So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

木下恵介アワーは親子や家族のつながりを描く昭和のホームドラマ

木下恵介アワーは親子や家族のつながりを描く昭和のホームドラマ

木下惠介(きのしたけいすけ、1912年12月5日~1998年12月30日)さんの生まれた日です。日本の映画監督、脚本家として数々の作品を発表。テレビドラマも『木下恵介アワー』と個人名を冠した30分の連続ドラマ枠(TBS)がありました。



木下恵介は、当初は松竹蒲田撮影所現像部に入社(1933年)。

その後撮影部に移り、監督や脚本家としての道を歩みます。

日本初の長編カラー映画『カルメン故郷に帰る』(1951年)『二十四の瞳』『女の園』(1954年)など、邦画史上に残る作品を発表しているのはいまさら私が知ったかぶってご紹介するまでもないことですが、私の年齢ですと、やはり木下恵介自身の名を冠して、実弟の木下忠司が音楽を担当した『木下恵介アワー』が毎週放送されていたので記憶に強く残っています。

そして、木下恵介アワーというと、思い出すのは『おやじ太鼓』(1968年1月16日~10月8日、松竹/TBS)です。

高度経済成長時代の“家父長”


おやじ太鼓
Youtubeより

Youtubeに上がっていますが、息子役の一人である、あおい輝彦の覚えやすくて楽しい主題歌が、今も記憶に残っています。

東映の悪役であった進藤英太郎が、裸一貫から努力と度胸と知恵で、一代で建設会社を作り上げたブルドーザー社長を演じています。

おやじ太鼓
Youtubeより

とにかく気が短い、すぐ雷を落とす。いばる。カレーライスが好物。

でも人間的には完璧ではなくツッコミどころに満ちていて、夫人役の風見章子がさりげなくカバーするという話です。

子供は7人。園井啓介、西川宏、香山美子、津坂匡章(秋野太作)、高梨木聖、あおい輝彦、沢田雅美です。

大家族なのでお手伝いさんがいて、菅井きんが演じています。

家制度の名残りとしての家父長的ふるまいと、一方で誰でも頑張れば可能性がある右肩上がりの高度経済成長という時代から、このようなキャラクターがウケたのでしょう。

「親父」を「おやふ」と読まずにどうして「おやじ」と読むのか。

おやじとは、「大風(おおやじ)」つまり台風から来ているという説もあります。

台風は、低緯度と高緯度の地域の海面の温度を調整してくれるといいます。

台風がなくなれば、温度差は激しくなって低緯度地域も高緯度地域も過ごしにくくなるように、親父のカミナリで、家庭のギクシャクや家族の誤りをご破算にする役割がある……と、意味づけることもできるのでしょうか。

高度経済成長が終わり「おやじ」の存在感がかわる


『おやじ太鼓』は、木下恵介自身の原作(破れ太鼓)によるドラマ化で、映画化もされています。

1974年には、長門勇と草笛光子による『天下のおやじ』(1974年4月3日~1974年9月25日、国際放映/NTV)というタイトルで、再度制作されています。

天下のおやじ
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d259806112 より

長門勇編では、こどもの数が5人に減って、寺尾聡、水谷豊、葵テルヨシ、武原英子、小柳冴子でした。

時代はすでにオイルショック後で、公私共に帝王のごとく君臨するおやじの雷はいささか空回り。

お手伝いさん(正司歌江)はやめてしまうし、子どもたちも反感を持ち、離れていくストーリーでした。

ここからだんだん「おやじ」の権威は落ち、濡れ落ち葉だのハチノアタマだのといわれるようになってしまうのですね。

長門勇のほうが、進藤英太郎よりも愛嬌があったので、それだけにちょっと悲しい展開であり、私は長門勇編の方が、また見たいドラマとしてはより上位にあります。

同じ原作でも、時のうつろいで描き方がかわるのは、財前五郎が胃がんの権威から食道がんの権威にかわった『白い巨塔』などもそうですね。

スポンサーリンク↓

子供の取り違えはこの頃からドラマ化されていた


木下恵介アワーの最終シリーズは、以前もご紹介したことがある、『わが子は他人』(1974年4月3日~1974年9月25日)です。

わが子は他人
http://hifumi.ocnk.net/product/4757 より

若い真面目な働き者の夫婦(松山省二と音無美紀子)と、年をとってやっと子どもに恵まれた夫婦(杉浦直樹と林美智子)が子供を取り違えられた設定でした。

これはたぶん、遡ること3年前の1971年に、沖縄で発生した新生児取り違え事件(『ねじれた絆』で小説化)が原案になっているのではないかと思います。

取り違えられた子供は、初代『あばれはっちゃく』の吉田友紀と、『砂の器』で遍路の父子の「子」を演じた春田和秀。

春田和秀は、以来芸能界から退き、Wikipadiaも書き手がいなかったのですが、何とご本人が43年ぶりに表舞台に登場して、当時を振り返っています。




以上のように、木下恵介監督による松竹ホームドラマは、親子・家族・近所の人々とのつながり方を描くだけでなく、昭和という時代におけるその時々の世相を思い出させてくれる作品群であるといえるでしょう。

CSで再放送の際は、ぜひご覧ください。

木下恵介生誕100年 木下恵介アワー「おやじ太鼓」DVD-BOX<8枚組>
木下恵介生誕100年 木下恵介アワー「おやじ太鼓」DVD-BOX<8枚組>

カルメン故郷に帰る デジタルリマスター
カルメン故郷に帰る デジタルリマスター

木下恵介伝―日本中を泣かせた映画監督

木下恵介伝―日本中を泣かせた映画監督

  • 作者: 三国 隆三
  • 出版社/メーカー: 展望社
  • 発売日: 1999/04
  • メディア: 単行本


スポンサーリンク↓


nice!(227)  コメント(8)  [編集]
共通テーマ:テレビ

nice! 227

コメント 8

末尾ルコ(アルベール)

木下恵介アワーは親子や家族のつながりを描く昭和のホームドラマ・・・『木下恵介アワー』はよく覚えております。どのドラマを観たとか、内容とかは覚えてないのですが、「木下恵介」という名前を冠していたのが子ども心に印象的でした。『ヒッチコック劇場』みたいですものね。でも30分枠だったんですね。それは覚えてませんでした。
時折書かせていただいておりますように、わたし、30分枠のドラマが割と好きなのです。特に現在のドラマなんて、昭和の時代と比べたら俳優の層もグッと薄いのに、1時間枠のドラマだとかったるくて観てられないのがほとんどです。さらに今やってる『中学聖日記』とか、1時間をちょっとだけ超す枠で毎週やってるんです。水増し以外の何物でもないと思います。個人的には『中学聖日記』で観たいのは有村架純だけですから、これも30分枠で十分(笑)。木下恵介のような偉大な映画人が30分枠のドラマを作っていたことを考えたら、今のスカスカの脚本家で60分なんて・・・と、思ってしまいます。

高度経済成長が終わり「おやじ」の存在感がかわる・・・一流の書き手は時代の変遷を内容の中にきっちり織り込んでおりますよね。今の書き手は(←つい比較してしまう 笑)、「観客動員や視聴率のために都合の悪い要素」はまるで存在しないかのようにスルーしてしまいます。漫画原作の映画やドラマがとても多いのですが、そしてもちろん優れた漫画も多くあるのですけれど、どうしても「自分らの見たいものしか描かれていない」場合が多いような気がしますね。それにしても5人の子どもの中に寺尾聡、水谷豊がいるって、豪華な家庭ですね(笑)。草笛光子は子どもの頃から知っていましたが、だいたドラマでしか観たことなくて、「しっかりした奥さん」的な印象の強い人だったので、最近いっぷく様がご紹介くださる映画の中でセクシー担当的役が多いのに、とても新鮮な驚きで観ております。
実は木下恵介と言えば、『二十四の瞳』とか、「教科書的な映画」を作る人というイメージがあったのです。ところが比較的最近(ここ10年以内だと思います)『カルメン故郷へ帰る』を鑑賞して驚愕。何という過激な内容なのだろうと、それは映像表現を含めてですが、かなり衝撃的でした。高峰秀子も成瀬作品などを先に鑑賞しておりましたので、その過激な演技に驚愕。(こんな大女優がこれだけの演技をしているのでは、今の女優など太刀打ちできないな・・・)と痛感しました。

>ちょっと思い込みが強いような気がします。

そういうライター、多いですね。村松友視なんか、その筆頭格かもしれません(笑)。お書きくださった「ブルーザー」の件も思い込み以外の何物でもないですよね。
村松友視は直木賞を獲ったあと間もなく、プロレスに関しては筆を置く旨発表しました。当時も少し(ずるいな)と感じました。最近立て続けに猪木に関する本を出してますが、『プロレスの味方』当時は猪木についてだけでなく、他団体についてもかなり言及し、それらは概ね否定的なものでした。なんだかんだ言って、当時の村松友視の影響力は多大でしたから、直木賞獲ったからって(笑)、「もうプロレスについては書きませ~ん」はないなと思ったものです。プチ鹿島の鈴木みのるに対する意見も過大評価以外の何物でもないと思いますね。この人は昭和からプロレスを観てるというのですが、それで鈴木みのる程度のヒールを「凄い!」というのは全然違いますよね。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-12-05 03:15) 

ヤマカゼ

木下恵介アワーとは懐かしいですね、昔耳タコ状態で良く聞く題名でした。
ご訪問にコメントありがとうございます。
by ヤマカゼ (2018-12-05 06:25) 

pn

時代によって設定が変わるのは仕方ないんだろうけど昔の作品に思い入れがあると新作はどうもなぁ、と思ってしまう心の狭さ(^_^;)
by pn (2018-12-05 09:51) 

えくりぷす

『おやじ太鼓』から『天下のおやじ』へ、わずか6年でおやじのイメージが変わってしまったのですね。
木下惠介監督作品は、『二十四の瞳』のみNHK BSで見た記憶があります。
by えくりぷす (2018-12-05 11:02) 

なかちゃん

木下恵介さんという名前は知っていますが、木下恵介アワーという番組は知りません。というか、こちら富山では放送されていなかったんだと思います。
親父の存在感のお話、おもしろいですね(^^)

by なかちゃん (2018-12-05 13:12) 

Take-Zee

こんにちは!
新藤さんは本当に憎々しい悪役が
上手でしたね。

by Take-Zee (2018-12-05 15:35) 

そらへい

木下恵介アワー、見ていたような見てなかったような
記憶が曖昧です。
ただ、懐かしい名前が次々に出て来るので
多分、見ていたのだと思います。

by そらへい (2018-12-05 20:04) 

ナベちはる

10年経たずして「おやじ」のイメージが変わるのは、どこか寂しくもありますね。
by ナベちはる (2018-12-06 00:12) 

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます