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藤田まこと、テレビドラマの主役をつとめた期間はおよそ半世紀

藤田まこと、テレビドラマの主役をつとめた期間はおよそ半世紀

藤田まことさん(1933年4月13日~2010年2月17日)について振り返ります。誕生日でも忌日でもないのですが、今日は藤田まことの父親の藤間林太郎さんの生まれた日なので、テレビや映画でよく鑑賞した藤田まことさんの作品をご紹介します。(上の画像上段はGoogle検索画面より、それ以外は劇中から)



藤田まこと。たぶん、今の若い方もご存知だと思います。

『てなもんや三度笠』(1962年~1968年)『必殺〇〇人』(1973年~1992年代)『はぐれ刑事純情派』(1988年~2005年)『剣客商売』(1998年~2010年)と、時代は代わっても半世紀近く、テレビドラマの第一線で活躍したドラマ界の中島みゆきのような人です。

藤田まことのあゆみ


藤田まことは、無声映画時代のスターといわれた藤間林太郎の次男。

実母は藤間林太郎が身請けした芸姑でした。

産後の肥立ちが悪く、藤田まことを産んでから間もなく亡くなります。

藤間林太郎は再婚しますが、藤田まことにとっては継母でなつかず、結局離婚。

藤田まことは、そのことを後悔します。

姉からは、「お前が新しい母になつかなかったから家庭が壊れ、兄が居づらくなって戦争に行って戦死した」と責められ、「母と仲良くしろ」という兄からの葉書きをコピーしていつも携帯するようになったそうです。

藤田まことの俳優人生は、『てなもんや三度笠』で成功した後、『必殺』シリーズ、『はぐれ刑事純情派』『剣客商売』など、途切れずにヒット作が出ているように見えますが、実は『てなもんや』と『必殺』の間には数年のブランクがあります。

『てなもんや』の視聴率が、テレビ史に残る数字(1965年に64.8%)を出したかと思えば、3年後に急落して3~4%台にまで低迷。

視聴率という、実体のないものの怖さ」を実感した藤田まことは、そこで知名度を得たにもかかわらず、地方のキャバレーを回る巡業に出て“隠遁”していました。

もともと、芝居の道に進んだのは、父親の藤間林太郎の一座からである藤田まことは、俳優とは舞台の芝居を経験してこそ本物という考えの持ち主。

映画俳優を含め、舞台に上がっていない芸人は芸人ではない」という持論があるので、キャバレーといえども、「舞台」で出直したかったのかもしれません。

しかし、テレビで隆盛を極めた時期がありながら、そのテレビから消える決断は、勇気がいったことでしょう。

Wikiにもありますが、藤田まことは、「陰がある役柄や必ずしも恰好がよく人生で成功を収めたわけではない人物を演じるのを好んだ 」が、逆に成功譚は嫌いで、「出世していく男」「偉くなっていく男」を演じるのは「願い下げである」と。

その理由について、藤田まことは、「成功者は成功する過程で他人を追い落とすなど人間らしいとはとても言えないような生き方をするものだが、芝居にするとそのような人間らしくない生き方が省略されたり強引に美化されるからだ 」とのことです(『年をとるのも悪くない』飛鳥新社)。

『必殺』シリーズの中村主水や、『はぐれ刑事純情派』の安浦吉之助などがまさにそれにあたります。

私は、何不自由・不幸のない「ほしのもと」で育った人よりも、人生に苦労してその価値観に陰翳がある方が役者として向いているとおもっていますが、藤田まことは後者といっていいと思います。

渥美清の藤田まこと評は正しかったのか


ところが、『おかしな男渥美清』(小林信彦著、新潮社)によると、渥美清は、伴淳三郎、ハナ肇、藤田まことらのことをよく言っていません。

たとえば、伴淳三郎やハナ肇は「政治をする」からだそうです。

渥美清は、役者について、「狂気のない奴は駄目だ」「それと孤立だな。孤立してるのはつらいから、つい徒党や政治に走る。孤立してるのが大事なんだよ」という持論を持っています。

つまり、人間関係を利用してうまく立ちまわる、サラリーマン的処世術とは対極にいるのが役者なのに、その処世術に走って存在感や権勢を誇ろうという野心を、渥美清は「政治」と唾棄しています。

そして、藤田まことに至っては、「どこがいいのかわからない」と、「それ(政治をする)以下」「論外」の評価を下しています。

当時、藤田まことは巨大事務所だった渡辺プロダクション所属なので、今で言うジャニーズタレントを見るような評価だったのかもしれません。

しかし、見てきたように、藤田まことは、『てなもんや』で爆発的に売れても、そしてナベプロの力があっても、テレビや映画にしがみつこうとはせず、いったんは野に下ってキャバレーまわりをしています。

また、藤田まことは、渥美清や財津一郎同様、弟子や付き人などを持たない人でした。

要するに、「政治」をしたり、ファミリーだの軍団だのを作ったりする人ではなかったのです。

渥美清は希代の役者ではあると思いますが、同業者の評価には嫉妬や牽制など感情のバイアスがかかることはなかったのでしょうか。

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『てなもんや幽霊道中』


『てなもんや三度笠』(1962年5月6日~1968年3月31日、ABC)は、渡世人のあんかけの時次郎(藤田まこと)と、相棒の修行僧・珍念(白木みのる)が、各地を旅しながら起こる騒動を描いた舞台喜劇番組です。

「アタリ前田のクラッカー」のフレーズでお馴染みです。

しかし、当時のビデオが殆ど残っていません。

そこで、『てなもんや三度笠』の映画版である『てなもんや幽霊道中』(1967年、東宝)をご紹介します。

てなもんや幽霊道中

TV番組が人気だったので、映画も作ってしまったわけです。

藤田まこと、白木みのる、財津一郎、南利明、野川由美子といったテレビ版のレギュラーのほか、恵とも子、ハナ肇、谷啓、桜井センリ、ザ・ドリフターズ、田村亮、玉川良一、遠藤辰雄(遠藤太津朗)、藤木悠と、なかなか面白い出演者が揃っています。

加賀美藩(彦根城がロケ地)のお家騒動を時次郎と珍念が解決すると言う話です。

てなもんや幽霊道中

タイトルの「幽霊」は、狂言回しで野川由美子です。

藤田まことと、白木みのるの掛け合いがやはり面白いですね。たとえば、

「人の難儀を見て、よう黙ってほっとかんのが、このあんかけ時次郎の優れた欠点や」

と言っていますが、「優れた欠点」とは、よく聞くと矛盾しています。

『天才バカボン』の「ハンタイの賛成」ではありませんが、言葉遊びが随所にテンポよく出てきます。

こういうシンプルなドラマは今はつくれないものでしょうか。

藤田まことさん。どんなドラマや映画を覚えておられますか。

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末尾ルコ(アルベール)

藤田まこと、テレビドラマの主役をつとめた期間はおよそ半世紀・・・藤田まことについてはさほど詳しく知らないのですが、父親が藤間林太郎という無声映画時代のスターだったのですね。わたしは米仏のサイレントはそこそこ観ておりますが(なにせかつて日本のテレビは、チャップリン映画とか普通に放送してましたですからね)、日本のサイレントはまったくと言っていいほど観てないのです。それはなかなか鑑賞機会がないというのが一番の理由なのですが、淀川長治に言わせると、溝口健二監督も本当に凄い作品はサイレント時代にあるという話で、とても興味があります。
藤田まことについては、最近出演作を観て、やはり顔立ちがとてもスター性があると感じました。一般的に見れば、ちょっと変わった顔ということになるのでしょうが、主役然として風格があります。『必殺』シリーズは大人気で、小中学生でも観ておりました。わたしも、毎回ではないけれど、ちょいちょい観ておりましたね。それと小川範子をちょっと好きだった時期がありまして、『はぐれ刑事 純情派』もたまに観てました。
藤田まことの主張の中では、「成功者を演じたくない」という考えには共感できます。成功者をシビアに描く作品も少なからずありますので一概には言えませんが、特にわたしが『大河ドラマ』を嫌いなのは、主要人物が美化されまくっているからなのです。歴史を動かしたような人間が、そんなにおきれいなわけないだろうと当然感じるのですが、『大河』は1年間かけて、結局きれいごとで済ましてしまうのが何とも肌に合わないのです。高知地元の坂本龍馬にしたところで、人間として(どうなんだ)という要素はかなりあるのに、そうした部分はまず描かれませんから。
それにしても渥美清は同業者の、しかもスター俳優たちに対してもはっきりと発言しているのですね。わたしは伴淳三郎、ハナ肇、藤田まことらについてそう多くをしってはいないので何とも言えないのですが、日本ではスターがスターのことを評価したり批判したりは珍しいので、とても興味深く感じました。

正統派レスラーということでわたしの脳裏に真っ先に浮かぶのはドリー・ファンク・ジュニアで、やはりプロレスを観始めた時期の刷り込みは大きかったです。ルー・テーズは既に歴史上の人物といったイメージでして、『月刊プロレス』の「プロレスラー実力ランキング」的な企画でドリーが堂々(笑)1位になったというのもありますし、そうしたイメージ操作によって、後光が差しているような存在でした。今ドリーの試合を観ると、(う~ん・・・)なのですが。
お恥ずかしいお話なのですが、ドリーの試合を初めてテレビで観たのも『オープン選手権』の開幕戦でして、相手はブッチャー。しかしこの試合は(へえ!さすがは世界最強だな)と感心したものです(笑)。ブッチャーをブレーンバスターで投げるし、ブッチャーの椅子攻撃をかわすしで、たまたま一緒に観ていた母も、「この人は隙がないねえ」と感心しておりました。レイスもとても高級感があったのですが、正統派と言うよりも、ラフ&テクニックのイメージでした。レイスはブッチャーとの因縁で、わたしの中では一気にトップになりました。『オープン選手権』には『正統テクニシャン』という触れ込みでホースト・ホフマンも来てましたね。ホフマンにどれだけ地力があったかは、今となってはよく分からないですが、プロレス観戦初心者だったわたしには(細いし、暗いし、弱そう~~)な印象でした。プロレスファンの友人とも、「ホフマンがブッチャーとやったら、泣かされそう」と愚弄しておりましたし(笑)。でも巷で言われているように、「対猪木」も想定していたメンバーだったのですから、ホフマンも強かったのでしょうね。   RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-12-25 03:02) 

pn

やっぱ必殺シリーズですねー。初期の必殺での主水は主役扱いでは無く、えーっとなんて言うんだっけか?大物扱い?(笑)エンドロールでは一番初めでは無く「止め」なんですよ。新必殺仕置人の時だっけかな、主役扱いになったのは。
当時地味に金がないから蕎麦食うシーンなんて本気で食ってたらしい。
by pn (2018-12-25 06:21) 

ヤマカゼ

必殺シリーズ見てました。確かに、しぶい演技が良かったですね。
by ヤマカゼ (2018-12-25 07:02) 

ニッキー

必殺シリーズ、大好きでした^^
表の仕事をしてる時ののほほんとした表情と
裏の仕事してる時の引き締まった表情、
どちらも好きだったなぁ( ^ω^ )
by ニッキー (2018-12-25 07:24) 

かずのこ

薄い記憶ですが『てなもんや三度笠』を見ていたのを覚えています。白木みのるの方が印象的でしたが…^^;
by かずのこ (2018-12-25 08:24) 

えくりぷす

藤田まこと、BSだと今でも毎日のように顔を見ますものね。
私は『剣客商売』が最近まであったせいか、覚えています。
2年前にBSのドキュメンタリー番組で、藤田まことの人生をやっていたのですが、大柄なので殺陣が映えたような話をしていたような…
by えくりぷす (2018-12-25 09:54) 

チナリ

おはようございます。

藤田まことさんと言えば、何年か前に、父がBSだったか、CSだったかにて再放送されていた「剣客商売」を一緒に観ていた記憶があります。

しかし、私の中では「はぐれ刑事純情派」のイメージのほうが強いですね。

by チナリ (2018-12-25 10:00) 

扶侶夢

「てなもんや三度笠」毎週と言って良い程観てハマっていて、平参平や財津一郎のモノマネをよくやっていました(笑)
藤田まことの初期の記憶は吉本喜劇の「スチャラカ社員」という番組で(たぶんローカルネット朝日放送で関西圏のみ放送)女子社員・富司純子(当時は藤純子)の追っかけ役だったのを覚えています(古~っ!)
by 扶侶夢 (2018-12-25 10:35) 

なかちゃん

藤田まことさんは好きな役者さんです。
出世していく男 偉くなっていく男 を演じるのは願い下げで・・・そんな想いで演じておられたんですね。尚更好きになりました。

by なかちゃん (2018-12-25 13:03) 

Take-Zee

こんばんは!
てなもんや三度笠が懐かしい番組です!
by Take-Zee (2018-12-25 18:16) 

kou

藤田まことと言えばやっぱり必殺シリーズですね。
未だにBS放送の必殺仕事人を録画して観ています。
ちなみに浅丘めぐみさんが出演しているシリーズが一番すきです。
by kou (2018-12-25 18:54) 

ヨッシーパパ

「当たり前だのクラッカー」ですね。^_^
by ヨッシーパパ (2018-12-25 19:33) 

そらへい

「てなもんや三度笠」よく見てました。
よく笑っていた記憶があります。
財津一郎も途中から加わってましたね。
私の記憶では、てなもんやから必殺まで
かなりの時間があったように思います。
その間、ドサ回りしていたとは知りませんでした。
by そらへい (2018-12-25 22:33) 

エンジェル

てなもんや三度笠見てましたよ〜当たり前田のクラッカーですよね(笑)藤田まことの番組は必殺シリーズもよく見ていました。渋みと可笑し味のある俳優さんでした。
by エンジェル (2018-12-25 22:59) 

ナベちはる

藤田さん、『はぐれ刑事純情派』や『必殺仕事人』のイメージがかなり強いです。
by ナベちはる (2018-12-25 23:25) 

犬眉母

こうしてみると大スターなんですね
by 犬眉母 (2018-12-30 02:15) 

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