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『金魂巻』から『金持ち父さん 貧乏父さん』へ

『金魂巻』から『金持ち父さん 貧乏父さん』へ

『金魂巻』の著者である渡辺和博さん(わたなべかずひろ、1950年2月26日~2007年2月6日)の生まれた日です。『金魂巻』というのは、『マル金・マルビ』で1983年の第1回流行語大賞を受賞しましたが、その17年後に発売されたロバートキヨサキ著『金持ち父さん 貧乏父さん』にもつながるものがあると思いました。



『金魂巻』は、1980年代に注目されたコピーライター、イラストレーター、ミュージシャンなどの横文字仕事を中心に、女子大生や会社員などに至るまで、様々な“同じ職業や属性の人々”のライフスタイルの違について、ハンカチや腕時計の趣味のようなところから細かに観察。

そこからふたつのパターンに分けて、行動がすべてプラス方向に向かい高収入を得られる金持ち「○金」(まるきん)と、行動がすべて裏目に出ていつまでも底辺にいる貧乏な「○ビ」(まるび)とに分けて戯画化して映画化までされました。

昨年、Twitterでキリンビバレッジが『午後ティー』の広告で、似たような戯画化をツイートしたら、主要購買層である女性を、卑下・軽視しているとして炎上したのは記憶にあたらしいところです。





『金魂巻』の頃(1980年代)に比べて『午後ティー』(2018年)は時代が変わってそれが許されなくなったのか、『金魂巻』と『午後ティー』ツイートはそもそも違うものなのか、私にはわかりません。

ただいえることは、著者の意図や自覚にかかわらず、極論で人を2極分化してレッテルを貼る手法が、この『金魂巻』のあたりから始まったのではないか、ということです。

身なりや考え方だけでその人が「金持ち」か「貧乏」かはわかりませんし、そもそも「金持ち」と「貧乏」の定義というのもよくわからないし、「金持ち」だからいいのか、「貧乏」だから悪いのか、というのも一概にはいえないでしょう。

そこで、さらに踏み込んで「金持ち」と「貧乏」の像を明らかにした二元論が、ロバートキヨサキという方の『金持ち父さん 貧乏父さん』です。

リーマンショックの後、改訂版がでました。

『金持ち父さん 貧乏父さん』とは


『改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』(ロバート・キヨサキ著、 白根美保子翻訳、筑摩書房)に登場するのは、日系五世のロバートという主人公と、生みの親の「貧乏父さん」と、育ての親の「金持ち父さん」です。



といっても、「育て」というのは、主人公が養子に入ったという意味ではなく、今風に言うとメンターという意味です。

正確には、友だちの父親です。

高学歴なのに貧乏だった実父と、高校も出ていないのにハワイで有数の資産家だった友人の父について、その考え方の違いを比較しています。

持ち家が資産である(貧父)負債である(金父)
社会福祉をあてにしてまじめに税金を払おう(貧父)経済的に自立しよう(金父)
頭のよい人間になれ(貧父)頭の良い人間を雇え(金父)
勉強していい会社に入れ(貧父)勉強していい会社を買え(金父)
金への執着が悪の根源(貧父)金がないことが悪の根源(金父)
買いたいものがあるときそんなものを買うお金はないと批判する(貧父)どうすればそれを買えるようになるのだろうかと問う(金父)

YouTubeには、6分でわかる「金持ち父さん 貧乏父さん」がアップされています。


自己啓発セミナーとか、情報商材を作って売っているインフォプレナーが大好きな書物ですが、これも結局は、極論による人間レッテルの二元論化にすぎないものです。

たしかに昔から、武士でいるよりは町人として稼いだ者のほうがいい暮らしをしていたとか、官僚よりもベンチャーで成功した起業家のほうが家族に不自由ない暮らしをさせたとか、いわれますけどね。

でもそれが幸せと思えるかどうかは、価値観にもよりますので、一概にはいえません。

もとより人生は「ほしのもと」の都合で、そうしたくてもできないこともありますし、突然病気になったり交通事故にあったりして、ある計画を立てていても「志半ば」ということはありますから、「金持ち父さん」のような考え方さえしていれば「金持ち」になれる保証などはありません。

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それでも……


ただ、たとえ皮相的な極論であっても、明らかに違う2つの価値観を提示されることで、それらの価値観の幅から、自分にとっての真実を見つける契機にはなると思います。

それには、どちらか一方を鵜呑みにするのではなく、いつも是々非々でものを考えられるようにすることが条件です。

たとえば、今の政治を語る人々は、ポジショントークばかりしてますから、右も左も信用できません。

ただし、その幅から自分なりの答えを、自分の頭で考えて導き出せるようにすればいいのではないかと思います。

そういう意味では、『金持ち父さん 貧乏父さん』は、オルグ家たちとは別の意味で、読んでみる意義はあると思います。

もう、読まれましたか。

金魂巻―現代人気職業三十一の金持ビンボー人の表層と力と構造
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改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)
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金魂巻の謎―戦後40年、金ビの誕生とポストモダン、国民生活のナウの行方の物語と序説

金魂巻の謎―戦後40年、金ビの誕生とポストモダン、国民生活のナウの行方の物語と序説

  • 作者: 渡辺 和博
  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 1985/10
  • メディア: 単行本


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nice!(213)  コメント(13)  [編集]
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コメント 13

犬眉母

ハイリスクはハイリターンですからね。
ロバートさんは会社を倒産させましたね。

by 犬眉母 (2019-02-26 02:15) 

末尾ルコ(アルベール)

>『金魂巻』から『金持ち父さん 貧乏父さん』へ・・・ありましたね~、『金魂巻』。熱心に読んだことはないのですが、値を通すことくらいはしておりました。渡辺和博は比較的若い頃に亡くなっているのですね。ただ、この人の書くものは、あまりおもしろいと感じたことはないです。『午後ティー』の件は、問題になっていることは知っておりますが、あまりつぶさにはチェックしてませんでした。

>極論で人を2極分化してレッテルを貼る手法

こういうのは基本的に嫌いです。でも世の書かの多くの人は、人間性や社会の複雑かつ不可解さが耐えられないので、すぐにこうした分かりやすさに飛びつくのですよね。そもそもどうして渡辺和博にそんなことが分かるんだというのもありました。特に具体的な服装やヘアスタイルをあげつらって、同じものを着用している人たちが同じタイプの人間であるかのように思わせる手法はいただけません。
ただ、極端な二元論はいつの時代も注目を浴びますね。「勝ち組・負け組」なんかもそうでしょうが、ホントに皮相的です。わたしの感覚だと、「結局最後は皆死んじゃうのに、勝ちも負けもないだろう」なんですけどね。

>でもそれが幸せと思えるかどうかは

極端な貧乏はキツいですが、けれど日本全体が貧乏だった時代に、日本人が皆不幸だったわけではないですよね。逆に、金持ちで不幸な人はごまんとおります。極端な例(笑)を出せば、マリリン・モンローやマイケル・ジャクソンが幸せな人生を送ったのか・・・ということですよね。

>是々非々でものを考えられるようにすることが条件です。

いつもいっぷく様がおっしゃっておられることですね。大同感です。なにせ今の世の中、是々非々の思考ができない人が多過ぎますから。日本の政治家のポジショントークも、最早「完璧に何の意味もない」レベルに達しておりますが(笑)、いまだにポジショントーク自体を「正しい」と信じる人が多いですからね。あれはもう、「まったく意味のない音声」に過ぎません。


>菩薩とかいってた平岡正明

ありましたね~。わたし、その本は読んでませんが、そもそも山口百恵に魅力を感じたことなかったので、いや~な気分になりました。最近で言えば、濱野智史という学者の書いた『前田敦子はキリストを超えた』ですよね。読まずに批判できないので目を通したんですが、「ウケ狙い」もあるでしょうが、驚いたことに、「ほぼ本気」で書いたようなのです。こういうのが「学者本」として流通するのであれば、世の中のいかなることも屁理屈で菩薩やキリストにしてしまえるなあと・・・わたしにとっては、(学者というのもここまで落ちたか)という書籍に一つでした。

マスターベーションシーンというのは、女優としてはかなりの率で(演じたい)と思っているのかもしれませんね。ただ、しっかりした監督の演出の下、(いろいろな意味で)意義あるシーンになってないと、(何をやってるんだ?)ということにもなりかねません。世界的には無名だったナオミ・ワッツがデヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』で自慰を演じ、いきなり大スターの仲間入りをしたことが記憶に新しいですが、あくまで作品が凄かったからです。日本では真木よう子が演じてますけれど、(何をやってるんだ?)というレベルでした。  RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-02-26 03:06) 

pn

マジで貯金無いから金は欲しいけど、あるのか無いのか分からない未来の為に四苦八苦するなら今日を精一杯出来る範囲で楽しく生きる方がいいような。
やっぱカメラ買い換えようかな(笑)
by pn (2019-02-26 06:23) 

ヤマカゼ

マル金・マルビ、懐かしい響きですね。
by ヤマカゼ (2019-02-26 06:28) 

エンジェル

金魂巻の共著の神足裕司は大学のクラスメートです。今は寝たきり状態でコラムを書いています。元通りの体にはならないと思いますが、頑張って欲しいと思っています。
by エンジェル (2019-02-26 08:18) 

えくりぷす

『金魂巻』も『金持ち父さん 貧乏父さん』も読んでおりません。『金魂巻』はなんとなくホイチョイのに乗っかったものと思っておりました。『金持ち父さん 貧乏父さん』シリーズは、ベストセラーなのに古本でもいい値段がしていたのを覚えています。
by えくりぷす (2019-02-26 11:05) 

扶侶夢

『金魂巻』まさにバブル絶頂期を代表するベストセラーでしたね。続編の『金魂巻の謎』と共に書棚にあります。
当時は糸井重里、仲畑貴志といったコピーライターや『ビックリ・ハウス』のパルコ文化がトレンディな時代で、ホイチョイ・プロダクションの『きまぐれコンセプト』にハマっておりました(笑)
by 扶侶夢 (2019-02-26 11:12) 

なかちゃん

『金魂巻』も『金持ち父さん 貧乏父さん』も読んだことはありません。
でも、ふたつの考え方を並べて書いてあるのは面白いです。
ただ、どちらだから幸せとか不幸とかは簡単ではないと思いますけどね。

by なかちゃん (2019-02-26 15:16) 

nicolas

うわ、金魂巻、なつかしいです!(゚ω゚;)
実家に行けばまだあるかもしれないです。
渡辺和博さん、もう亡くなったんですね。57歳って、若かったですね・・
by nicolas (2019-02-26 15:31) 

sunnyday

久しぶりに難しい問題を思い出しました。
随分と、博学なのですね。
ボーっと主婦していた私には、すごい刺激です。>0<;
若い頃、欧米人はまず人を見る場合、靴を見ると言われていました。
ブランド品であるかどうか、きれいに磨かれているかどうか・・・。
そして、服装。
外国人が企業トップにいて面接される時は、頭脳以上にそちらの方で判断されやすいので、要注意だった事を思い出しました。(苦笑)
by sunnyday (2019-02-26 18:06) 

ヨッシーパパ

初めて知りました。
by ヨッシーパパ (2019-02-26 18:52) 

ナベちはる

「金持ち父さん 貧乏父さん」、考えさせられます…
by ナベちはる (2019-02-27 00:44) 

そらへい

昔から気になっている本ですが
いざとなると手が伸びません。
それに今更ですよね。
by そらへい (2019-02-27 22:20) 

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