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村瀬幸子、俳優座を結成し社会派映画の老女役で存在感示した女優

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村瀬幸子さん(むらせさちこ、1905年3月21日~1993年10月9日)の命日が10月9日でした。劇団築地小劇場、松竹蒲田撮影所などを経て俳優座を結成。映画では『人間の約束』『八月の狂詩曲』など、とくに社会派作品の老女役として知られています。(画像はすべてYoutubeより)




以前、「お婆ちゃん役の名脇役」を何人かご紹介する記事を書きましたが、その中ではご紹介しなかったのが、今回の村瀬幸子さんです。

役者としての経歴は、大御所と言っていいのですが、今日ご紹介するように、社会派のシビアな役のイメージから、分けてご紹介したほうがいいかなと思い、やっとその時が来ました。

『人間の約束』(1986年、東宝東和)


吉田喜重監督作品です。女優の岡田茉莉子の夫ですね。

認知症になった老母(村瀬幸子)が布団で亡くなっていたのですが、かかりつけ医(今福将雄)の話からも、刑事(若山富三郎、佐藤浩市)は他殺を疑います。

老母の夫(三国連太郎)が自供したのですが、夫も認知症状が出ていたのと、絞殺したというのに村瀬幸子は水を飲んでいたのです。

息子(河原崎長一郎)は、愛人(田島令子)を求めて生活から逃避。

息子の妻(佐藤オリエ)と村瀬幸子の関係は最悪でした。

それに対し、楽にさせるなら自分がやると夫(三国連太郎)が言ったことが、タイトルの「約束」につながっています。

人間の約束

では結局誰が殺したのか。結末は本作をご覧ください。

第2回文化庁芸術作品賞受賞作品。

村瀬幸子は毎日映画コンクール女優助演賞を受賞しました。

認知症介護の問題は、こんにちますます深刻ですが、持論としては、もちろんそれが全てではありませんが、元凶のひとつは家制度を卒業できない国民の価値観にあるとおもっています。

物語の中で、長女夫妻(結城美栄子、高橋長英)が出てきて、「こんなことなら私が引き取ればよかった」(結城美栄子)という台詞が出てくるのですが、それは結果論にもなっていなくて、誰が介護したって、要は、誰か「だけ」に介護を押し付けること自体が不幸の始まりなのです。

今の民法は、男も女も長男も次男もナニナニ家もなく、みんなで支えることになっているはずなのに、長男(場合によっては結婚前の末娘)に押し付けて当然といわんばかりの「役割分担」こそが、介護を単なる「貧乏くじ」にしてしまい、負担と悲劇をうんでいるのです。

介護疲れの殺人や心中や自殺のニュースを見ると、「やった」のはまず末娘で、次に長男やその妻じゃないですか。

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『八月の狂詩曲』(1991年、松竹)


黒澤明監督作品です。

長崎の人里離れた山村を舞台にしています。

村瀬幸子は、被爆体験を持つ祖母。4人の孫たちとのひと夏を描いています。

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制作期間9ヶ月、費用12億円の反核映画。

はっきり言って、コスパの悪い作品ということになるのでしょう。

でも、何気ない作りにお金と手間ひまをかける贅沢さを否定していたら、結局創作物はすべて否定しなければなりません。

陣中見舞いに山田洋次監督が来ていましたが、そういえば、山田洋次監督作品とも似ています。

山田洋次監督とのツーショット
山田洋次監督とのツーショット
https://www.youtube.com/watch?v=0k8zcJ7A9PQ より

ネットの動画配信サービスで安価で見ることができるので、ぜひご覧になってください。

画像転載元
人間の約束
https://www.youtube.com/watch?v=tZI6YjRRhmE
八月の狂詩曲
https://www.youtube.com/watch?v=NAy75k5Ou7Q

人間の約束 [DVD]
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八月の狂詩曲 [DVD]
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コメント 9

末尾ルコ(アルベール)

村瀬幸子、俳優座を結成し社会派映画の老女役で存在感示した女優・・・『人間の約束』は残念ながら未見なのです。これもまた是非鑑賞しなくてはならない一本ですね。凄いキャストです。村瀬幸子はもちろん存じております。
吉田喜重は極めて著名な監督ですが、作品数はさほど多くないのですよね。わたしは『嵐が丘』が大好きで、そもそも原作がめちゃめちゃ好きなのですが、ローレンス・オリヴィエ主演の映画も、比較的近年作られたジュリエット・ビノシュとレイフ・ファインズ主演の映画も、どうも原作の異様な熱感が乏しく、満足できたのは、ルイス・ブニュエルのものと、この吉田作品なのです。しかも出演者が、松田優作、田中裕子、石田えり、三國連太郎らと、わたしの好みの人たちがズラリ。いささかアヴァンギャルドな作りですが、まったく退屈しませんでした。『エロス+虐殺』も観たいのですが、未見なのです。

>誰か「だけ」に介護を押し付けること自体が不幸の始まりなのです。

本当にそうですね。介護する側もされる側も本当に不幸な状況です。この点に関しては、わたしは家制度とほぼ縁のない家庭に育ったのは実に恵まれていると痛感します。そして母はまだまだ要介護という段階ではありませんけれど、80を超えていろいろと日常生活が一人では難しくなっている段階へ来て、愛情を持って多くのことを助けていられるのは、お互いにとって本当に幸福な状況だとつくづく感じます。しんどい局面もちろん多々ありますが、わたしを生み、育ててくれた唯一の人ですから、毎日恩返しできているのはとても嬉しいことなのだと、この状況に感謝しております。

>何気ない作りにお金と手間ひまをかける贅沢さを否定していたら、結局創作物はすべて否定しなければなりません。

まったくおっしゃる通りです。黒澤の場合、自分の気に入る空模様になるまで撮らなかったとか、数々の逸話がありますね。黒澤を敬愛するコッポラの『地獄の黙示録』は撮影に1年2か月以上、さらに編集に2年以上費やしたとされています。予算の方も、当時の日本円で約35億円の予定だつたのが、結局約90億円にまで膨れ上がったといいます。「コスパ」なんて概念、頭の片隅にも一切ありません。ほぼ狂気の世界です。しかしこうした作品がいまだ映画ファンの心を揺さぶり続けております。その反面、2週間で撮影した低予算映画が傑作になる場合もある。「創作の神秘」というヤツですね。
『八月の狂詩曲』は、個人的感想ですが、黒澤作品としては「まあまあ」くらいかなと思いました。反核メッセージを台詞で語らせたりとか、あまりに直接的だったかなとも感じました。しかし鑑賞したのはずっと前なので、観直したら異なった発見ができるかもしれません。

>テリー・ファンクは罪深いですね、実に罪深い(笑)

本当にその通りです。同時に件のわたしの同級生女子はいかにも頭の軽いタイプでして、テリーの罪深さとシナジー効果を生んでいたようです(笑)。なにせテリーファンになった後すぐに、「わたし、外人に目覚めるのが遅かったから」とか言ってましたから。今であればこんな世迷いごとを耳にすれば、たしなめたりもするでしょうが、当時はわたしも子供だったので、(外人に目覚めるって一体・・・)と呆れても、その馬鹿馬鹿しさを指摘するには至りませんでした。

>最初は3作の予定で

へえ~、そうなのですか。やはり当然のことですが、「いい作品のお客さんが入る」って、とても重要ですね。

>最初の3作は密度が濃いですね。

ものすごく感じました。非常に緻密に作られていながら、登場人物の動きはピカレスクな感触が強いです。人気が高まるに従って、徐々にソフトな、より広範な人たちに分かりやすい展開になっていったのだろうなと想像しております。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-10-10 02:53) 

ヤマカゼ

人間の深いところをえぐった感じですね。実際認知症の人を相手にすると、人間とは思えず、獣を追い手にしている感じです。
by ヤマカゼ (2018-10-10 06:29) 

Rinko

村瀬幸子さんはお顔が思い出せないのですが、「人間の約束」や「八月の狂詩曲」のタイトルは覚えています。
昔から介護問題あったんですね・・・と言うか、昔の方がもっと押し付け合いだったのでしょうか・・・。変えていかないといけない事のひとつですね。
by Rinko (2018-10-10 07:27) 

pn

見覚えが無いのは出てる作品全然見てないって事か?反核なら聞き覚え位ある筈なんだが(^_^;)

by pn (2018-10-10 09:19) 

なかちゃん

村瀬幸子さん、残念ながら顔も名前も知りませんでした。
もちろんどこかで観たことはあるんだろうけど、記憶にはなかったです。
でも、そんな社会派作品なら是非みてみたいような気がします(^^)

by なかちゃん (2018-10-10 12:52) 

kohtyan

黒澤明と山田洋次との会話、そいう時代があったのですね。
by kohtyan (2018-10-10 16:19) 

ヨッシーパパ

この方は、全く存じ上げません。
by ヨッシーパパ (2018-10-10 18:42) 

ナベちはる

>制作期間9ヶ月、費用12億円
海外の映画ならともかく、日本映画であれば今においてもなかなか考えられないほどの期間と額なのでは…!?
by ナベちはる (2018-10-11 00:21) 

うつ夫

社会派ですね。
by うつ夫 (2018-10-21 01:42) 

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