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『「視聴率」50の物語』から『東京ラブストーリー』を思い出す

伊予電鉄

『「視聴率」50の物語~テレビの歴史を創った50人が語る50の物語』(ビデオリサーチ編、小学館)を読みました。テレビ史に残る高視聴率番組にかかわった、プロデューサー、脚本家、演出家、キャスターら50人に、制作当時の舞台裏や、視聴率についての考え方、今日のテレビへの提言などを聞きまとめたものです。



『「視聴率」50の物語』の50人を登場順、番組名抜きで並べます。

黒柳徹子、澤田隆治、石井ふく子、松前洋一、山田太一、藤田潔、関口宏、大山勝美、大橋巨泉、杉山茂、倉本そう、萩本欽一、白石剛達、田原総一朗、みのもんた、寺尾睦男、重延浩、久米宏、秋元康、小林由紀子、テリー伊藤、坂田信久、杉田成道、金子満、松本修、安藤優子、吉田正樹、五味一男、貴島誠一郎、土屋敏男、古谷太郎、港浩一、工藤三郎、松下洋子、澤本嘉光、松本基弘、亀山千広、井上由美子、若泉久朗、大多亮、北川悦吏子、小山薫堂、櫨山裕子、鈴木おさむ、加地倫三、小谷真生子、岩田圭介、大平太、瀬戸口克陽、古立善之。

テレビをあまり観ない方でも、何人かはご存知でしょう。

それぞれ面白い話はあるのですが、すべてをご紹介しているときりがないので、今回同書50人の中から1人だけ、フジテレビ常務の大多亮氏についてご紹介します。

ここのところ、何かと風当たりの強いフジテレビですが、かつては自身がプロデューサーとして手がけたドラマをたてつづけに視聴率30%台にのせ、「トレンディードラマ」というドラマの流行を作った人と言われています。

私は、とくに『東京ラブストーリー』が印象深いです。

大多亮氏曰く、「最終回の数字がいちばんよい企画がうれしい」。初回は役者の取る数字であり、最終回はプロデューサーと脚本家で取る数字だからだそうです。

そして、視聴率は、制作側にとって唯一の指標だから、視聴率がないとテレビはつまらなくなるとも言っています。

昨今は、視聴率がテレビをつまらなくしている元凶のように言われますが、スポンサーや為政者に気を使いすぎる制作姿勢の方が私はよほど問題だと思っています。

さらに大多亮氏は、自身のドラマづくりの素地には落語と音楽があり、ストーリーの普遍性や人が感動するリズムを教えてもらった気がすると話しています。
子どものころから、親父に連れられて行っていた落語は大好きでした。落語は物語の宝庫です。物語の宝庫であるのと同時に、人間とは、ということが軽妙に語られているわけです。意外な真実、人間のいいところ、醜いところ、セコイところ。セコいところがいちばん多いかな。だから面白い。人間ってセコいんですよ。そのセコいところも含めて肯定していく姿勢みたいなものが、物語と同時に描かれている。なるほどなとか、こうやって笑うんだとか、こうやると泣くんだとか、こういうふうに振ると、こういうふうに落ちるんだとか。理屈ではわからなくても、自然に入っていった。そうやってつくっていたものが「トレンディドラマ」と呼ばれてしまったのは自分でも面白いですね。

私は落語は詳しくないのですが、このインタビューを読み、落語について知りたいという気持ちを抱きました。

そして、『東京ラブストーリー』については、「もう絶対にハッピーエンドはありえないと思ってつくっていました。視聴者からはハッピーエンドにしてくれという声がやまなかったですが。たとえば落語はハッピーエンドからおかしい悲劇が始まる。そこからが本当のドラマだし、まあ、ハッピーエンドのドラマも何本もつくってますけど。あれが長く印象に残っているとするならば、別れの話だから」と語っています。

『東京ラブストーリー』について



東京ラブストーリー
『東京ラブストーリー』より

トレンディードラマという定義自体がはっきりしたものはないのですが、wikiによると、「都会に生きる男女(ヤッピー)の恋愛やトレンドを描いた現代ドラマ」「1988年から1990年にかけてのバブル景気時代に制作された日本のテレビドラマ」だそうです。

でも、『東京ラブストーリー』がそれにあてままるかどうか。

作られたのは1991年ですし、出演者のファッションや仕事や生活ぶりが目立ってトレンディというわけではなく、ストーリーも、主人公の女性の恋愛観は、原作に比べてグッと抑え気味で、むしろ保守的ですらあります。

金曜日の妻たちへ1・2・3』(1983年・1984年・1985年、TBS)や、『男女7人夏物語』(1987年、TBS)の方が、よほどトレンディードラマだったと私には見えます。

どちらかというと、男女の純愛の部分をとことん描くプリミティブな作り方であることが、本作品の最大の特徴であったと私は思っています。

東京ラブストーリーを思い出す西郷山公園

当時、柴門ふみの原作に描かれていたヒロインの赤名リカは、興味はあるけど奔放すぎて、若かった私には刺激も強すぎるという複雑な思いがありました。

が、我が大田区出身の鈴木保奈美が演じたドラマの赤名リカは、全体を通して、決して原作のような翔んでる女ではなく、むしろ待つ女、耐える女、身を引く女として描かれています。

ただ、旧来のドラマが描く女性と違うのは、男のために待つ女、耐える女になっているのではなく、自身の充足感のためにそうしているのです。

ですから、寂しくて辛くても、決して演歌ではないのです。

そのような女性目線のところが、女性視聴者にはリアリティを感じたんでしょうね。

最終回、愛媛でカンチと再会したリカが、一緒に電車に乗る約束を自分から破って先に乗ってしまい、今までの楽しいことを思い出しつつ涙を流す姿に、感情移入してもらい泣きした女性視聴者はたくさんいたんだろうなあと思います。

私も歳をとって、原作の赤名リカについても、若い頃よりも認められる気持ちが出てきたような気がしますので、改めて原作も読んだ上で、また『東京ラブストーリー』については後日書いてみたいと思います。

「視聴率」50の物語: テレビの歴史を創った50人が語る50の物語 (実用単行本)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/08/28
  • メディア: 単行本

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