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『友情』(1975年、松竹)十八代目中村勘三郎の初々しい演技

友情メインタイトル

『友情』(1975年、松竹、宮崎晃監督)を観ました。誰と誰の友情か。渥美清と中村勘九郎(その後十八代目中村勘三郎)です。晩年の渥美清は、『男はつらいよ』しか出演しませんでしたが、まだ他の作品に出演していた頃の貴重な一作です。その8年前に、やはり渥美清主演で作られた『父子草』という作品を思い起こさせてくれます。(画像は『友情』より)

封切り当時に、この作品は観たことがあります。

その時は子どもで感じなかったのですが、今回観ると、当時中村勘九郎だった中村勘三郎の、好青年然とした初々しい演技が新鮮です。



本作は松竹80周年記念と銘打っていますが、芸術祭参加作品であるとか、当時の映画賞を総ナメにした、といった話は聞きません。

封切られたのが12月で、お正月の『男はつらいよ』までの繋ぎという感じでしたし、たぶん、興行収入もそれほどの数字ではなかったのだろうと思います。

ただ、昭和の映画界は、こうした「非大作」でも、きっちりした見どころのある作品があったのだ、という証明になるのではないかと思います。

ネタバレ御免のあらすじ


三浦宏(中村勘九郎)は学生ですが、父親が亡くなって仕送りが止まったために、同棲している会社員の友部紀子(松坂慶子)に面倒を見てもらっています。

宏自身、そんな自分に苛立ちを感じていて、お金と自分に厳しさを課すために一念発起。群馬のダム工事の現場作業員として、2ヶ月泊まりこみで働くことにしました。

そこで出会ったのが矢沢源太郎(渥美清)。源太郎は「いると明るくなる」と安岡(谷村昌彦)ら現場の職員は評価していますが、責任者の川辺(名古屋章)は、ときどきやらかす平九郎(ズル休み)が気に入らない様子です。

源太郎は、何かと宏のことを気にかけ、宏も次第に仕事に慣れてきますが、半月ほど過ぎた頃、トラックを横転させてしまい左腕を骨折。結局東京に帰ってきます。

東京では、紀子の伯父・順吉(有島一郎)が、ときどき訪ねてきては、同棲に反対しています。

数カ月後、源太郎が上京し、喧嘩に巻き込まれて留置場で一夜を明かしたために、宏が身元引受人に。

2人は露店でカニを買い込んで、再会の乾杯。しかし、それで食中毒になった源太郎は、3日ほど紀子に面倒を見てもらいます。

熱心な介抱を受けた源太郎は、訪ねてきた順吉に「彼女を信用しろ」と一喝。そして、家族がいることの大切さを感じ、放ったらかしにしていた妻子に会いに、宏を誘って、真鍋島(岡山)に行く決意をします。

ところが、島までフェリーが出ている笠岡まで来たものの、乗れずに宏だけが島に。

宏はそこで旅館の主人・友吉(加藤嘉)から、源太郎の妻(佐々木愛)は、源太郎と幼なじみの健太(米倉斉加年)と暮らし、子どもまで生まれていたことを知らされます。

衝撃を受けた宏は帰ろうとして港まで行くと、気を取り直したのか、源太郎がフェリーに乗ってやってきていました。

源太郎は、幼なじみと妻の新しい生活を見てしまい、笑顔でその場を離れますが、フェリーで泣き崩れる、という話です。

前半は、ダム工事の現場である群馬県の山奥が舞台。夏の避暑旅行に行ったような雰囲気はそれだけで心和みます。

中盤は、中村勘九郎と松坂慶子が同棲していた戸越銀座(東京・品川区)のアパートが舞台。

地元ではありませんが、近いところなので親近感がわきます。

後半は、瀬戸内海の真鍋島(岡山)が舞台。こちらもまた観光気分を満たしてくれます。

『父子草』を思い出す秀作


渥美清ファン、もしくは石立鉄男ファンなら、この作品を観ると、ピンとくるものがあると思います。

『父子草』(1967年、東宝)という、この時期の東宝にしてはめずらしいモノクロ映画です。

何がピンとくるかというと、若者を温かく見守る、妻に見捨てられる、など、渥美清の演じた役柄が重なるからです。

『父子草』より
『父子草』より

『父子草』については、すでにご紹介したことがあります。

淡路恵子さんが亡くなって思い出す作品と事件

初老の土工(渥美清)が、屋台で知り合った浪人生(石立鉄男)を物心両面でサポート。浪人生は東大に合格する話です。

兵隊に行っていた土工は戦死したと思われ、土工の妻は、土工の弟と結婚。

土工は居所を失いましたが、知り合った浪人生を息子と見立てて尽くすことに生きがいを感じた話です。

今回にしても『父子草』にしても、ウェットな役で、演技力や存在感が求められます。

『男はつらいよ』が国民的映画になってしまったので、渥美清というと車寅次郎のイメージが強いのですが、それ以外の作品を観れば観るほど、渥美清の芸の厚みには感服するばかりです。

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