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『ネット依存症』で人とのつながりを改めて考える

『ネット依存症』(PHP研究所)という書籍を読みました。著者は久里浜医療センターの樋口進院長。ネットの「嗜癖」が高まり、青少年が身体的・精神的に蝕まれている実態をわかりやすく解説しています。最近はスマホの普及で、パソコンから離れてもネットとの付き合いが続けられることから、ますます「ネット依存症」は深刻になっているそうです。

樋口進氏は、医療センターの「ネット依存治療専門外来」での経験をもとに執筆されたそうです。

怪我と違い、見てすぐに分かることではありません。そのため、最初は「自分はたんに人より少しネットにつながっている時間が長いだけ」と思っているけれども、やがて生活に支障を来たすことがあるといいます。

同書は、成長期の青少年の深刻な相談の内容と、その解決の提案が書かれています。

ただ、書籍の宣伝コピーは、「ネットにつながっていないと不安になる……スマホを手放せないあなたも危ない!!」ですから、成人全般にあてはまる話なのです。

『ネットのバカ』のときにも出てきましたが、やはりスマホが問題になっているんですね。

具体的な相談内容は同書をご覧いただくとして、私は今回、一点だけ気になる点を書いておきたいと思います。

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人とつながりたいからネット依存という新しい傾向


人と関わるのが苦手、煩わしい、という人がネットに……。

同書にそう書かれています。

ここまでは、今までにも言われてきた、ありがちなことです。

ここから先はちょっと意外だったのですが、昨今のネット依存症というのは、たんにファミコンなどのテレビゲームに没頭するような依存症とはニュアンスが違うのです。

もちろん、単純にコンテンツの面白さにハマッてしまう場合もあります。たとえば、オンラインゲームやYOUTUBEを見過ぎるケースです。

ただ、それだけでなく、たとえばSNSで「いいね!」が欲しい、ツイッターでリツイートして欲しい、掲示板で自分が書くのはできないが、自分が思う意見を書き込んでくれる人を待っている、などの理由でネットから離れられなくなるケースもある、といいます。

つまり、実生活で人とうまくつながれない人が、つながらなくていいからネットに居場所を求める、というのではなく、むしろネットでこそ人とつながりたいがために、ネットから離れられなくなるというのです。

これは、思った以上に深刻だなあと思いました。

ゲーム依存症なら、根っこは「ゲームが面白い」という気持ちです。そこに、リアルな対人関係で得られないものを求めたとしても、しょせんは「代償行為」です。

でも、ブログやSNSやツイッターなどで、人とつながりを求めるというのは、実在する人間とのコミュニケーションですから、(たかが)ネットでリアルなつながりを求めていることになります。

ハッキリいいましょう。これは心得違いな欲求だと思います。

もちろん、ネットで人と関わることが全く意味がないということではありません。

たとえば、出会いなどもないとは言えません。

ただし、それはあくまでも「出会い」の段階でそういうこともあり得る、というだけの話です。

人間関係や、相互理解といったきちんとしたつながりを獲得するには、リアルな泥臭い付き合いが必要です。

リアルで人間関係ができている人が、ネットのツールでコミュニケーションすることと、ネットで「つながっている」人が、その関係を維持したままでオフ会で会うことは、たんにベクトルが反対なだけでなく、意味が全く違います。

たとえば、「いいね!」を付け合う関係がまずできている人同士が会っても、それはお互いの存在を確認するだけで、そこから人間関係が深まるとは限りません。

なぜなら、「いいね!」をし合う関係という縛りがすでにできているから。むしろ、それが足かせになって、忌憚のないことを言い合える付き合いをしにくい、ということだってあるからです。

常識的に見て、リアルで人とうまく付き合えないような人が、「ネットでつなが」ってしまったら、逆にその人とリアルではうまく付き合うのはますますむずかしいだろう、と思います。

ネットの付き合いとリアルな付き合いは違う


「ネットをやっているのは間違いなく人間なのだから、そこでつながることは『人のつながり』には違いないから孤独よりもマシだろう」

という考え方もあるかもしれませんが、ネットの向こう側の人格なんてわかりませんよ。

人の付き合いというのは、お互いの人格を見せ合う信用取引ですから、なりすましや、特定の目的による実験など、その人の真意が見えない前提では、通常は成立し得ないものだろうと私は思います。

それとともに、私が思うに、人はつながらなければならない、という「ねばならない」論もまた、「ネット依存症」の原因の一つになっていると思います。

無理につながる必要などない、という価値観にたてば、ネット依存症は少なくとも「人とつながりたいから」という理由でのものは少なくなるはずです。

人は孤独では生きてはいけない

あなた、ほんとにそう思ってますか?

そんなことは個人の価値観にまかせればいいことで、勝手に決め付けるものではありません。

孤独が嫌ならつるむだろうし、他人に気を使うぐらいなら孤独でいい、という人だっているでしょう。それは人それぞれ。人生は自由でいいのではないでしょうか。

先日の「コミュ障」でも書きましたが、そもそも他人とコミュニケーションがうまくできないケースというのは様々な背景の異なる理由がありますから、いちがいに、その行為や状態を「ダメだ」とはいえません。

私は、リアルで他者とつながることを求めていない人がネットで楽しければいい、というケースは否定しません。それは依存というより「代償行為」です。

しかし、人とつながりたいからネットでのつながりに熱中している、という人に対しては、ネットのつながりはリアルなつながりとは違うこと、そもそもつながらなければならないという考えにとらわれる必要はないことを申し上げたいですね。

ネット依存症 (PHP新書)

ネット依存症 (PHP新書)

  • 作者: 樋口進
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2013/11/16
  • メディア: 新書



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