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松林宗恵監督の祥月命日、月遅れお盆&終戦の日

松林宗恵監督。東宝映画ではお馴染みの監督です。8月15日は、終戦の日であり月遅れお盆でもあります。まさにその象徴と言っていいのかもしれません。僧侶でもあった映画監督の松林宗恵さんの祥月命日が8月15日です。反戦を声高に叫んだり政治活動をしたりしたわけではありませんが、作品の中に平和な暮らしの尊さを追究した松林宗恵監督。その作品を思い出しました。

松林宗恵。映画関係者や映画ファンは、「しゅうえ」と読みます。

しかし、本名は釈宗恵(そうけん)。

釈という苗字で何となくわかりますが、実家は浄土真宗。本人も途中まで龍谷大学に在籍していました(途中から日大芸術学部へ)。

松林宗恵
『東宝昭和の爆笑喜劇Vol.25』より。真ん中は森繁久彌。右端は八波むと志

このブログでは、東宝昭和喜劇のドル箱シリーズであった森繁久彌の「社長シリーズ」について、

森繁久彌さんの「生誕100年祭」改めて鑑賞する『サラリーマン忠臣蔵』
『社長道中記』で森繁久彌と小林桂樹が演じる高度経済成長時代
『社長漫遊記』で若戸大橋開通と塩沢ときを観る
『続・社長漫遊記』鑑賞、フランキー堺を思い出し成田山成心寺へ
『社長外遊記』のDVDを収録した『東宝昭和の爆笑喜劇Vol.23』
『続・社長外遊記』ロケ地に使われた「丸急デパート」の現在は……

など、何度か取り上げましたが、松林宗恵監督は、その社長シリーズ37作中、半分以上の23作を監督しています。メイン監督といっていいでしょう。

松林宗恵監督の母校である龍谷大学のサイトには、監督がメガホンをとった『連合艦隊』(東宝、1981年)と、そのイズムについてこう書かれています。
《連合艦隊》のお終いの方で、戦艦大和が爆破されて海に沈んでいく壮烈なシーンがある。特攻機で上空を飛ぶ息子(中井貴一)が、艦上で手を振る下士官の父親(財津一郎)に向かってつぶやく。「俺は、父さんより、ちょっと長生きができて、せめてもの親孝行になった・・・」
この映画が封切られたのは昭和五十六年八月で、戦後すでに三十余年を経ていた。〈親孝行〉という言葉は、もはや聞くことはなかったが、映画館で目頭を押さえていた人がいた。
人が操縦して敵艦に体当たりする《人間魚雷回天》は、松林が自らの体験を踏まえて企画した映画であった。声高に反戦を叫ぶわけでなかった。人の命の尊さを考えさせた。作品の底流に仏教があった。
https://www.ryukoku.ac.jp/about/pr/publications/72/13_greatman/index.htm
「声高に反戦を叫ぶわけでなかった」というころが大事だと思います。

天上の話をそのまま行っても、浄土真宗というひとつの宗派の話に過ぎません。

戦争反対と叫んでも、党派的、思想的に一部の人達に対する政治的アジテーションにとどまってしまうかもしれません。

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しかし、松林宗恵監督は普遍的な“地上の話”として、「平和の尊さ」をテーマとした作品を作り続けました。

しかも、坊さんの説教という形ではなく、葛藤や笑いや悲しみといった、人間の営みの中でそれを表現しているわけです。

余談ですが、60年代の東宝喜劇で活躍した俳優には、僧侶が目立ちますね。

やはり浄土真宗の子弟にはあの植木等。社長シリーズやクレージー映画でも活躍した石田茂樹(石田太郎の父親)も、浄土真宗本願寺派の住職でした。そして同様に悪役で活躍した草川直也も出家したそうですね。

『社長学ABC』は東宝喜劇黄金時代の最終作でもあった


松林宗恵監督の社長シリーズの中で私が印象に残る作品は、『社長道中記』と『社長学ABC』です(いずれも続編含む)。



社長学ABC

松林宗恵監督も、『社長道中記』がお気に入りの作品だったようです。同作については、『社長道中記』で森繁久彌と小林桂樹が演じる高度経済成長時代をご覧ください

もうひとつ、『社長学ABC』(1970年、東宝)については、シリーズ最終作であるとともに東宝喜劇黄金時代のフィナーレともいえる作品のため、寂寥感もあって印象に残っているのかもしれません。

ストーリーですが、舞台は食品加工会社。大日食品の森繁社長は、親会社大日物産社長(東野英治郎)から次期社長の約束手形をもらったので、大日食品の社長を専務(小林桂樹)に譲り自分は会長になりますが、株主からの反対を理由に大日物産社長就任は延期に。

暇を持て余す森繁会長は、台湾の視察旅行に行き、養鰻業者(小沢昭一)から加工業者を探していることを知らされ、いろいろスッタモンダありますが、結局はその契約はまとまるといういつものパターンです。

スッタモンダとは女性絡み。今回のマダムズは、池内淳子と草笛光子です。

宴会部長は三木のり平から藤岡琢也に、バイヤーはフランキー堺から小沢昭一に、秘書も小林桂樹から関口宏に代わっています。

ストーリーの中には、とこどころに森繁会長が社員に心遣いを見せるシーンがあり、社員は会長をときおり煙たがりながらも、深い尊敬と信頼を抱いている様子も描かれています。

これは、それまでの作品ではなかったことです。

学園ドラマが、最初は未熟でハチャメチャな先生が、最終回の頃は生徒の心を掴んでいる、というところまで進歩しているのと似ていますね。

それとこの時期、東宝は制作部隊を分社化し、専属俳優の契約を解除しているのですが、その影響があるのか、東宝女優の登竜門と言われた娘(役)は今回は誰もおらず、いつもの大部屋俳優たちもほとんど出てきません。

そしてこの社長シリーズとともに、クレージー映画や加山雄三の若大将シリーズも終了。もうひとつの柱だった駅前シリーズもすでに終了しており、東宝は喜劇黄金時代に終止符ををうったのです。

すでにDVDは売り切れていますが、またDVDマガジンなどで発売されることを私は願っています。

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  • 出版社/メーカー: 東宝
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