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『神戸国際ギャング』高倉健の東映最後の出演映画

『神戸国際ギャング』高倉健の東映最後の出演映画

『神戸国際ギャング』(1975年、東映)は、10日命日の高倉健さん(1931年2月16日~2014年11月10日)の東映在籍中最後の作品です。この作品のあるシーンが原因で高倉健は東映を離れる決意をした、といわれているのですが、私は少し違う見方をしています。(画像はDVDより)




高倉健といえば、俳優としての出発点は東映で、網走番外地シリーズで一躍トップスターの仲間入りをしました。

が、1973年、東映は実話をもとにした新しいヤクザ映画『仁義なき戦い』を公開。



これが大当たりしました。

それまでの東映“ヤクザ映画”は、鶴田浩二や高倉健、藤純子らによる様式美や予定調和を基本とした任侠ヒーロー物語でしたが、『仁義なき戦い』はいわゆる「実録もの」といわれる群像劇です。

その後も、架空の物語なのに実録のような体裁で作られるようになり、それまでのヤクザ映画の中心だった、鶴田浩二や高倉健の居場所がむずかしくなりました。

そんな中で作られたのが、『神戸国際ギャング』です。

『神戸国際ギャング』のモデル


『神戸国際ギャング』は、すでにWikiにも書かれ公然としていますが、ボンノといわれた菅谷組の菅谷政雄組長をモデルにしたといわれる作品です。

菅谷組は、三代目山口組直参団体であり、配下の組員は「枝(子分の子分など下部団体)」も含めて、最盛時、山口組二次団体でもトップクラスの勢力を誇りました。

そして、菅谷政雄組長自身も、本家山口組では若頭補佐をつとめる大幹部でした。

愛車であるリンカーン・コンチネンタルを前にした写真は、関連書籍でしばしば使われています。

本作で高倉健が着用した白いスーツも、ボンノ組長がファッションにこだわっていたことを表現したものといわれています。

日本の主力暴力団の多くは、戦後のドサクサで、一部の朝鮮人、中国人、台湾人などが「自分たちは戦勝国民」との大義で無法を働くのを当時の警察が対処できず、自警団的な役割を果たした「任侠」がはじまりといわれています。

一方、菅谷政雄組長(当時は愚連隊)は、ケース・バイ・ケースで朝鮮人や中国人は敵にもするし味方にもすることから、マスコミで「国際ギャング」と呼ばれることになったといいます。

『神戸国際ギャング』の設定


高倉健は、三代目山口組田岡一雄組長を映画化した際、田岡一雄組長役を演じています。

菅谷政雄組長役は、やはり高倉健が演じています。

高倉健

本家組長と同じ大物俳優を起用することで、東映がトップクラスの直参である菅谷政雄組長に最大限の配慮をしていたことがわかります。

高倉健の舎弟格には、菅原文太と夏八木勲がいますが、夏八木勲が忠実な弟分なのに比べて、菅原文太の方は高倉健に嫉妬し反目する設定です。

若い衆には、和田浩治、石橋蓮司、まだ現役の世界チャンピオンだったガッツ石松などが出ています。

ガッツ石松が、栃木訛りで神戸人としての会話をしています。

また、紅一点で、NHK連続テレビ小説『藍より青く』のヒロインにもなったことがある真木洋子(1948年11月10日~2000年7月22日)が入っています。

真木洋子

ちなみに、真木洋子は、11月10日がうまれた日でした。

中国人ギャング役には、大滝秀治と今井健二(東映で高倉健と同期)が実にうまい演技です。

一方、朝鮮人のグループは丹波哲郎がボスです。

泉ピン子がまだ売りだした頃で、いわゆる胸ポチの下着姿で艶っぽいシーンを演じています

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高倉健が東映を離れた理由は?


本作では、高倉健が絵沢萌子との濡れ場シーンのカットを望んだのに、それが通らなかったから東映を去った、という話がまことしやかにネットでも語られています。

しかし、それは役として、ストーリーとして必要な場面です。

個人的に望まないなら役を降りればいいだけの話で、私はその説に懐疑的なのです。

げんに、高倉健は当該シーンをちゃんと演じています。

私はそれよりも、高倉健は設定そのものに自分の居場所がなくなりつつあることを悟ったのではないかと思います。

映画の結末は、高倉健は弟分の菅原文太と相討ちで終わっています。

親分と子分、または舍弟が対決するなど現実にはありえず、ましてや相討ちなど頭目としては負けに等しい話です。

『神戸国際ギャング』という題名で、絶対的な権勢を誇るボンノ組長をモデルとしているはずなのに、そして長らく東映を支えてきた自分がそれを演じているのに、なぜ東映生え抜きではない後輩の菅原文太と相討ちなのか。

やはり、東映はもう菅原文太の時代なのか。

高倉健の疑念や不信感は、そこにこそあったのではないかと私は察しました。

高倉健だけでなく、菅原文太も東映を離れましたが、共演は全くありません。

フリーになってから、大作にたくさんでている高倉健ですが、東映時代の高倉健も私は評価しなければならないと思います。

高倉健ファンのみなさんは、東映時代の高倉健をどうご覧になりましたか。

神戸国際ギャング
神戸国際ギャング

高倉健 七つの顔を隠し続けた男

高倉健 七つの顔を隠し続けた男

  • 作者: 森 功
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/08/30
  • メディア: 単行本


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