、何やら猪突猛進型(笑)で、確かに整った顔立ちなど特別感はありますが、あのハイボルテージのキャラクターやそれに伴った作風は観ていて疲れますし、若いから仕方はないのですが、「深さ」という点ではまるでありません。
なもので、わたしもずっと、(吉永小百合?退屈な女優の代名詞なのでは。勘弁してよお~)と思っていたのですが、思えば、世界の映画史の中でも、10代から70を超える現在まで主演を張り続け、しかも原則「清純派」とか、ちょっとそんな女優は存在しないという気がしてきまして、(これはこれで凄い人なのだな)と思うようになりました。さらにわたしがもの心つくよりもずっと前から国内では常に「別格の特別な映画女優」というイメージを与え続けている点も、なのに(これは凄い!)という作品が特にないのも(笑)、世界映画史上稀な存在ではないかと思います。
ただやはり、個人的映画史、あるいは個人的贔屓女優史(笑)となると、わたしも吉永小百合は入ってこないですね。「銀幕の大スター女優」としては、若尾文子や藤純子、あるいは香川京子なんかの方がずっと好きですね。そして最近テレビドラマ『蛇姫様』で(おおっ!)と思った高田美和も、個人的には吉永小百合よりずっと魅力を感じます。時代は前後しますが、岩下志麻や小暮実千代らの方が観ていて愉しいですし、「妄想」という観点からすれば、有村架純の方が(笑)。佐々木美絵という方のお写真拝見しましたが、これは似てます!RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-05-03 01:03) 

promethe

おはようございます。

佐藤慶さん、名前は知っていますが、作品となると出てこない自分が情けないです。
水滸伝は北方謙三版に嵌っていました!水滸伝は三国志と違い、水滸伝演義の出来があまりよくなくて、劇の題材として好まれたため、話が統一されていなくて他の作家の作はあまり面白くないです。
北方版は独自の視点を用いてかかれており、すごく面白いです。北方版の三国志はいまいちですが。
by promethe (2018-05-03 06:03) 

ヤマカゼ

水滸伝、名前はききますが。まだ見たことありません。佐藤慶さん見たことある俳優さんですね。
話は戻りますが、星影の小径をyoutubeで聞きましたが初めてききました。

by ヤマカゼ (2018-05-03 06:17) 

kou

自分にとって佐藤慶さんと言えば「白日夢」のイメージが強いです。
by kou (2018-05-03 06:50) 

チャー

佐藤慶さん 懐かしいです
友人が めちゃめちゃ好きでした 眼光の鋭い個性派俳優さんでした
by チャー (2018-05-03 07:20) 

Rinko

佐藤慶さんの若い頃の作品なんですね。
結構ディープなテーマですね・・・。
by Rinko (2018-05-03 08:06) 

pn

日テレの知られざる世界のナレーションで知りました。ただのナレーションおじさんだと思ってたら必殺シリーズでよく見てた人だった(^_^;)
by pn (2018-05-03 08:55) 

斗夢

絞死刑は見ていませんが、小松川事件は覚えています。
高校のときだったと思いますが、なぜ罪を犯さなければ
ならなかったのか、育った環境がそれほど影響するのかと
考えたことを覚えています。
by 斗夢 (2018-05-03 10:02) 

拳客の奥様

絞死刑知りませんでした、大島渚監督作品である事に納得してしまうところが有りますね~叔母の影響で、水滸伝見ていた記憶あります。
by 拳客の奥様 (2018-05-03 11:06) 

JUNKO

佐藤慶さん、ニヒルな個性的な俳優さんでしたね。存在感があってとても好きでした。
by JUNKO (2018-05-03 12:04) 

NO14Ruggerman

佐藤慶と言えば下世話ですが「白日夢」の
愛染恭子との共演の印象が強烈です。
by NO14Ruggerman (2018-05-03 12:42) 

hana2018

映画での佐藤慶の役柄は具体的に覚えていいないのですが、あの「白日夢」以外に。。どうしても悪役イメージが強い印象の人ですが・・・デビュー当時は故郷の福島弁の訛りが出ないようにするのに苦労したというエピソードを思い出します。
最初の記憶にある、大河「太閤記」での 明智光秀役。
ドラマ「想い出づくり」では、田中裕子の父親役でした。
近年では「序の舞」で名取裕子と男女の関係になる、絵の師匠役。
他に覚えているのは「濹東綺譚」「60歳のラブレター」くらい。
独特な雰囲気をもつ、また声の良さで好きな俳優さんなのに、そう具体的にはこれ!って出てきません。しかし登場するだけで、つい見入ってしまう独特の存在感を放つ良い俳優でした。

by hana2018 (2018-05-03 13:02) 

johncomeback

佐藤慶さんは声が良くてナレーターされてましたね。
水滸伝は中学生の時に読んだ覚えがありますが、
内容は殆ど覚えていません(*´∇`*)
by johncomeback (2018-05-03 14:49) 

makkun

ニヒル役がカッコよかった佐藤慶氏は
好きなタイプの俳優でした。
水滸伝は観てませんが、現代映画の役柄も
観ていて気持ちが良かったです(*^-゚)v♪
by makkun (2018-05-03 15:23) 

ヨッシーパパ

水滸伝は見ていましたし、この俳優の顔も知っていますが、出ていたかどうかの記憶がありません。
中村敦夫は覚えていますね。
by ヨッシーパパ (2018-05-03 19:05) 

nikki

佐藤慶さん名前だけは知ってますが。
by nikki (2018-05-03 23:19) 

そらへい

佐藤慶さん、久し振りに思い出しました。
ちょっとあくの強い俳優さんでしたが
好きな俳優さんでしたね。
by そらへい (2018-05-04 21:00) 

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