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特別養子縁組は法律違反の「子どもあっせん」が契機となった

特別養子縁組は法律違反の「子どもあっせん」が契機となった

特別養子縁組をご存知ですか。ある産婦人科医師の「子どもあっせん」が契機となった制度と言われています。NHKの『ハートネット』(Eテレ)でも、しばしば“特別養子縁組・里親”について取り上げていますが、来る5月12日には、サヘル・ローズさん(養子の当事者)を司会に迎えて、大人になった養子の当事者や専門家らと共に、養子縁組・里親について考えるフォーラムが開催されるそうです。



少子化、虐待、さらに優生保護法などが話題となり、今ほど子供を生み育てることについて考えさせられるときはありません。



本来、養子縁組というのは、親が代わることではなく、親が増える制度です。

つまり、実の親(生みの親)に加えて、育ての親が「親」として加わる二重の親子関係になるわけです。

一方、特別養子縁組は、育ての親が実の親になる制度です。

その制度によって、実の親による養育が困難、または不適当な環境にある子(6歳未満)が、引き取られた養親の実の子とできるのです。


もうひとつ、里親というのは、戸籍を変更せず、一時的に子を養育する制度です。

そうした制度で、思いがけない妊娠に戸惑う人に対して、かけがえのない命を守ろうというわけです。

虚偽の出生証明書で100人の新しい生命が救われた


その関連で、4月の終わりにFacebookのあるグループで、菊田昇医師を振り返る投稿があったので、私も思い出してみます。

菊田昇医師
Facebookより

石巻市で開業していた菊田昇医師は、産婦人科医として中絶手術をする中で、罪の無い子を闇に葬る自身の行為に葛藤を持ち始めます。

そこで、中絶手術を求める女性を説得して堕胎を思いとどまらせる一方、地元紙に養親を求める広告を掲載。

生まれた赤ちゃんを、子宝に恵まれない夫婦に、無報酬であっせんしました。

しかも、菊田昇医師はその際、自分の子として虚偽の出生証明書を作成しました。

法律的には、ここでアウトです。

しかし、産んだ人の記録を残さないためにはその措置しかありませんでした。

週刊誌のインタビューで、すでに100人を超えるあっせんがあたことを告白。

国会にまで呼ばれた菊田昇医師は、産婦人科医会に医師法違反で告発され、所属関係学会を除名されました。

そして、優生保護法指定医も剥奪され、6ヶ月の医療停止の行政処分を受けます。

しかし、菊田昇医師の斡旋事件から法的制度が必要だという機運が高まり、およそ10年近くたった1987年9月にようやっと、戸籍に養子を実子と同様に記載するよう配慮した特別養子縁組制度の法案が可決しました。

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法律違反が社会発展の契機となる難しさ


社会発展というのはむずかしいなあと思うのです。

菊田昇医師は、法律違反をおかしたのです。

しかし、それが契機になって、新しい法律ができ社会が前進したのです。

まじめに、法を守っていた他の産婦人科医は、菊田昇医師を告発して足を引っ張ることしかできませんでした。←もちろん法的にはそれが正しいのです。

名誉毀損とか、著作権侵害などにも、同様の可能性があるのです。

たとえば、名誉毀損を恐れず、企業や政治家を暴くことが必要な場合もあります。

もとより、世の中には、あらゆるテーマについて、様々な議論があります。

おかしいと思う意見があっても、それが新たな真実の突破口になるかもしれません。

ですから、その意見が間違っていれば批判するにしても、発言そのものを封じるのは、社会発展の契機を自ら潰すことになるかもしれないのです。

その意味で、昨今のネットなどに見られる、特定の発言に対する過剰な否定的攻撃は、社会を停滞させることになるのではないか、と私は心配しています。

うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました
うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました

戸籍の窓口 II 養子縁組・特別養子縁組

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  • 作者: 山下 敦子
  • 出版社/メーカー: 日本加除出版
  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: 単行本


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コメント 10

犬眉母

法律は価値の体系ですから、人々の価値観が変われば
今まで黒だったものが白に変わることもあるので、
絶対ではないと思います。
by 犬眉母 (2019-05-03 02:36) 

末尾ルコ(アルベール)

特別養子縁組は法律違反の「子どもあっせん」が契機となった・・・確かに日本では、、「特別養子縁組」や「里親」が広がりませんね。わたしの周囲でも一件も耳にしたことがありません。一つは血縁主義が根強いという点があるでしょうし、もっと大きく眺めれば、日本社会の本質的貧困という問題へも行き着きそうな気がします。文化が違うといえばそれまでですが、やはり思い出されるのは米国ハリウッドスターらが違和感なく養子を受け入れる姿勢です。「社会」というものの捉え方もかなり違う気がします。
菊田昇医師についてはまったく存じませんでしたが、凄いことをやり続けていた人がいたものですね。虚偽の出生証明書を作成してまでそうしたことを続けていたとは、「生命」というものについて、余程大きな思いが育ったのでしょうね。ナチスの目を逃れながらユダヤ人を助け続けたシンドラーのエピソードを思い出します。まあこれは極端な例ですが、「法」というものは根源としては人間のためにあるもののはずだから、事例によっては例外的措置も必要になるべきですね。

>発言そのものを封じる

結局そのような人たちが多い社会は、極めて幼児的な社会と言えるのではないでしょうか。自分の気に入らない発言に対しては、その内容を吟味することなく、頭から否定し、発言そのものだけでなく、発言者の人格さえも否定して、「これで終わり、反論は認めず」という態度に出る。そういうパターンの人たちが増えている感触です。こういう人たちこそ社会を停滞させている、つまり日本社会の足を引っ張っている元凶なのですよね。

・・・

「硬い」という言葉で比較的(笑)すぐに思い出すのが坂田亘の試合です。リングス時代末期はMMAに近いルールの試合もあったのですが、坂田がある時ブラジリアン柔術の選手とやり、試合まではいつも通りビッグマウス吹きまくりだったのに、いざ始まるとすぐに倒され、上からホールドされたまままったく動けず。その空虚な時間の間しきりに「こいつ、硬えよ!硬えよ!」とでかい声で繰り返してました。(硬いのは分かったから、どうにかしてよ!)と思って見てましたが、あれはセコンドへのアピールだけでなく、「何もできない」恥ずかしさを隠すための見栄だったのだと思ってます。坂田と言えばヘンゾ・グレイシーと試合する前も「俺はクレイシー嫌いだから」とかたっぷりビッグマウスを吹き、試合は秒殺負け。あの頃から(この男は・・・)と辟易しておりました。しかも何やら、「怪我をしないうちに」負けるのです(笑)。この辺りは高田延彦と共通点が。

看護士らスタッフの対応についてですが、母もなかなか我儘なところがありますので、その言を鵜呑みにはしませんが、おかしなことをされたらたまったものではありませんので、毎日本人に病院側の対応を尋ねております。まあわたしが毎日複数回面会に足を運んでいることで、スタッフの方々も(詳しくみられている)とは感じていると思います。もちろんプレッシャーをかけるつもりではなく、通常の対応さえしてくださればいいのですが。        RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-05-03 02:54) 

ヤマカゼ

ニュースでは、子供の虐待の件数がかなりの数を報告していましたね。一方では子供の欲しい家庭も。
考えさせられますね。
by ヤマカゼ (2019-05-03 06:05) 

Rinko

日本でも養子縁組や里親制度がもっと一般的になるといいなと思います。

by Rinko (2019-05-03 07:42) 

pn

司法ってなんとなくだけど信用できなくないですか最近特に。
それは置いといて、えーっと、何て名前だったっけかな?外国の子供救おうってやつ。それはそれで素晴らしいと思うんだけど自国の子供をまず何とかしようよと言いたい。
by pn (2019-05-03 08:42) 

Take-Zee

こんにちは!
まだ連休は続いていますね・・
さすがに10日間は長いです!

by Take-Zee (2019-05-03 15:52) 

ヨッシーパパ

ドラマや映画でも取り上げている作品がありますね。
最近のものでは、「さくらの親子丼2」で取り上げられていました。
by ヨッシーパパ (2019-05-03 19:06) 

ナベちはる

法を犯したがゆえに見直されて新しい法律が出来る…
法を犯さざるをえなかった環境、考えさせられてしまいますね。
by ナベちはる (2019-05-04 00:55) 

トメサン

ご訪問ありがとうございます。
切実な法整備を含め、なんらかの契機にふれ傍観者を決め込むという態度はなかなかとりにくいことです。当事者だったり業務に関する事ならなおのことだろうと思われます。やるべきことをやり批判は受けて立つべきでしょうね。
by トメサン (2019-05-04 13:59) 

kou

家の実家は法的なことは別として、幼児や乳児を破格な料金で個人的に預かっていました。中には高校を卒業するまで居た子もいるので、自分の家では無いみたいな気がして、自分は家を出てしまいました。
いろんな家庭の事情があったとは思いますが、明らかに法律違反でしたね、これは・・・。
by kou (2019-05-04 18:57) 

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