So-net無料ブログ作成

前田吟、リアルな生き様を博役で開花させた花の15期生の名脇役

前田吟、リアルな生き様を博役で開花させた花の15期生の名脇役

前田吟さん(まえだぎん、1944年2月21日~)の誕生日です。おめでとうございます。苦労した生い立ちから俳優座養成所の“花の15期生”に。山田洋次監督に見出されて『男はつらいよ』の博役で出演以来、俳優として息長く現在も活躍中です。(上の画像はGoogle検索画面より)



前田吟の本名は、前田信明というそうですが、すでに前田吟がデビューした頃、『事件記者』の青海記者役で前田昌明が有名になっていたので、似た名前で損をしないように変えたのかもしれません。

前田吟のプロフィールについては、ネットでもずいぶん取り沙汰されています。

新聞記者の実父とタイプライター教師の実母のもとに生まれたものの、2人は婚姻しておらず、養子縁組した養父母は幼くして亡くなり、さらに実の母親が原因でせっかく入った高校を中退。

親類をたらい回しにされながら働いて通信制高校を卒業し、俳優座養成所に入所。

“花の15期生”の一人として、以後はテレビ・映画のバイプレーヤーとして活躍しました。

同期のメンバーは、知ってる人多くないですか。

赤座美代子、津坂匡章(秋野太作)、小野武彦、片岡五郎、河原崎次郎、栗原小巻、柴田侊彦、太地喜和子(留年したため卒業は16期生)、高橋長英地井武男、夏八木勲、二本柳俊衣、浜畑賢吉、林隆三、原田芳雄、前田吟、溝口舜亮、三田和代、村井国夫、竜崎勝





ただ、“花の15期生”というのは、結果としてみんなが活躍したからそう呼ばれるのであって、その頃はそんな華やかな評価はもちろん受けていませんでした。

それどころか、俳優座養成所を卒業後、あるものは映画会社のニューフェースに合格し、またある者は文学座や俳優座などの大手新劇の座員になり、どこも行きどころがなかった人が「プロダクション」に所属と明暗が別れ、前田吟はその「プロダクション」でした。

「プロダクション」といってもピンからキリまでありますし、現在は当時と事情が違いますが、当時は俳優にとって映画会社の俳優になることが“花形”で、前田吟自身がある番組で、「どこも行けなかった人が『プロダクション』」と自分の経歴を自嘲気味に述べていました。

しかし、ひし美ゆり子さんのツイートではありませんが、上記のメンバーのほとんどが、映画なりドラマなりで主役の経験があるなかで前田吟は飽くまでバイプレーヤーであるものの、もしかしたら前田吟の生涯報酬がいちばん多いかもしれません。

その契機となったのは、私は山田洋次監督の『男はつらいよ』だと思います。


基礎として新劇の芝居をきちんと身につけた前田吟が、そこに恵まれない出自による陰翳を感じさせる人間臭さも加味された不良性や芯の強さを表現するのに、3人兄弟で一人グレて大学に行きたくても行けなかった工員の「博」の役柄がぴったりだったと思うのです。

同じく、寅次郎の舎弟である「登」役で同期の津坂匡章(秋野太作)も出ていましたが、山田洋次監督が本腰を入れて撮り始めた6作目からはほとんど出番がなくなる中で、前田吟は最終話まですべて出演しました。

2002年には、『スーパーモーニング』(テレビ朝日系)のキャスターをつとめたことがあります。

俳優が“脚本のない役”を演じられるわけがない、失敗することで俳優としてのキャリアにも傷がつくと心配されましたが、前田吟はその時58歳。

養父も58歳で亡くなっているし子どもも成人した。もうこれからの自分の人生は、余計な事は考えず当たって砕けろで自由にやってみる、というようなことをインタビューで語っていました。

結局、半年で降板しましたけどね。

スポンサーリンク↓

目標は年収1億円


これも出典は失念しましたが、前田吟が述べていた目標が年収1億円。

主役なら到達できる数字でも、脇役だとなかなかむずかしい、というような話をしていました。

私は、カネの話をしないことはきれいごとだとは思いますが、それでも人生の目標にカネを、それも具体的な金額をぶち上げたことはありません。

前田吟は、ずいぶん苦労したんでしょうね。

といっても、自分で事業を起こすとか、監督に転身するといった話はありません。

たぶん、同じような“叩き上げ”タイプでも、司会もレポーターも俳優も会社社長も経験している大野しげひさのような器用さはないのかもしれません。

でも俳優一筋というのも、それはそれでまた素晴らしい人生です。

『男はつらいよ』は、渥美清や毎回のヒロインに目がいきがちですが、いつもとら屋で昼食や夕食を取り、寅次郎の話を真面目に聞いている博に焦点を当てて鑑賞すれば、前田吟という人の生きざまが見えてくるかもしれません。

男はつらいよ HDリマスター版(第1作)
男はつらいよ HDリマスター版(第1作)

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカス (GSコミックス コミック寅さん)

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカス (GSコミックス コミック寅さん)

  • 作者: 山田 洋次
  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 1997/12
  • メディア: コミック


スポンサーリンク↓


nice!(226)  コメント(12)  [編集]
共通テーマ:学問

nice! 226

コメント 12

犬眉母

大映ドラマでは、悪役をされていましたね。
by 犬眉母 (2019-02-21 02:30) 

末尾ルコ(アルベール)

前田吟、リアルな生き様を博役で開花させた花の15期生の名脇役・・・このところ山田洋次作品を観る機会が多いので、自然と前田吟率もかなり高い状態が続いております。“花の15期生”を拝見して、栗原小巻と原田芳雄が同期とか、けっこう意外なメンバーだと感じました。
前田吟のような俳優は、わたしが10代の頃にはなかなかその価値が分からなかったです。もちろん知ってはおりましたが、「地味なおじさん」というイメージでした。どうしてもカッコいい俳優を中心に観てしまっておりましたね。ところがこのところ、前田吟の芝居を愉しんでいる自分がおりまして、僭越ながら、少しは成長しているのかなあと。もちろん、いっぷく様にいつもお教えいただいている俳優や作品に関するお話しは、何ものにも代えがたい糧となっております。
『男はつらいよ』の前田吟は倍賞千恵子と夫婦なのですが、俳優としての格は釣り合いが取れてないのでしょうが、作品の中のバランスとしては抜群で、夫役を前田吟にすることで、「さくら」がぐっと前景に現れてきている感が強いです。同時に前田吟も決して影が薄いのではなく、「さくら」が「主」でありながら、「従」である前田吟も、「従」だからこそ光っている・・・そんな印象を最近持つようになっております。

わたしは原則、「俳優一筋」、あるいは「音楽一筋」というスタンスの人たちが好きです。もちろん、俳優が歌ったり、歌手が芝居したりというのは、ある程度はありだと思いますが、司会やコメンテーターとなると、わたしの中では(ちょっと、どうなのか)と感じることが多いです。もっとも、藤純子らも司会をやっておりましたし、それでバリューは落ちなかったですから、一律に言い切れるものではありませんが。何度か例に出させていただいておりますが、かつて「小悪魔」で一世を風靡した加賀まりこが、わたしにとってはまず「偉そうにズケズケ物を言う中年婦人」のイメージが摺り込まれまして、後になって若い頃の作品を観ても、どうしても「小悪魔」に浸りきれない・・・というのも印象深いできごとです。役が来なくなったら、別の稼ぎ方を見つけねばならないというのも理解はできますけれど。


>「入れ込むと幻滅する」

これ、すごく大切ですよね。まったく今の幼稚な多くの日本人に一人ずつ言って聞かせたいくらいです(笑)。人間のやることですから、どんな人であれ、「完璧」はあり得ない訳で、そういう部分を含めてファンでいられるか、客観的にも評価できるなどがポイントなのだと思います。わたしの場合、ロバート・デ・ニーロというのは子どもの頃から決定的な存在であり続けているのですが、90年代以降はかなりしょうもない映画への出演も多くなっているけれど、そのような部分も含めて熱烈なファンであり続けております。しょうもない作品までデ・ニーロが出ているからといって、「どれもこれも傑作だ!」と主張するつもりはありません(笑)。デ・ニーロに対する批判も、納得できる内容であれば、受け入れます。
で、翻って今の日本(笑)、何かのファンになると最早盲目状態となり、「批判は一切受け付けない」という態度の人、多過ぎますよね。そういう人は実際に会わなくても書いているものを読めばすぐに分かりますから、相手にして無駄な時間を費やさないようにしております。目に余る場合は、多少攻撃することもありますが(笑)。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-02-21 02:53) 

ヤマカゼ

どこかで見たなと思ったら、男はつらいよに出てましたね。
by ヤマカゼ (2019-02-21 06:29) 

Take-Zee

おはようございます!
前田吟さんはクイズのパネラーやナレーションで
元気に活躍してますね。
 でも、やっぱり”ヒロシ”のイメージが大きい
ですね!

by Take-Zee (2019-02-21 06:39) 

Rinko

俳優座15期はそうそうたるメンバーですねー。
前田吟さん、お名前がとても好きなんです^^
苦労なさったんですね。
by Rinko (2019-02-21 08:35) 

なかちゃん

前田吟さん、大好きな役者さんです。もっともボクの場合は寅さんのレギュラーということでかなりの贔屓目で見ているのかもしれませんが。
寅さんの博の役以外は知らなかったのですが、数年前にNHKの朝ドラ『マッサン』でも見ました。役柄が違うとこんなにも違うんだと思い、ますます好きになりました。

by なかちゃん (2019-02-21 09:43) 

pn

うん、博一家の変化を観察すると面白そうですね、アパート生活からその後の記憶が無いのでマンションとか戸建て買ったのかなー?
by pn (2019-02-21 10:18) 

斗夢

昔はタレントと言われる人はいなかったと思います。
タレントはTVの申し子でしょうか。
タレントという人を見るとこの人の本職はなに?と
聞いてしまいます。
by 斗夢 (2019-02-21 13:41) 

kohtyan

庶民派の俳優さんで、好感が持てます。
元気で活躍してほしいですね。
by kohtyan (2019-02-21 18:49) 

ヨッシーパパ

「ありがとう」にも、出ていた様な記憶があります。
よく見かけたのは、寅さんですね。
by ヨッシーパパ (2019-02-21 19:19) 

ナベちはる

15期のメンバー、私でも数人分かる方が数人いらっしゃるので、そうそうたるメンバーなのだというのが分かります。
by ナベちはる (2019-02-22 00:41) 

そらへい

博役の前田吟さん、好きでしたね。
真面目で実直、時に熱く世の中を語ることがありました。
by そらへい (2019-02-22 22:50) 

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます