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映画用フイルム、時代的役割を終えたのか

今日は映画用フイルムの戦後史です。富士フイルムが、映画用のフイルム生産を終了することになったと報じられました。
映画用フィルム生産終了=80年の歴史に幕―富士フイルム
時事通信 9月12日(水)21時0分配信


 富士フイルムは12日、映画用フィルムの生産を終了することを明らかにした。制作現場や映画館ではデジタル化が進んでおり、フィルムの需要は減少の一途をたどっていた。今後、主な販売先である日米欧の映画会社などから最終注文を受け付け、来春ごろには販売を終える予定。映画用フィルムは1934年の創業時から生産してきたが、80年近い歴史に幕を閉じることになった。(以下略)


生産終了というのは、要するにビジネスとして見合わなくなってしまったということでしょう。

それにしても、映画フィルムメーカーは国内では富士フイルムだけ。映画用フイルムはこれからいったいどうなるのでしょうか。

以前、映画会社や独立系の制作会社が作るドラマは、「テレビ映画」といわれて16ミリフイルムを使っていました。

局制作のビデオによるホームドラマも名作はありましたが、ロケをふんだんに使った「テレビ映画」は、今見てもお宝ドラマがたくさんあります。

私がよく見た、日本テレビの青春学園ドラマを制作していた松竹、東宝、「ザ・ガードマン」や80年代は漫画チックなドラマを作った大映(テレビ)、時代劇や刑事ドラマの東映、石立鉄男シリーズのユニオン映画、チャコちゃん、ケンちゃんシリーズの国際放映、水戸黄門のC.A.L……

フイルムならではの名作ばかりです。

しかし、21世紀の今はフイルムドラマは皆無です。

「はぐれ刑事」や「水戸黄門」などは、放送開始時はフイルムでスタートしましたが、途中でビデオにかわりました。

現場の俳優は、その点どう考えているのでしょうか。

私は以前、“時代劇のエース”高橋英樹さんに昔のドラマについて話す時間をいただいたとき、フイルムドラマについて伺ったことがあります。ちょっと長いのですが、その部分をここでご紹介します。
ー最近は、フィルムドラマの衰退が一部のドラマファンに残念がられているのですが、いかがお考えですか。


高橋 ぼくらは、こと時代劇に関してはフィルムの方がいいと思っています。映像というのは、映っていいところといけないところがありまして、ビデオは深度が深いものですから、うつしたくないところも綺麗にピントが合ってしまう、ということがあります。


35ミリのフィルムをビデオに焼き付けたものはいいんです。ただ、16ミリをビデオに焼き付けると、解像度の問題か何かで色味などもよくないんですね。このへん、技術的に研究すれば何とかなる問題だったと思うんですが、いかんせん、値段がビデオテープの方が安いですよね。だから、どうしてもビデオテープの方に移行してしまう。テレビの視聴者の皆さんは、ビデオのものを見続けていますから、フイルムものが出てくると何か昔の作品を見るような違和感があって、ますますビデオ化していったということでしょうね。


でもぼくは、やはり時代劇はフィルムの方がいいんじゃなかろうかと思います。研究を十分行わずに、「こんなもんじゃないの」で終わってしまったところは否めないんじゃないのかなあ。それがビデオ技術に取って代わられてしまったと。デジタルの小さなカメラで撮ってフィルムに焼き付け、それをビデオで起こすというような試みとか、もっと研究をすべきだと思いますね。


聞いたところでは、「インディージョーンズ」でトロッコが地下道を行くシーンは、日本のコンパクトサイズのカメラのコマ連写でずっと撮ってつなげていたそうですね。これならどこからでも撮れるので、広大なセットを作らなくてもいいわけです。日本の技術を向こうはうまく使っているわけですよね。


翻って日本では、「映画っていうのはこんなもんだ」という固定観念から離れず、角度が悪くても「カメラは入れませんから」と頑なになって撮っているところがあります。そんなとき、ちっぽけなカメラで撮ったっていいわけじゃないですか。ビルがないから大俯瞰が撮れないと言うけど、デジタルカメラを風船でとばせば大俯瞰が撮れるじゃないですか。失敗したらやり直せばいいんだから。柔軟性がないということなのかな。そのへんでフットワークよく、みんなが考えていかないと、ということですね。ビデオ化には綺麗さが求められていますが、それでもまだまだ考えるべき所はあると思います。


かなりマニアックな話なので、一般の視聴者からするとわかりにくいかもしれませんが、要するにフイルムを効果的に使う試みはまだ考えられるから残念だった、という話です。

物事に永遠はありませんから、どんなものでもいずれ役割を終えるときは来るのでしょう。

が、すべきことは全部し尽くしてからであってほしいな、とは思いますね。

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コメント 8

hatumi30331

見る側の人間としては・・・キレイで、上手く撮れてる事が嬉しいわけですから、フイルムでもビデオでも・・・・
上手な使い方をしてもらって、いい作品を残して行って欲しいですね。
映画大好きですから〜〜♪^^
by hatumi30331 (2012-09-13 06:27) 

pandan

デジタル化してますね〜
ちょっぴり寂しい気もします。
by pandan (2012-09-13 06:42) 

旅爺さん

そう言えば近年の映画はフイルムでなくメモリーみたいなのかな? 
by 旅爺さん (2012-09-13 07:10) 

cafelamama

僕もフィルム派ですが、現場はほとんどHDで撮影する時代に
なりましたね。
以前のビデオは深度が深すぎてフラットな画になってしまったり、ラチチュードが足りなくて諧調がないため、とても観れるものではなかったですね。
最近は小型のHDキャメラも単レンズで撮れるようになってきたし、後処理もかんたんになってきました。
それでもフィルムにこだわりたいですが、ネガフィルム代とポジフィルム代、そして原版の保存などを考えると、デジタル撮影でやらざるを得なくなっているのも、仕方ないような気がします。

by cafelamama (2012-09-13 10:52) 

さうざんバー

古くても、良い所を残せる技術がありながら、商業的な面だけで、切り捨てる風は、やっぱりちょっと悲しいです(--;)
良いところは残し、新しい良いトコロと融合できると、良かったのに・・・(^^;)私は古い人間ので、フィルムが良いです(^^)v
by さうざんバー (2012-09-13 11:23) 

リキマルコ

いろんなものがデジタル化されるのは寂しい気がしますが、時代にマッチした方法なのでしょうね(^^;)
きれいなものを求めるとそうなるのでしょうか・・・。
by リキマルコ (2012-09-13 15:56) 

ひでほ

とうとう富士も撤退ですか・・・・
35ミリの一般フイルムは残してほしいですね。
by ひでほ (2012-09-13 17:19) 

Take-Zee

ご訪問、Niceありがとうございました。
フジフィルムの輸出部門で働いていますが
ホントに時代の趨勢と諦めています。

by Take-Zee (2012-09-14 20:41) 

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