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野田市10歳女児虐待死事件で考えた「人と人との関係」の基本

野田市10歳女児虐待死事件で考えた「人と人との関係」の基本

野田市10歳女児虐待死事件は辛い話です。それはもう言うまでもないことですが、ネットの中にある、「逃げなかった妻もおかしい」という意見は、DVというものをわかっていないんじゃないか、とおもいました。そしてそれは、事件を通して、家族友人すべて含めて、人間関係とはいったいなんだろうか、ということをじっくり考える「よすが」にすべきだと思いました。





DV被害の女性は「抵抗しないこと」を学習する


母親は事件当日も自宅におり、身を挺して子を守らなかったことが「能動的不作為」にあたり、今回の逮捕につながっているわけですが、「身を挺して子を守らなかったこと」こそが、まさにDVを受けている人の典型的な現象であるとも言われています。

東京都児童相談所児童心理司の山脇由貴子さん(心理カウンセラー)は、「DV被害を長く受けた女性は、学習性無力感を抱く。抵抗すると殴られる、逃げても殴られる。じっと動かず耐えていることが一番被害は少ないと学習する」といいます。

その意味で、暴力が子だけでなく、妻に対しても日常的に行われていた可能性が高いとされています。

暴力で妻や子を従わせる支配的関係の破綻が、最悪の形で起こったのです。

私はそのおおもとには、そもそも「支配的関係」を強いる人間関係構築の本質的な問題があるのだろうと思いました。

ことは暴力だけの問題か


今度の容疑者には暴力がありますが、たとえ暴力を伴わなくても、実はこの男社会では、夫と妻の立場は対等ではありませんから、夫の不用意な一言(←悪意がなくても)が妻を追い詰める場合があります。

たとえば、妻としてこうしてくれああしてくれという夫の要望があったとして、妻は「良妻賢母」というイデオロギーを多少なりとも意識しますし、もしここで離婚されてもその後の生活が不安だ、ということも考えますから、夫は軽い気持ちで言ったとしても、妻はより重く受け止めます。

濡れ落ち葉の夫を捨てる熟年離婚なんてマスコミはおもしろおかしく報じますが、大半の夫婦は、夫の意図や自覚にかかわらず夫は妻に対して優位な前提にあるのではないでしょうか。

ですから、たとえDVとは無縁の「穏やかなお父さん」でも、妻に対して、支配的な関係ではないとはいえません。

そして、それは、夫対妻以上に、親対子に明確に、そして確実に言えます。

子どもは幼年期、殺生与奪を握られている親のいうことに逆らえない。

そして大きくなってからも、「親不孝」なる罪深い「道徳」の呪縛で、親にそむけない。

しかし、そんな子は、どんな職業や財産を持とうが、決して幸せな人生とは言えないでしょう。

親は、いかなる意図や自覚があろうが、子が進路や結婚など、腹を決めた人生の選択に口を出した時点で、毒親だと私は断言します。

客観的に見て、人生の先輩として一言したくなるような「無茶」を子がしている場合もあろうかと思います。

が、そうであったとしても、子の人生は親のものではありませんから、子が自らの意図や自覚で決めたことを妨げる「発言」の重さには十分気をつけてほしいとおもうのです。

世の中、親離れも子離れもできない現象を「共依存」なんていいますが、私はその概念自体に否定的です。

それは、親子が対等である場合に成立することです。

親子は決して対等ではありませんから、「子離れできない」ことと「親離れできない」ことは、全く経緯も意味も責任の所在も違います。ですから「共」という言葉は不適切です。

子離れできない親はたんなる毒親であるだけでなく、子が親離れできないのも通常は親の責任だと私はおもいます。

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「マウントを取りたがる」友人関係


支配と被支配というほどでなくても、人間関係に、上下関係なしの真に対等の関係を構築することなどあるのだろうか、と私は疑問に思うことがあります。

同級生、同期の同僚など、一見対等なはずの親しい人でも、実は相手は決して「五分と五分」ではなく、内心こちらに対し、今風に言うと「マウントを取る」関係を設定しているのではないか。

よく言うでしょう。

「周りの5人の平均年収が自分の年収」
「自分の周りにいる10人の「平均年収」が、あなたの「将来の年収」になる」

ネットで検索すると、この手の話はよく出てきます。試しに、この言葉のまま検索して下さい。

要するに、社会的に同じぐらいの格の人たちがひとつのコミュニティーを組むということをいっています。

……が、私はそこからもうひとつ突っ込んで、その例えの意味を考えています。

つまり、「平均」ということは、自分より格上の人と仲良くするには、格下の人も入れないと「平均」が上がってしまうんですね。

その意味で、「格下」扱いされやすい人ほど意外と人の輪に呼ばれやすい、一見人のつながりがあるという現象があるわけです。

自分はいろいろな人に飲み会に呼んでもらえる、人気があると喜んでいるあなた。

たんに、「格下要員」で必要とされているだけじゃないんですか。

私は実際に、高校の同級生に明らかに「マウントを取りたがっている」人間がいたので、そいつのニーズに応えるつもりはなく、そのグループの人すべてが気に食わないわけではないけれど、そいつ絡みの集まりは一切断ることにしました。

ま、これについては見解の相違で、「そんなこと別にいいじゃないか」という人もおられると思いますけどね。

いずれにしても、家族であれ友人であれ、そんなコミュニケーションしかできないなら、今回のような事件にまでは至らないとしても、決して誰も幸福にはなれないと私はおもいます。

みなさんは、夫婦、親子、友人などの人間関係について、支配と被支配の関係も、上下関係もないと胸を張っていい切れますか。

DVは なおる ― DVを終わらせるための提案と挑戦 ―
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コメント 10

末尾ルコ(アルベール)

野田市10歳女児虐待死事件で考えた「人と人との関係」の基本・・・同事件の全容が明らかではないのである程度一般論でお話させていただきますと、「逃げなかった妻もおかしい」とか思っている人たちは無知も甚だしいですね。「家庭」という強烈な閉鎖世界の中、「逃げる」などという選択肢を持てなくなるのがDVの恐ろしさですからね。

>夫の不用意な一言(←悪意がなくても)が妻を追い詰める場合

同事件の「夫」は論外として、この「不用意な一言」のもたらす悪影響については、わたしも声を大にして主張したいです。無数の「妻」、そして「子ども」もそうですが、日々精神にトラウマ的傷害を与えられていると思います。「不用意な一言」によって、人生を大きく歪められてしまう人たちも無数に存在すると思いますよ。実はわたしも高校時代に「友人」と思っていた数人の奴ら(笑)の言葉が長きに渡って心理的抑圧になっていた経験があります。だからわたしは常日頃、一言一言には細心の注意を払いつつ言葉を発しているつもりです。もちろん一緒に暮らしている「妻」に対しての言葉は、どれだけ気を遣っても遣い過ぎることはないですね。でも現実は、多くの「夫」が気を遣ってないですよね。いまだシングルのわたしが言うのも何ですが(笑)、「一緒に人生を歩む」と決断してくれただけでも、どんな感謝を捧げても捧げ足りないくらいだと思うのですが、多くの男性はまるでそんな意識がないようですね。

>子が進路や結婚など、腹を決めた人生の選択に口を出した時点

この意味では、わたしの父は「毒親」だったと言えます。感謝している面も多々あるのですが、職業に関しては、「教師か医者になれ」としか言わず、その他生活の様々な場面に「禁止」を設けておりました。この「禁止」は、30歳を越すまで、わたしの精神や行動を大きく阻害しておりました。30を越えてから、どうにか創造的な日々を送れるようになってきた次第です。

「マウントを取りたがる」友人関係・・・今のわたしの場合、現在はほとんど友人と呼べる人がおりませんが(笑)、そもそも友人が100人も200人もなんていうのがおかしいですよね。15年くらい前までは、わたしも交友関係を広めようといろいろな場所へデイルしておりましたが、そうした過程でできた「付き合い」のほとんどは死ぬほど(笑)退屈なもので、(どう考えても、一人でいる方がいい)という時間が95%くらいでした。だから現在はそのような人間関係の中におりませんので、マウント云々という感覚はありません。けれど思い出しますね、高校辺りから勝手に序列付けるヤツが必ずいましたね。
ちなみにわたしは人づきあいの中で、「年収」を意識することは一切ありません。わたしの年収に注目されても困りますし(笑)。わたしの「人を見る目」の根本は、「話をして愉しいかつまらないか」でして、「つまらない」人たちとは時間を共にしたくないですね。それと、世間的に「おもしろい」とされている人でもわたしにとったら「おもしろくない」ということもあります。

>仕事の成約に向けてストーリーが展開していた。

なるほどです。なにせこのところの映画ときたら、(あれ?登場人物、何の仕事してたっけ?)と後から首を捻るものが多いです。それ以前に学園物もやたろと多いですけれど(笑)。主要観客ターゲットを女子中高生にしている以上どうしてもそうなってしまいますよね。「仕事」とか「生活」とか言うと、「世知辛い」と短絡してしまいがちですが、山田洋次の手にかかるとそれが見事なスペクタクルとなり得ることを痛感しております。今後、作品中「仕事」がどう描かれているかも、より注意深く観ていこうと思っております。   RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-02-08 03:11) 

pn

子供の幸せの為、とか言ってるけどその先には自分の老後の為にも良い学校に行って良い会社に就職してって想いが見え隠れしているんですよ。親は子供の為では無く自分の為に子供に金をかける、って言うかほぼ私物扱い。
by pn (2019-02-08 06:24) 

Rinko

特に親子関係においては親が心して接しないと、明らかに「マウント」関係になってしまいますね。
はっとさせられます。

by Rinko (2019-02-08 07:58) 

チナリ

おはようございます。

深いお話ですね。

私は人間関係を築くことができないので、ずっと一人でいるのですが、もしも自分が人間関係を築くことができていて、友人がいる中で「そういう想い」を持った人物と友人関係を続けていると思うとゾッとしますね。

by チナリ (2019-02-08 09:19) 

みうさぎ

連日報道されて胸が痛くなりますし込み上げてきます。
飢えて凍えて死んで逝った子供が不憫です。母親が何故逃げなかったのか?言われてますよねっ。私もそう
思っている一人です。この女の人もDV受けていたようで
選択肢が閉ざされてしまった・・娘に矛先向いたお蔭で自分がやられなくなったとドキドキしながらやり過ごしていたんでしょう。私も前夫に経済的身体的言葉DV受けてきました。深夜まで説教受けたりいきなり30発殴られたり1mも飛ぶ程殴られたことがありました。鼓膜も破れたり傷も負いました。外面が良かったので
なんでアンタ出て行ったの!そう前夫の姉に言われ時はビックリしました。でもその姉も自分の夫に髪が抜けるくらい激しくDV受けてました。夫の姉の連れ合いは
私にはとっても優しくて親族で唯一チャン付けで呼んでくれてとっても優しかったです。
子供と前夫がチャンネル争いで子供が布団で身を
防いでいるのを殴りに行った時にもう終わりだ!と
判断しました・いつか治る?だろうと思ってました
が毎日ツルの恩返しみたいに自分の羽が抜かれて裸になって行くイメージが浮かびでもなんとかぁ立ち直ってくれると信じていたのですが
子供がいれなくなる環境は無理だと判断出来ました
子供が生まれた時にこの小さい手を守れるのは私しか居ない!と思っていたから まだ正常な判断能力があったんだと思います。でも最後の5年間は常識がおまえはなって無い!と大声で罵倒されていても時計見ながら
ハイ!終わり それでも 座れ!とず~と壊れたレコードみたいに同じこと説教してましたねっでもそう言えました。
9時から18時まで働いていたのに無職になってナニしてるかわからない前夫に常識が無い!と言われたのも
後から考えたらおかしなことだった思います。
この母親も被害であったけど子供を守るのは母親が
しなくて誰がするのだと思います
避ける離れる逃げる。という考える力さえも奪う人権侵害許されない。
私も怖くて別居から別れるまでの嫌がらせで
不安パニック障害で17年間病んでましたから
一緒にいた時より別居の間が特に警察も守ってくれない裁判所も役立たず 辛かった。です。
今は薬は飲まなくなりましたが少し音がするとビックと
心臓がするのは治ってません。未だ安定剤は持ち歩いてます。
人間て残酷な生き物だと思います。
マウントこれもグループ友人は持ってないのは
この言葉の意味の通りです。
私の中にもあると思います。
長々と(´艸`*)失礼致しました



by みうさぎ (2019-02-08 13:11) 

Take-Zee

こんにちは!
なんで我が子にこんな惨いことができるのか、
想像すらできません。
 この男、きっと殺すまでやったでしょうね。

by Take-Zee (2019-02-08 15:11) 

藤並 香衣

よそ様のブログで紹介されていた
河北秀也氏著書の一文です
「日本語の会話は、基本的に上下関係の会話で成り立っている。
 日本人は相手との小さな差が発見できないと、会話が始まらない。
 だから日本では、一番最初に名刺を交換するし、すぐに歳を聞きたがる。
 
 英語の会話は、人間の尊厳が基本になっている。
 身分に関係なく、体を切れば赤い血が出る、ということを基本にしている。
 これは、英語を使っている国が人種問題や階級の差を解決しているということではない。
 初対面の人や、見ず知らずの人でもまずそこから会話を始めるし、
 自分自身にも尊厳を持っている、ということである。」
確かに名刺交換でなくとも年齢や勤め先を聞かれることも多い
自分よりも下とみると上から目線という人も多いですよね
by 藤並 香衣 (2019-02-08 23:55) 

ナベちはる

人間関係、親子でも兄弟でも難しいですね…
by ナベちはる (2019-02-09 00:42) 

いっぷく

みなさん、コメントありがとうございます。

まだ事件の全容が明らかになったわけではありませんが、
DVについてのネット民の認識に疑義があったのと
もし母親が、父親の暴力を傍観していたのなら
DV被害が濃厚であると思ったので、書かせていただきました。
by いっぷく (2019-02-09 02:20) 

レインボーゴブリンズ

とても的を射た意見だと思います。
by レインボーゴブリンズ (2019-02-13 13:44) 

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