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野村沙知代さん、大量名誉棄損訴訟“初勝訴”の日

野村沙知代さんといえば、元楽天監督・野村克也氏夫人としておなじみです。おなじみというのは、自身がマスコミに露出していたからですが、同時に記録的なバッシング報道にもさらされたため知名度は抜群です。

タレントは事実上公人扱いされていますが、政治家と違い、本人が売り物にしていない私生活をのぞき見するような報道は名誉棄損になります。

いくら野村沙知代さんが猛女的キャラや脱税トラブルがあったからといって、私生活や人格面で事実無根を含めて何を書いてもいいわけではありません。

ところが、わが国のメディアは、当初タレントとして野村沙知代さんのキャラクターを大いに利用しておきながら、いったんトラブルが発生すると、一転して「水に落ちた犬は打て」とばかりに叩き役に回し、明らかに事実無根と思える記事まで含めて好き放題報じまくり、ネットでも一部大衆はそこになんら懐疑も逡巡もなくバッシングを楽しみました。

そこには、人を無根拠に貶める群集心理の醜さと、普段はマスゴミなどとののしりながら、肝心なところで疑えない理性の脆弱さを見る思いがして、私はいや~な気がしました。

まあ、そういう思いは野村沙知代さん報道に限らないのですが。

そんな野村沙知代さんの復讐は、自分を叩いた記事のうち明らかなデタラメ報道31件の大量名誉毀損訴訟でした。

中には、メジャーともいえない出版物もありましたが、野村沙知代さんはちゃんと自分に対する誹謗は記録していたんですね(笑)

その初めての判決(野村沙知代さんの勝訴)が出たのが、10年前の5月でした。
サッチー勝訴 週刊誌名誉棄損220万円賠償命令
 週刊実話の記事で名誉を傷つけられたとして、タレント野村沙知代が、発行元の日本ジャーナル出版に1650万円の損害賠償を求めた名誉棄損の判決で、東京地裁は15日、220万円の支払いを命じた。
 週刊実話は99年に3回にわたり「借金が10億円以上ある」などと、野村の金銭問題に関する記事を掲載した。判決理由で福田剛久裁判長は「借金額には証拠はない」と指摘し、「野村さんの名誉を棄損した」と認定した。 (2003年5月28日『日刊スポーツ』から)

2003年5月15日、東京地裁は『週刊実話』の記事が野村沙知代さんの名誉を毀損したとして、発行元の日本ジャーナル出版に220万円の支払いを命じました。

問題となったのは、同誌が野村沙知代さんについて「借金が10億円以上ある」「出馬した衆院選で落選後、選挙事務所から1000万円を持ち去った」などと書いた記事3件でした。

同月31日には、「(野村沙知代は)魔女どころか毒婦以下」と発言したデヴイ夫人に、東京地裁より110万円の支払いが命じられました。いずれも、野村沙知代さんが名誉を傷つけられたとして損害賠償を求めていた訴訟です。

度重なるバッシング報道に、野村沙知代さんが堪忍袋の緒を切らし大量提訴に踏み切ったのが2002年5月。『週刊ポスト』『女性セブン』『女性自身』を皮切りに、『週刊実話』『週刊女性』『フラッシュ』『週刊朝日』などの週刊誌から、浅香光代、渡部絵美、塩月弥栄子、杉浦正胤、デヴイ夫人まで、名誉毀損件数は計31件、賠償請求額は合計5億円とも伝えられています。

「もうこれ以上我慢する気はさらさらない」(『創』2002年8月号)と語ったとおり、メディアから個人に至るまで、もう容赦ない報道で、まさに「猛女」の面目躍如といったところでした。

それにしても、野村沙知代さんをそれほどまでに激怒させたバッシング報道とは一体どのようなものだったのでしょうか。「戦後史の激動」。野村沙知代さんへの名誉棄損の戦後史として振り返ってみましょう。

事の起こりは1999年3月31日。剣劇女優・浅香光代がラジオ番組で「あんな人はもうイヤ。ひっぱたいてやりたい」と野村沙知代さんへケンカを売ったのが始まりです。

「何が代議士よ。あいさつもろくにできないのに何考えてんだ。税金の無駄遣い。笑わせるんじゃないってんだよ!」「テレビの若い人や運転手を『バカヤロウ』と怒鳴りつけるなど弱い者いじめが過ぎる。あんな女を番組に起用するから増長する」などとプチ上げ、野村沙知代の写真を破り捨てた(『ZAKZAK』1999年4月1日更新)と書かれています。

これにデヴィ夫人や美輪明宏、渡部絵美らが参戦、野村沙知代さんが集中砲火を浴びる形となりました。

ワイドショーや週刊誌はこの「ミッチー・サッチー騒動」を大きく取り上げ、重要な社会問題でもあるかのように野村沙知代さんを叩きまくりました。

当時の週刊誌の見出しを拾ってみると -

「野村沙知代『サッチーはなってはいけない人間の見本』『売名行為』発言に浅香光代、血圧上昇 元事務所従業員Mさんがあかす悪業の日々」(『週刊女性』1999年4月27日号)

「メガトンスクープ! 野村沙知代身内3人が次々と怪死!近親者が語る恐るべき事実」(『週刊女性』1999年6月8日号)

「サッチーよ!家政婦は見ていた!寝室にバット、牛肉代を払えから夫婦の関係までを全告白」(『女性セブン』1999年7月5日号)

「野村沙知代〝元恋人〃が口ごもる『援助交際!』守銭奴ぶり 奔放な男関係…彼女が葬ったすべての過去を知る男性は」(『週刊女性』1999年7月6日号)

「『沙知代に殺される!』あの野村監督が悲鳴をあげて逃げ出した夜 国民的疑問! 知将はなぜ彼女を妻にしたのか?」(『女性セブン』1999年7月8日号)

もう天下の極悪人扱いですが、噂や憶測の城を出ないものもあります。

たとえば「学歴詐称だけじゃない! サッチー10大疑惑の真相!」(『女性自身』1999年7月6日号)と題した記事では、1997年5月にヤクルト・川崎憲次郎投手の自宅マンションから飛び降り自殺した可愛かずみさんの「友人」なる人物のコメントを載せて、まるで野村沙知代さんが“真犯人”であるかのように描いていました。

「(神田)うのと石井さん(ヤクルト・石井一久投手)が交際していた時、あの人(野村沙知代)は探偵事務所に頼んで、うのの素行調査をしていたらしいの。かずみも調査されていたに違いありません。昔のヌードグラビアを集めて、川崎さんに渡していたみたい。神経の細いコだったから、精神的に参ったのかも」

「違いありません」「のかも」……このなんとも頼りないコメントを紹介しただけで、「故・可愛かずみさんを追いつめた尾行調査!」の小見出しが立つ。

こうまでして野村沙知代さんを悪者に仕立てる必要があったのでしょうか。何より可愛かずみさんをも冒とくしています。

その後、脱税事件によってふたたびサッチーバッシングが大きな「流行」になります。

脱税自体は事実なのでこちらは詳しくは書きませんが、このときも、「犯罪者は何を書いたっていいんだ」といわんばかりの叩き記事が洪水のようにありました。

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もちろん、こうしたサッチー・バッシングについては、一部からは「なぜこれほどまでに」という声もありました。

芸能ライター・佐々木慎吾氏は、バッシングが始まったのがプロ野球の開幕直前だったこと、巨人が低迷してからバッシングが激しさを増したことなどから、「(バッシングは)夫である野村克也阪神監督への揺さぶり」という野村沙知代さんの「読売陰謀説」を支持。(『日刊ゲンダイ』1999年5月26日付)

その後、思惑通り(?)阪神は最下位に沈んだわけですし、野村克也監督辞任のきっかけも、野村沙知代さんの脱税の引責だったわけですから。

「野村沙知代批判を繰り返している面々も、実はそれ以上にウサン臭かったり、目クソ鼻クソのタグイ」とバッサリ切り捨てたのは『噂の真相』(1999年8月号)です。

どうやら〝闘う女剣劇士〃と持ち上げられた浅香光代も、自身の過去を暴いた怪文書の隠ぺい工作を図るなど、他人のことを言えた立場ではないことも暴いています。

私は当時、自分のことを棚に上げて正義ぶる剣劇女優にも、疑念と憤りを感じていたので、ジャーナリズムの平衡感覚をはたらかせたこの記事に快哉を叫んだものです。アサカ、ザマミロと。

にもかかわらず、大部分のメディアは野村沙知代さんだけを一方的に槍玉に上げました。

その理由は、「視聴率を稼ぎたいワイドショー側と、それぞれに思惑のある連中がお互いの利益で結びつ」いているという背景があると『噂の真相』(1999年8月号)は指摘していました。

つまり、サッチーバッシングは、野村沙知代さんに個人的な恨みを持つ連中と、タレント・野村沙知代叩きでひと稼ぎしたいメディアの合作というわけです。

元ワイドショープロデューサーの中筑間卓蔵氏は、「重要法案が審議されるとき、決まったように視聴者の目をそらせる事態が起こるのは不思議」と語っています。(『しんぶん赤旗日曜版』2003年6月1日付)

ミッチー・サッチー騒動の続く1999年8月、通信傍受法(盗聴法)、国旗国歌法(日の丸・君が代法)、改正住民基本台帳法が次々と成立してしまったからです。

マスコミの非難報道なんて、純然たるジャーナリズム精神からのものと、頭から信じてはいけないということですね。

そんなきれいなものではないと。

昨年でいえば、政治の小沢一郎氏、芸能の小林幸子などがマスコミの餌食でした。

ネットはメディア報道に興奮して、さらに自分の悪意を盛った毒吐き個人ブログなどもずいぶん見かけましたが、対象が野村沙知代さんだったら、その人たちもきっと訴えられていたことでしょう。

余談ですが、私は2年前のいちばんバッシングがひどかったころ、小沢一郎氏の懐刀の平野貞夫氏に、「なんで小沢氏はメディアを訴えないのか」と尋ねたことがあります。

小沢一郎氏は、自分に責任があってもなくても、自分が被害者でも疑惑の人でも、とにかく弁明をしません。メディアと親和的ではないので、抗議もがまんしているのかと思ったら、そういうことではないらしい。

その理由は、「いくら訴えようが反論しようが、(名誉棄損を)ヤる奴はまたヤる。結局、その人が非を認め悔い改めるのは、他者の働き掛けではなく自分自身の改心しかない」ということだそうです。

ご本人から直接聞いたわけではなく、平野貞夫氏を通した又聞きですけどね。

小沢一郎氏の好き嫌いや政策の支持不支持にかかわらず、私はこれ自体は至言だと思いました。

ただ、そうなると、「民主党大反省会」なる催しで、看板に反して悪口と言い訳と自画自賛しかしなかった管直人氏の独善暴走も、「自ら悔い改める」しか解決の道はない、ということでしょうかね。

困ったものです。

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