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「羅心盤」によって高次脳機能障害小児科医師がリハビリ科医復帰

「羅心版」によって高次脳機能障害小児科医師がリハビリ科医復帰

「羅心盤」という脳障害のリハビリがあります。たとえば、高次脳機能障害になった小児科医師がリハビリ科医として復帰したきっかけにもなりました。セクションは違いますが、同じ「医師」という職業に復帰できたことは、高次脳機能障害からの回復を目指す人々に励みとなります。



子どもの高次脳機能障害のリハビリ医として有名な、橋本圭司医師(はしもとクリニック経堂)の主宰する、子どもの高次脳機能障害グループ学習会で話題になったことを、これまで3度書きました。

橋本圭司
Google検索画面より

元競輪選手で現在パン屋さんの多以良泉巳さん、

多以良泉巳
Google検索画面より

歌手の一ノ瀬たけしさん、

一ノ瀬たけし

一ノ瀬たけしさんの公式サイトより

パラリンピック自転車競技金メダリストの石井雅史さん、

輝いて生きる
Google検索画面より


今回は、小児科医で現在リハビリ科を担当する、イムス札幌内科リハビリテーションの宮田康弘医師の話です。

宮田康弘医師
イムス札幌内科リハビリテーション病院サイト(https://ims.gr.jp/sapporo-naikareha/department/)より

以下、橋本圭司医師の解説抜粋

宮田康弘医師は、北里大学病院で32歳のときに夜勤明けにスキーに行って、気がついたら雪で眠くなっちゃって、「あー眠い眠い」って寝たらそのまま脳梗塞で倒れちゃった。

両側の視床脳梗塞っていって、記憶の中枢が両方やられちゃったんです。

大変重いですよ。さっき言ったこと忘れるし。自分の名前忘れてるし。

で、北海道の方なんですけど、一日中ぼーっとして寝てるんだって。

病気の怪我のあと、3、4年ずーっとそれが続いちゃって。

このままにしておくと廃人になっちゃうからって、なんとかリハビリないかって。

みんなで円囲んで羅心盤という集団リハビリプログラムに参加しました。

そしたらね、これ新聞にものったんですけど、やっぱりね、違うんですよね、他の人からエネルギーもらうと。

他の人にいいアドバイスするんですよね、わずか半年ぐらいやって。

そして今度は、現場の仕事に。

リハビリ病院て、器具や理学療法士のリハビリを受ける場合でも、いったんは必ず医師が「元気ですか」って聞いてから、リハビリ受けるでしょう。

じゃないと保険の点数とれないんです。

「元気?」って聞いて、「元気」って答えたら「よし」ってカルテにつける。

そういう作業がある。これ誰でもできるよね、でもお医者さんじゃないとやっちゃいけない。

で、彼小児科医で医者の免許持ってたんだよね。てことで、毎日それをやってもらいました。毎日ね。

だけどね、たったそれだけのことも忘れちゃう。

え、そんな単純作業もできないの、って思うかもしれないけど、さっき言ったこと忘れちゃいますから。

手順書作って、何度も訓練しました。

今は小児科医やめましたけど、リハビリのお医者さんとして北海道で働いています。

それで、やっぱりすごく評判がいいんです。

なぜかっていうと、僕も含めてなんだけど、本当の意味で、脳に損傷を負った人の気持ちは当事者でないとわからないですよ。

でも彼はわかるんですよね。

だからものすごい人気で。「あの先生に診てもらいたい」って。

それで、ゆっくり話聞くし、やっぱり痛みがわかるんですね。おぼえられない苦しみだとか。

彼が一番いいのはね、人から障害だって思われることの屈辱感があるんだって。

やっぱりまわりがそういう目で見てくるんだって。

お医者さんとして第一線でやってたわけだから、それが非常につらい。

でもつらいからこそ、そういう気持ちがわかるって言ってね。

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羅心盤とは……


話に出てきた「羅心盤」という集団リハビリについてご紹介します。

参加者は丸く車座に座ります。

そして、参加者の中から一人、対象になる人(高次脳機能障害の当事者)を決めて、その人にみんなでアドバイスをしていきます。

まず、対象者に、いまやりたいことを聞きます。

やってみたいことでも、食べたいものでも、行きたい場所でもかまいません。

3つぐらいの希望をホワイトボードに書き出します。

ほかの参加者はそれを見て、それを実現するために、いまできることはなにか、本人ができそうなことを順番に提案していきます。

「世界の役に立ちたい」とか、到底実現できそうにないことを言う人もいますが、「そんなのできるわけないだろう」ではなくて、ちゃんと前向きにその道筋を考えてあげます。

そしてホワイトボードにそれらをどんどん書いていきます。

全員が発表し終わったら、本人に、みんなが提案してくれたアドバイスの中から、自分ができそうなことを選んでもらい、実行してもらうというものです。

プレーンストーミングの一種ですね。

こんな感じです。

「一太郎くんがやりたいこと、今日でもいいし。病院終わったらどこ行きたい?」
「2階建てバス」
「そう、2階建てバス乗りたいのかあ。はい拍手~。ほかには?やりたいことある?」
「iPad」
「iPadやりたい。はい拍手~。はい3つ目。今日すぐできるのがいいなあ。食べたいものある?」
「バナナ」
「バナナが食べたい。はい拍手~。では、今日明日で、2階建てバスに乗りたい、iPadをやりたい、バナナを食べたい、こういうのをこれからもやるために、一太郎くんができそうなことをみんなでアドバイスしてあげてください」


「お母さんがiPadをやらせてくれるように、お手伝いをすればいいんじゃない?」
「いいねえ、お手伝いをする。はい拍手~」
「インターネットでバナナを調べる。」 「2階建てバスの写真と動画を撮る」
「iPadで外国の2階建てバスを探す」
「動物園のライオンバスが2階建てなのでそれに乗る」
「新聞折込のチラシでバナナを探して珍しいものを買ってもらう」

「さあ、一太郎くん、どれだったら明日からできそう?」

みんなが対等な立場で自由に提案する上に、それが前向きで建設的であることもすばらしいです。

他者のことは客観的に考えられるので、これは実用的な脳トレになります。

人の暮らしや人生に関することなので、人に興味が持てたり、他者の立場に立って考えたりすることができるようになります。

信頼しあえる者が集まり、胸襟開いて提案し合う。

羅心盤は、高次脳機能障害でなくても、私たちの暮らしに役立てることができるのではないでしょうか。

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末尾ルコ(アルベール)

「羅心版」によって高次脳機能障害小児科医師がリハビリ科医復帰・・・これは実に興味深いお話です。わたしはライフワークとして「言葉の可能性」というものを掲げておりますが、その観点から見させていただいても、「羅心版」という方法は極めて興味深く有効なものに感じます。
その前にまず、高次脳機能障害小児科医師がリハビリ科医に復帰したというお話。このような方の存在は同様の症状を持っている方やそのご家族だけでなく、あらゆる人々に勇気を与えてくれますね。「諦めてはいけない」ということを、現実の経験を持って教えてくださっております。それにしても32歳の時の脳梗塞は厳しいですね。人生、何が起こるか本当に分かりません。しかしそこから復帰されたのだから、本当に素晴らしい。

>でもつらいからこそ、そういう気持ちがわかるって言ってね。

健康を損ねた経験のない人、挫折を経験したことのない人などの中には、実に浅いものの見方しかできない人がいますし、傲慢な人間もしばしばおります。そしてその時点で「経験してない」人であっても、「いずれは経験するもの」だという想像ができない人が多いのですよね。まあこれは家庭教育などにも問題があるかと思います。本当は、どんなに金持ちであろうが、(いわゆる)社会的地位が高かろうが、「いつでも壊れかねない心身を一つだけ持った人間」である点は誰も同じなんですけどね。お金や社会的地位の目を眩まされ、そんな当たり前のことが分からない人が多過ぎますね。

「羅針盤」という方法、これは本当に、「コミュニケーション」「会話」、そして「希望を持つこと」の大切さをあらためて感じさせてもらえるやり方だと思います。「やりたいこと」について語り合うのがいいですね。いろんなことを「やらずに」諦めている人たちは多いですが、多方面から思考してみると、「できる」可能性が次から次へと出てきそうです。
「世界の役に立ちたい」なのですが、道端のごみ拾いをするだけでも世界の役に立っているのですよね。「日常」と「世界」は決して断絶していないことも多くの方に知っていただきたいですね。

>人を拒絶したり断ったりできないタイプの人間ではないかとおもうのです。

わたしはどちらかと言えば、拒絶や断るのが平気な方だと思うのですが、それでもこの前ブログへ書きましたように、相手が「いい人」だと対応はやや緩くなってしまいます。友人がプロレスの勝敗をほぼ真剣勝負だと現在でも信じているのを聴き、(ええ~~??)と思いましたし、彼の今後を考えたら(笑)、「いや、ほとんどの試合はどちらが勝つかあらかじめ決まっていて・・・」と説明した方がよかったと思うのですが、今日に幸せそうに「馬場のネックブリーカードロップなんて、もんのすごい必殺技ですよね」とか述べている姿を見ると、言えなかったですね(笑)。それにしてもインテリの友人が、プロレスをあまり正面から観てなかったからだと思うのですが、こうした認識をいまでも持っているのは興味深かったです。だから今の日本のプロレスファンもけっこう真剣勝負だと信じて観ている人が多いのかもしれません。WWEと違って、日本のプロレス団体はこの点に関してはうやむやにしたままですし。

>古い本のカビは家族の肺に良くないかな

確かに本の汚れなどは気になりますね。わたしは古本屋もよく利用するので、(む、この汚れは何だ?)と思うこともしばしば。古本屋でエロ本を漁っている人もよく見かけますが、人の使用した(笑)エロ本には絶対触りたくありません。

>私は三つ編み姿の林寛子の方が良かったですが(笑)

200%賛成です(←安生洋二風に 笑)。髪の毛もよかったですし、ジーンズ姿は今のアイドルに引けを取りません。逆に『花の中三トリオ』を今あらためて見て、あの3人が当時大きな人気を獲得していたことがやや不思議になりました。これまたヘアスタイルのお話になりますが(笑)、現在のアイドルにあのようなヘアスタイルの人たちはなかなか見つけられないですよね。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-10-04 02:52) 

ヤマカゼ

重たい病気?障害ですね。
by ヤマカゼ (2018-10-04 06:20) 

pn

目が見えないとか手足が無いのは疑似体験出来るけど中身の問題は流石に無理だろうから体験者にしか分からない事ってやっぱ重要ですよね。その辛さが分かるからこそ寄り添える、医者としては最高だと思います。
by pn (2018-10-04 09:14) 

kohtyan

会社勤めの時、羅心盤のようなことをやったことがあります
by kohtyan (2018-10-04 09:32) 

kiki

集団リハビリ『羅針盤』素直な人が回復しそうです。
by kiki (2018-10-04 13:35) 

ヨッシーパパ

いろいろな活動があるのですね。
なかなか視野が広がります。
by ヨッシーパパ (2018-10-04 18:36) 

なかちゃん

ご無沙汰してまして、すみません。
羅針盤、内容を読むと『なるほど』ですね。
他人のことは確かに客観的に考えられますし、おっしゃる通りこういうのはボクたちの生活にも活かせそうです(^^)

by なかちゃん (2018-10-04 18:44) 

ナベちはる

「羅心版」は、ブレインストーミングなるものなのですね。
従来のブレインストーミングも批判厳禁という鉄則がありますが、批判せずに肯定することは「羅心版」においても前向きになるだけでなくてそこからいろいろと発展させられるので良いなと思います。
by ナベちはる (2018-10-05 00:23) 

Rinko

「羅針盤」リハビリ、おもしろいですね。
おっしゃる通り、他にも活かして行けそうです^^
by Rinko (2018-10-05 13:11) 

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