So-net無料ブログ作成

老前整理、中途半端な財産よりも晴れ晴れとした手元不如意を!

老前整理という言葉をご存知ですか。今週号の『週刊現代』(3月1日号)には、「60すぎたら、どんどん捨てなさい」というタイトルの記事があります。サブタイトルは「捨ててこそ、楽しい人生が始まる」。記事は、老後の楽しい人生のために「捨てる」ことをすすめています。

「どんどん捨てなさい」としているのは、「親」「子供」「友人」「家」「見栄」「年賀状やお中元(仕事上の付き合い)」「カネ」、そして「妻」。

要するに、生まれた時のほしのもと(親)も、その後仕事や暮らしの中で築いたり獲得したりした有形無形のものもすべて、人生の区切りをつける時に一緒に手放しなさい。それによって、次の人生を新たな気持でしがらみなくすっきり送ることができる、という話です。

週刊現代・60すぎたらどんどん捨てなさい.png

介護が大変な親は施設を考えなさい。

お義理で年々増えている年賀状もやめなさい。

去る妻を未練たらしく追うのはやめなさい。

いいかげん子離れしなさい。

カネは残そうとせず使いきりなさい。

さて、小金を貯めて自分だけは安全なところにいたい「中流気分」のあなたにできますか。

同誌では、老前整理コンサルタントの坂岡洋子氏が老前整理をこう説明しています。
「『老前整理』とは文字通り、老いに備えて身辺整理をする、という意味の造語です。私が老前整理の必要性を感じたのは、介護の現場においてでした。ケアマネージャーとして介護現場で働いたときに痛感したのは、高齢者はとにかくモノをたくさん持ちすぎているということ。おカネを稼いでいた現役時代は、古くなったものは 『また買えばいい』と処分することもできたけれど、収入が年金などに限定される老年になると、一度捨てたらもう買い戻せないという思いが出てきて、なかなか捨てられなくなってくる。その結果、家の中にどんどんモノが溜まっていくのです」
「多くのモノに埋もれていたら、身動きが取れなくなってしまう。むしろ、思い切って必要のないモノをそぎ落とすことで心が整理され、自分が本当は何をしたいのか、新しい生き方や暮らし方がおのずと見えてくるのです」
坂岡洋子氏は、「思い切って『捨てる』勇気を持ってほしい」と強調します。

作家の曽野綾子氏もこう続けています。
「私は死後、自分の存在を後世に残そうという気持ちがまったくありません。文学館はたいていのところで後の経営が大変。文学碑を作るのは自然破壊だと思う。
 だから、身辺は、早くから整理し始めました。始末ってとっても体力もかかるので、元気なうちに始めなきやならないんです。そうやって整理する一方で、アフリカへ旅行に行くなど、したいことをする。もういつ死んでもいいと思えれば、かえって冒険ができます。『自由を我が手に』です。若いときと違う青春は、現実にあるんですよ」
私は、曽野綾子さんの政治的意見には必ずしも賛成ではありません。

が、作家として功成り名を遂げながら、これだけ潔い老後を考えていることについては、人間として率直に敬服します。

団塊世代だけでなく、「60すぎ」を間近に控えた50代中盤以降の方はどう感じられたでしょうか。

生きてきた証を捨てろなんてトンデモない、と思いますか。

でも、いっちゃなんですが、あなたにとって宝物であっても、他人にとっては二束三文だと思います。

死んでしまえば、残った誰かがそれを始末しなければなりません。

ただのゴミなんですよね、他者にとっては。

遺産として残せば後の人が喜ぶと思いますか。

それはそうかもしれませんが、弊害もあるかもしれませんよ。

遺産争いが起こって、仲の良かった身内が関係を壊してしまうかもしれません。

というのが同誌の記事の趣旨です。

自分の人生事大主義に陥るな!


なかなかおもしろい記事だったと思いますが、私個人の意見とすれば、もう一歩踏み込んで、「60すぎ」ではなくても、30代でも40代でもあてはまるんじゃないかな、と思います。

ある程度人生を生きると、財産がないと外聞が悪いかな、引っ越すときに手荷物1つでは、自分の人生は何だったんだと思ってしまう、友だちがいないと自分の葬式はどうなる、なーんて考える人もいるんじゃないでしょうか。

ハッキリ言いましょう。

そんなもん、ちっぽけなことです。くだらない

人間、死ねば灰になるだけ。

あなたの葬式に1000人来たら、あなたは生き返るんですか。そんなことないでしょう。

直葬(葬式なしで焼く)や家族葬だろうが、盛大な葬式を出そうが、死んだ人自身には何の関係もないことです。

作家や芸能人なら、作品で名前ぐらいは思い出してもらうかもしれません。が、一般の人なら、社長だろうがナンバーワンセールスマンだろうが、しょせん生きているうちの勲章に過ぎず、亡くなったら忘れられます。

栄華も隆盛も、しょせん生きているうちの話なんです。死んだらそれっきり。

寂しいですか?

私はそうは思いません。

新しい世代が新しい世の中を作るためには、古いものは忘れてくれたほうがいいのです。

何より、記事の通り、その人自身にとっても、中途半端に荷物や財産があると大変です。

記事では、「老後」をターゲットにしていますが、人生の区切りは、何も定年後とか、70歳とか、年金世代になってからとは限りません。

私事ですが、26の時結核になり、自分ではちょっと誤解もあって助からないと思ったので、わずかな蓄えも使い果たして身辺も整理し、入り直した大学もやめました。

つまり、私は人生を26歳でいったん区切りをつけています。

2.5年前には、火災で公私のすべてが焼けて無一文になっただけでなく、いろいろあって仕事や人間関係も一変、というか一掃せざるを得なくなりました。以来、事故前の友人・知人に年賀状はほとんど出していません。

もう、それまでのすべてを失ったり捨てたりしているのです。

私の人生は、さあ、これからというときに大きく落とされて手元不如意の日々が続く罰ゲームのような展開の繰り返しで、たしかに困ったり虚しかったりすることはあります。

好んでもいないのに、人世の途中でリセットさせられる運命に振り回されている疑念や憤りはありますが、でも、それで生きていけないかというとそんなことはありません!

この記事を読むあなただって、いつどんなときに人生をリセットさせられる時が来るかわかりませんよ。

「捨てる」というより、もっと強引に「失う」「捨てざるを得なくなる」ことも人生にはありえるのです。

そうなっても生きていけるような覚悟は、たとえ30代だろうが40代だろうが、持っておかれたほうがいいと思いますし、そうなったとしても、それもまた人生なのです。

週刊現代 2014年 3/1号 [雑誌]

週刊現代 2014年 3/1号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/02/17
  • メディア: 雑誌


スポンサーリンク↓


nice!(345)  [編集]
共通テーマ:学問

nice! 345

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます