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“自然の農薬”は安全か~木酢液入り鶏卵を調べて~

木酢液と卵

木酢液入り鶏卵が問題になっています。昨今は、卵もブランド卵が流行していますが、それはこれまでの卵とどう違うかというと、ビタミンが多く含まれる健康食品ということ。では、どうやって卵により多くのビタミンを使うのかというと、飼料に木酢液を使うことだといわれています。しかし、木酢液には問題がある、という話です。


戦後史は、焼け野原からのスタートでしたから、ある一時期まですべてが右肩上がりでした。

農業でいうと、戦後の食べ物のない時期から始まって、今や飽食の時代とも言われますが、農業の量・質両面における驚異的な向上は、農薬や化学肥料が大きく貢献しています。

ところが、近年の食の不安をあおるような事件から、まるでそれらを使った近代農業は悪であるような見方もあります。

たとえば、スーパーの野菜や果物を見ると、「有機栽培」という表示があります。

一見、化学肥料や農薬まみれでない自然の安心・安全を保証するかのような書き方ですが、これは注意が必要です。

簡単に言えば、分析・研究が行われてリスクの少ない適量が決められている「化学で作ったもの」と、得体の知れない「自然のもの」では、実は後者の方がずっとリスキーだ、ということです。

「無農薬」というだけで喜んではならない。

むしろ、「農薬=危険」と単純に考えることで、農薬を効果的に使うメリットを見ることができなくなるし、農薬でない危険な物の使用も許してしまうことにもなりかねません。

もっとも、このての議論は昔から行われていて、いいかげん「有機信仰」はやめろ、農薬/化学肥料を怖がるのはトンデモだ、とまで言い切る主張もありますが、私はそれもまた極論だと思います。

なぜかといえば、農薬はまさに「薬」であり、そして、人間が使っている以上、間違った使い方をすることはあり得るからです。

ですから、残留農薬を気にするのはトンデモどころか、人間は間違いうるものである、という冷徹なものの見方に基づいた理性的な用心であると私は思います。

私が今回言いたいのは、農薬何でもおおいに結構、という意味ではなく、「有機」とか「無農薬」といった「自然のもの」に対するナイーブな信頼への懸念です。

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鶏卵と木酢液



たとえば、私たちが日常お世話になっている鶏卵があります。

安くて栄養価の高い、いわゆる「完全食」です。

その鶏卵ですが、最近はビタミンが多めに入ったブランド鶏卵がスーパーでは当たり前のように売られています。

その多くは、木酢液という“自然の農薬”が使われています。

木酢液というのは、簡単に言えば、炭焼きの煙を冷却してできる弱酸性の液体です。

木酢液は、採卵鶏の飼料に混ぜて使うことで、魚粉など動物性たんぱくの飼料にある臭みを消せることと、ビタミンの多い卵を生むという報告があります。

また、鶏に限らず生き物を飼っている所は、糞尿などあり衛生的ではないので、強い殺菌性をもつ木酢液を撒くところもあるそうです。

ですから、多くの養鶏家は木酢液を使っています。

で、木酢液を“自然の農薬”と書きましたが、冒頭に書いたように木酢液には自然ならではの「得体の知れない」懸念があります。

その強い殺菌性は生物の細胞レベルで悪い影響を及ぼす可能性を示した報告があるのです。

有名なところでは、本山直樹(農薬毒性学)千葉大学教授らが2004年に発表した、各種市販および自家製木酢液・竹酢液7種類についての変異原性試験です。

市販の木酢液4種類と、自家製品1種類、つまり7種類中5種類に変異原性が認められたというものです。

変異原性というのは、 DNAや染色体に損傷を与え突然変異を起こす性質で、即発がんということではないのですが、忽せにできないものです。

日本炭窯木酢液協会という、木酢液の側に立った団体でさえ、ある条件下では木酢液に危険物質が含まれることを認めています。

私は養鶏家でも化学者でもないので、専門知識があるわけでもなく、研究をしているわけでもありませんが、一消費者として、いったい現在のブランド鶏卵にどのくらい木酢液が使われているのかアンケート調査したことがあります。

ちょっと前の聞き取りですが、こんな感じでした。
・こだわり桜色たまご(丸紅エッグ)......千葉産、非遺伝子組み替え飼料、木酢液不使用
・桜小町(丸紅エッグ)......茨城、栃木産、食品衛生法に則った飼料、木酢液不使用
・甲州山懐さくらたまご(黒冨士農場)......国産交配種、木酢液不使用
・地養卵(多摩エッグ)......木酢液使用(サイトで明言)
・イセ食品......「植物の味わい」のみ木酢液不使用(しかし、商品のパッケージはこれも木酢液使用となっている)
・トキワの卵(南部生協)......木酢液不使用、トキワ養鶏自家配合飼料(PHFコーン、乾燥青草、大豆かす、魚かす、プレノミックス(必須アミノ酸)、カキ殻、リン酸カルシウム、食塩)、卵黄も無着色
・はぐくむたまご(大栄ファーム)......トウモロコシ、マイロを主食とし、他にふすま、脱脂米ぬか、大豆粕、魚粉、アルファミール、炭酸カルシウム、木酢液不使用
・たまごサイズミックス(元木養鶏場)......トウモロコシ、マイロを主食とし、他にふすま、脱脂米ぬか、大豆粕、魚粉、アルファミール、炭酸カルシウム、木酢液不使用
・赤玉たまご(元木養鶏場)......トウモロコシ、マイロを主食とし、他にふすま、脱脂米ぬか、大豆粕、魚粉、アルファミール、炭酸カルシウム、木酢液不使用
・Y千代たまご......無回答
・Yファーム......無回答
・T生協......無回答
・Aキタ......無回答
・Y本養鶏......飼料はトウモロコシを主原料とする。添加物にゼオライト、木酢精製液(0.7%の濃度)、海藻、ヨモギ、桑の葉

使っているところもあれば使っていないところもありますが、問題は、使っているところが「ウチは使っています」と堂々宣言しているわけではないので、いちいち調べなければわからないということ。

もし、これが食品添加物だったら、使っている場合には明示しなければなりませんが、“自然の農薬”であるために、それをしなくてもいいし、また規制もされていません。

それと、エサに使っているとして、鶏卵にどのような影響があるのはわからないことも心配です。

私はやはり、「自然」のものには注意を払いたいと思うわけです。

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タグ:木酢液 鶏卵
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コメント 10

はる

こんんばんは、いつも勉強になります。
記事とは論点がずれますが、私の父からの報告です。近所で「無農薬野菜」として出荷するある農家では、夜中に思いっきり農薬撒いて育てているそうです。知り合いなので、聞いた見たところ、「農薬撒かずに育てるの大変なんだよ」だったそうです。まぁ、ひどいと言えばひどい話ですが、気付かないで食べてる人がいたら、それはそれで幸せなんだろうかと…。
by はる (2012-09-26 02:05) 

1stdmain

うー。そんなこと露ほども考えないで
毎朝卵かけご飯をお代わりしていました(冷や汗)
これから卵かけご飯は1膳でやめておきます。
by 1stdmain (2012-09-26 02:21) 

カリメロ

そうなんですね~。
我が家の家庭菜園は「木酢液」オンリーです^^;
家の周りに撒くと、ムカデなどが家に入ってくるのも防げる!?と、信じて使って撒いています(笑)
by カリメロ (2012-09-26 02:28) 

亀仙人 孝禎

健康に関わって来る事なのでもっと詳細を続編としてレポして頂きたいと思います。
大変興味深いです。

by 亀仙人 孝禎 (2012-09-26 04:13) 

pandan

知らないことがたくさんです、
毎日食べるものだからやっぱり大事ですね。
by pandan (2012-09-26 05:41) 

さうざんバー

自然:有機=安全は危険な思想ですね! 科学は便利ですが、過ぎればいけない! 農薬は必要に応じて使っているんですが、消費者は見た目”綺麗なもの””安いもの”を求めます(--;) お百姓さんの悩みは尽きませんね(^^;)
by さうざんバー (2012-09-26 10:16) 

旅爺さん

残留農薬は見えないので怖いですが、
当地は放射能も怖いですよ。
by 旅爺さん (2012-09-26 18:54) 

toyo

同感です。
私たちの「ちくたん組合」でも竹酢液を生産しています。
で、炭の煙を冷やしてポタポタと大きな容器に貯めて
一年くらい経つと容器の竹酢液が3層に分かれます。
一番上の澄んだ黄色い液体と、その下のやや茶色の
液体。そして最下層はドロドロとした黒っぽい液体になります。
この最下層の液体には有害なタールやホルムアルデヒド、
ベンゼン、トルエン、ベンツビレン、ピリジン、等の発ガン
物質が含まれているので使いません。使ってはならない
んです・・と、こういうことは一般には知られていないようで
す。
たしかに天然物だからといって安心はできないと思います。
天然物でも「濃縮」されていれば自然界の発ガン物質も
一緒に濃縮されるので絶対安全ではないと思っています。

農薬も使わないで済めば一番いいのですが私たちは
農薬の恩恵も確実に受けていますのです難しいところ
ですね。要は使い方のバランス・・と思っています。
by toyo (2012-09-26 20:57) 

chima

小学校でも虫除けに使われてますね~
うーん
by chima (2012-09-27 21:51) 

お名前(必須)

'自然'の農薬ではなく、科学的な手法により生成されたもので、一定の品質管理がなされたものです。一部のビーフジャーキー等に食品添加物として利用されることもあります(燻液と呼ばれます)。
by お名前(必須) (2017-08-05 22:04) 

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