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上田吉二郎、新国劇出身の怪優が出演した『クレージー作戦先手必勝』

上田吉二郎、新国劇出身の怪優が出演した『クレージー作戦先手必勝』

上田吉二郎(うえだきちじろう、1904年3月30日~1972年11月3日)というダミ声の役者をご存知ですか。モノマネされることで有名になった人かもしれません。1987年9月7日は、劇団新国劇が70年の歴史に幕を降ろし解散した日ですが、今日は新国劇出身の上田吉二郎を思い出してみます。



新国劇というのは、「歌舞伎と新劇の中間をゆく国民劇」(Wikiより)だそうです。

ちょっと抽象的で、私にもわかりにくいのですが(笑)、出身者には、テレビドラマや映画でも知られる俳優も少なくありません。主なところでは

石橋正次……青春ドラマの助演
上田吉二郎
大河内傳次郎
大友柳太朗
大山克巳……『大江戸捜査網』の2代目御大
緒形拳
黒川弥太郎
五大路子……『いちばん星』ヒロイン、大和田伸也夫人
佐々木剛……仮面ライダー2号、火災による大やけどからの復活
島田正吾
辰巳柳太郎
原健策……松原千明(石田純一前妻)の父
美川陽一郎
若林豪……『Gメン75』

などです。

なかでも、ダミ声と独特の台詞回しで、アクの強い個性的な役を演じていた上田吉二郎は、本人が亡くなった後も、多くのタレントに(似ているかどうかはともかくとして)声帯模写されていました。

上田吉二郎
Google検索画面より

そんな上田吉二郎が、ザ・ピーナッツとクレージーキャッツが出演していた『シャボン玉ホリデー』に出た時のエピソードが大変傑作です。

シャボン玉ホリデー
Google検索画面より

もちろん、あの番組を知っている人にとっては……、という前提ですけど(笑)

 スタジオ入りした上田(吉二郎)親分にときのAD、こうリクエストした。
「あのゥ、上田さん、今度のシーンなんですが……」
「なんですか?」
 と真顔の当人。
「冒頭のコントが終わって、突然、牛がモォ~ツって言ったら、スタジオになだれ込んで……」
「はァ?」
「バラホロヒレハレって感じで、大騒ぎしていただけますか」
 と、注文をつけるAD。
 すると本人、思わぬ質問をしてきた。
「それは、どういうワケですか?」
「……いや、その、べつに深いワケはないんですが……」
 前代未聞のリアクションに、戸惑うAD。
 植木たちにも助けを乞う目線を送る。上田の親分は親分で、
「すると、皆さんはワケのないことをやってるんですか?」
 と、これまた植木に聞いてくる。
「いやあ、これには返事に困ってね」と、真面目さゆえのおかしさを語る植木。
「リハーサルのときには腕組んで、やってくれなかったの。“どういうことなんだ、コレは”って顔してネ、眺めてらして……」
 いよいよ本番。植木が近づいて、お伺いを立てた。
「上田さん、おわかりいただけましたか?」と聞いたら、「皆さん、よくやるネェ」と言いつつも、本番はOKしたそうだ。
「アレにはまいったネ(笑)。〝意味のないコトやってるんですか〃って、参りましたヨ、ホント。だから〝お呼び″に至ってはもう、我慢できないのネ。〝なぜ、ココに入ってくる?〟てなモンで (笑)」
(『シャボン玉ホリデーースターダストを、もう一度』五歩一勇著、日本テレビ放送網より)

根が真面目な人で、おそらくは、舞台役者としてのプライドもあったとおもいます。

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人生いろいろあるよ、いろいろね


そんな上田吉二郎ですが、ちゃんとクレージーキャッツの映画には出ています。

クレージー作戦 先手必勝』(1963年、東宝)といいます。

クレージー作戦 先手必勝.jpg

あらすじは割愛しますが、ヤクザの親分の役です。

上田吉二郎

「おめーたち、ウフォフォフオ」という、おなじみのセリフがあります。

余談ですが、この映画の主題歌は、『いろいろ節』(作詞・青島幸男、作曲・萩原哲晶)といいます。

植木等というと、「わかっちゃいいるけどやめられない」の『スーダラ節』が有名ですが、私はこの『いろいろ節』の方が「お気に入り」です。

歌詞をそのまま転載はしませんが、要約すると、大騒ぎして一緒になってもすぐ別れる夫婦もあれば、文句ばかり言っても50年連れそう夫婦もある。

人生はいろいろあり、なるようにしかならないんだから、細かい不満なんか気にするな、という歌です。

なんと、達観した歌詞だと思いませんか。

以前ご紹介したように、青島美幸によると、青島幸男は若い頃に肺を患い、死にたいと思ったこともあったようです。

でも結局、「(人生は)どっちみちつらい目には遭うんだ」と吹っ切れて暗闇から青空が見えた。

そのときの解放感が、クレージーの歌詞に結びついているんだといいます。

『生きるって切ないね』と言いながら、『でも、所詮そんなものでしょ。だから負けないで生きていこうよ』というメッセージが歌詞にこめられているわけです。

クレージーキャッツの「悟り」の笑いは、青島幸男が支えていた面もあったんですね。

都知事としての青島幸男は、都民の不興を買いましたが、この頃の作詞家としての青島幸男は輝いていたとおもいます。

きょうはちょっと長くなりましたが、上田吉二郎を思い出してみました。

シャボン玉ホリデー―スターダストを、もう一度
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コメント 7

末尾ルコ(アルベール)

上田吉二郎、新国劇出身の怪優が出演した『クレージー作戦先手必勝』・・・黒澤作品の常連なのですね。しかも雷蔵の『眠狂四郎』シリーズへも出演している。なのにこのお記事を拝読し、初めてそのお名前を知るという、いつも通りのわたしの情けなさです(とほほ)。それにしても多数の作品へ出演している輝かしいフィルモグラフィです。中でも『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』はぜひ鑑賞してみたいです(笑)。

>「歌舞伎と新劇の中間をゆく国民劇」

特に「国民劇」という部分が意味不明です(笑)。「より国民に近い」というものを目指していたのでしょうか。でも石橋正次、緒形拳を含め、素晴らしい俳優を輩出しているのですね。
『シャボン玉ホリデー』のエピソードもいいですね。番組リサーチせずに出たのでしょうか(笑)。今のバラエティに出たりしたら、大変だったでしょうね。「君たちは雛壇に座っているだけで、こんなにギャラを貰っているのか!」とか(笑)。そういうこと、言う人がいないといけませんよね。
上田吉二郎、今後の鑑賞でその素晴らしい演技をしっかりチェックしたいと思います。

中井美穂の記事、わたしも読みました。驚きですよね。若い頃の中井美穂はあまり好きではなかったのですが(と言いますか、「女子アナブーム」的なものが全体的にいただけなかったのですが)、人工肛門のような苛酷な経験を公にするのは、同じ症状でなくても多くの闘病者の人々を励ましてくれる行為だと思います。渡哲也も人工肛門にした後、活躍してますよね。凄いことだと思います。
滝川クリステルのいとこという存在自体を知らなかったのですが、やはり同じ人間として考えさせられました。しかも自転車での事故ですから。普通に乗っていても危険な状況は珍しくないのに、スマホをやりながら乗っている連中に対する怒りがあらためて湧いてきます。左手にスマホで、右手は何故か手放しとかいう手合いもちょいちょい見かけますからね。

>So-netブログの文化として

確かにヌルい雰囲気がありますよね。さらに言えば、「ヌルくなきゃいけない」ような雰囲気も(笑)。わたしもだいたい3~4年くらい前までは、もっと多くのSo-netブログを訪問してたのですが、「押し逃げ」をどんどん増やしても仕方ないし、自分としてはSo-netブログの外からどんどん訪問してくださる方が増えないことには・・・という気もありましたので、確か当時使ってたPCが故障して別のに換えたのをきっかけに、訪問数をグッと減らして今に至っております。
なにせわたしのブログは開始当初から「文字だけ」(笑)なので、それだけで(うわあっ!)という人も多いでしょうし、何かを批判する内容もしょっちゅう含まれておりますから、So-netブログ内だけに訪問してくださる方を求めるのに無理があるということで、やはり「広い範囲から、深く読んでくださる方」を常に募集(笑)しております。
だいたい、「褒め合いっこ」がずらり並んでいるコメント欄を見たら、(うわあっ!)と感じる性格なものですから(笑)。日常生活でもそういう場の雰囲気は大嫌いですので。まあそれと、いっぷく様がお持ちの高度なユーモアセンスは、So-netブログ内では理解できない方が多いだろうなあと思います。特にブラックユーモアを含んだ記事って、So-netブログ内では滅多に見かけません。
そう言えば以前はわたし、ちょいちょい自分から訪問したりもしていましたが、シカトしてくださる方も少なからずおりました。思い出すと、少しは(笑)腹が立ってきます。そうなるとSo-netブログとは関係ないですが、あるバレエ関係のサイトでわたしをシカトしまくったロンドン在住の「あいつ」とか(笑)・・・今頃不幸になってりゃいいのに、なんてこと思ってはいけませんね(←白々しくフォロー 笑)

>不特定多数に発信するものですから

おっしゃる通りです!わたしとしては、今まで通りのいっぷく様のお記事も大満足なのですが、「So-netブログリミット」(笑)を外したいっぷく様となれば、さらにさらにワクワクいたします。So-netブログ外からいっぷく様のブログへ来てらっしゃる多くのファンの人たちも同じ気持ちではないでしょうか。

岩釣兼生のエピソードは知りませんでしたが、確かにいただけない描写ですね。わたしはセメント的な試合の場合の柔道家の強さに疑問を持っておりますので、試合をせずとも「馬場の勝ち!」と宣言したいです。やはり打撃がない前提の格闘技は中途半端ですし、それは逆に「パンチだけ」のボクシングにも言えることですが。

70年代終盤から80年代を通じて、緒形拳は日本映画界の中心でしたよね。『陽暉楼』や
『魚影の群れ』なども大好きです。わたしも緒形拳は、あらためて観たい作品が多いです。演技はもちろん凄いし、それ以上に人間味が溢れ出てくる俳優でした。RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-09-07 08:44) 

hana2018

新国劇と言えば、先の緒形拳、彼が弟子となっていた大友柳太朗。島田正吾の両雄です。
悪役にはピッタリな風貌、だみ声の上田吉二郎は勿論、覚えていますけれど・・・。具体的にこれ!と言った作品名は出てきません。
それでもこうした個性的な俳優の層の厚さが、日本映画の黄金期を支えていた感は強くあります。


by hana2018 (2018-09-07 10:04) 

えくりぷす

上田吉二郎、タモリや関根務もマネしてたような…
『いろいろ節』の「そんなこたあ どうでも いいじゃねえか」という歌詞はいいですね。なにがあっても「そんなこたあ どうでも いいじゃねえか」と言えるように生きたいものです。
by えくりぷす (2018-09-07 10:52) 

pn

コントに「ワケ」を求めてもなぁと思いますが納得いかない事に対してどう消化すれば良いのかの答えを探してるんでしょうね多分。
by pn (2018-09-07 16:25) 

kiki

上田吉二郎さん、
子供の頃に真似をした記憶があります(笑)

by kiki (2018-09-07 21:48) 

扶侶夢

「シャボン玉ホリデー」でのエピソードは面白いですね。上田吉二郎の人となりが感じられます。
by 扶侶夢 (2018-09-08 11:07) 

うつ夫

面白すぎますね。
by うつ夫 (2018-09-11 22:45) 

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