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清武英利氏爆弾会見は、正義か自己陶酔か

プロ野球の戦後史上、前代未聞といわれているのが、「盟主」巨人軍の会長に清武英利GM(当時)が噛み付いた「清武英利氏爆弾会見」だ。

やれ、日本シリーズをぶち壊した、読売の内輪もめだと顰蹙ものだが、暴露自体を否定する必要はない、と筆者は考える。ただし、その意図や動機や手法に問題があったのだ。

清武英利氏によると、代表権のない渡辺恒雄球団会長が、岡崎郁ヘッドコーチ留任内定をひっくり返して江川卓氏を候補としたことについて、「球団私物化を許してはならない」などと文部科学省で批判会見を行った。渡辺恒雄球団会長は翌日になって、「非常識で悪質なデマゴギー」と反論。清武英利氏の「反省」を待ったが、清武英利氏は再反論をコメント。すると、球団は清武英利氏の一切の役職を解任し、さらに背任で提訴した。

2人の言い分を見合わせ、また巨人の処分の速さを見る限り「私物化」は事実らしい。しかし、コンプライアンス違反はむしろ清武英利氏のほうが分が悪い、というところが今までわかったことである。

清武英利氏の暴露が事実だろうが公益性があろうが、世の中にはモラルもルールもあるから、それに反したらきちんと法的、社会的制裁を受けるべきだ。逆に言えば、本人がぼろぼろになるのを覚悟で読売の個人商店然としたことを暴くならのは、公益性のない話ではない。

マスコミはあえて目をそらすが、これはたんなる一企業の内輪もめではない。

渡辺恒雄球団会長は読売というマスコミグループを牛耳るだけでなく、議員でも公党の幹部でもないくせに、政治にも首を突っ込み、大連立を画策する黒幕気取りなのだ。そういう人間の正体を暴くことは、わが国の有権者にとって実に有益なことである。

ただし、清武英利氏には戦略がなかった。根回しや外堀を埋めるといった準備もないまま、記者会見すれば大衆はついてくると思った甘さがあった。いや、うぬぼれ、思い上がりといっていいだろう。

『東京スポーツ』(十一月二十二日付)で、記者との一問一答で清武英利氏は「筋と筋の勝負をしよう」と答えた。俺は正しい、どっちが正しいか勝負しようということだ。

「筋」とやらが正しいかどうか以前に、今回は「筋」だけで済む話ではないという視点が抜け落ちている。具体的に言えば、名前を出された岡崎コーチや江川氏の「心の痛み」をおもんぱかっていない。

ああ、この人は自己正当化、自己陶酔が目的なんだな、ということを人々は感じてしまう。本人にそのつもりがなくともそう思われてしまう。だから、球団や選手を愛しているといって涙ぐんでも共鳴されない。

繰り返すが、社員の内部告発か、ジャーナリストか、その時々でいろいろだが、世の中は、暴露によって真実が明かされる。暴露という行為それ自体を否定してはならない。

ただし、暴露の意図や手法が社会的に必ずしも適当であると受け入れられるわけではない。暴露している人は勇気を奮って頑張っているのだから、批判など大目に見よう、というふうにはならないだろうし、する必要もない。

だから、清武英利氏の暴露がいくら楽しくても、清武英利氏の批判を手控える必要は全くない。
是々非々で見ておけばいい。

正義が勝つのは時間がかかり、また多くの犠牲を払うものなのだ。
清武英利氏が正義かどうか。結論は今後次第ではないだろうか。


巨人軍は非情か

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  • 作者: 清武 英利
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/12
  • メディア: 単行本


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タグ:巨人 清武英利
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コメント 1

toyo

ご訪問いただいてありがとうございます。

>具体的に言えば、名前を出された岡崎コーチや江川氏の「心の痛み」をおもんぱかっていない。

私もそう思いました。まあ、清武氏にしてみれば、きっと
止むに止まれぬ思いで告発したのしょうが、・・そして、
その気持は多くの人の共感を呼ぶとは思いますが・・
やっぱり拙速というか、もっと脇を固めてからのほうが
よかったのに、と思います。

たぶん、はずれていると思うけど・・名前を出された岡崎
コーチや江川氏の「心の痛み」をおもんぱかっていない。・・
ところに、私は清武氏にも渡辺氏と同じ匂いを感じましたが
違うかしら?・・と、勝手なことを書きました。

失礼しました。どうか、いっぷく様にいいことがありますように。



by toyo (2011-11-28 08:45) 

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