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『喜劇駅前探検』トメを取った山茶花究の役者生活ハイライト

『喜劇駅前探検』(1967年、東京映画/東宝)を鑑賞しました。毎度おなじみ、森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺主演の群像喜劇ですが、オープニングの出演者クレジットで、主演並みの「トメ」に抜擢されているのが、3月4日が祥月命日の山茶花究(1914年4月1日~1971年3月4日)です。



『喜劇駅前探検』は、喜劇駅前シリーズの第20作目(全24作)。

原作が桑田忠親の『日本宝島探検』(光文社)。脚本は、作家や司会者として活躍した藤本義一(1933年1月26日~2012年10月30日)。監督は、小津安二郎を師事した松竹出身の井上和男です。

藤本義一
Google検索画面より

喜劇駅前シリーズといえば、男性陣だけでなく、女優陣も淡島千景、淡路恵子、池内淳子と3人がレギュラー出演していましたが、この年に淡路恵子が萬屋錦之介との結婚で休業したため、代わって野川由美子がレギュラー入り。さらにこの作品には中村メイコも出演しました。

その中村メイコが、当時の東宝昭和喜劇映画の魅力についてこう語っています。
戦前、東宝はP・C・Lといっていましたが、その頃からアメリカの映画会社のようにモダンで、喜劇作品ばかりを撮る会社でした。「これからは喜劇の時代、明るくて斬新なものをやらなければ」と考えていたんですね。戦後もその路線は変わらず、だから「社長シリーズ」や「クレージーシリーズ」が出てきたんですよ。豪華な大作というのではなかったけど、出演されているのは森繁久禰さんを筆頭に、芸達者な方ばかり。バイプレイヤーも含めて、あれだけの顔ぶれを揃えることは、今はできないでしょうね。それが東宝のカラーだったんだと思います。(中略)軽妙で、こじゃれているんですよ。単なる「おふざけ」じゃなくて「大人のジョーク」なんですよね。演じる側も見てくださる方も、それが心地よがったんだと思います。(『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』Vol.10より)

端的にその本質をついていて、マニアならうなずけるコメントです。

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あらすじネタバレ御免


山師(森繁久彌)、考古学者(フランキー堺)、質屋(伴淳三郎)、作家(池内淳子)の4人は、割烹旅館女将(淡島千景)の家から出てきた古文書に書かれている、豊臣家の軍資金三万七千両の埋蔵金を目当てに、旅館の地下を掘ります。

一方、女将は当初埋蔵金採掘に加わらなかったのですが、ペテン師グループ(三木のり平、山茶花究、砂塚秀夫)の口車に乗り、こちらも競うように採掘を始めます。

途中、それぞれ仲間を出し抜いていろいろ努力もするのですが、結局埋蔵金は出てこなかったという話です。

森繁久彌の妻役に京塚昌子、息子役に松山英太郎、伴淳三郎の後妻役に中村メイコ、埋蔵金の発掘場所を告げる祈祷師姉弟に野川由美子と雷門ケン坊などが出演しています。

とくに森繁久彌の妻を演じる京塚昌子は、石井ふく子の世界である『肝っ玉母さん』とは全く違う、不平不満たらたらのヒステリーキャラクターで笑えます。

役者の格付けで大きな位置づけの「トメ」


当時の映画は、役者の格がはっきりしていたので、作品のオープニングで、誰がどの順番でどの位置で表示されるかが重要でした。

それで、この『喜劇駅前探検』ですが、トップはもちろんこの3人です。

喜劇駅前探検トップ
『喜劇駅前探検』より

そして、女性陣の大物たちは、まとめて4人が2番手に出ていました。

喜劇駅前探検2番手
『喜劇駅前探検』より

そして、主役並みの大物のボジションである「トメ」(出演者の最後に表示されること)には、三木のり平に加えて山茶花究が抜擢されています。

喜劇駅前探検トメ
『喜劇駅前探検』より

山茶花究。読めますか。

ヤマチャカキュウではありませんよ。

エラの張ったギョロ目で、神経質で嫌味な悪役がはまり役でした。

山茶花究
Google検索画面より

東映の実録映画の悪役のような、プレッシャーを感じる強面ではありませんが、東宝の明るく楽しい社風には、ちょうどいいカタキ役のキャラクターだったと思います。

森繁劇団にいたこともあって、森繁久彌主演の喜劇駅前シリーズ、社長シリーズなどにも多数出演しましたが、もともと確固たる左翼思想をもち新劇志向でした。

『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』には、三木のり平の息子である小林のり一のインタビューで、山茶花究は撮影現場では不機嫌だったと書かれています。

いつも演技について悩んでいたのかもしれません。

バイプレーヤーが多かったのですが、レギュラー出演していたこの喜劇駅前シリーズは、淡島千景や池内淳子ら大物女優を抑えて、後半からこの「トメ」に位置するようになりました。

山茶花究は、『女は二度生まれる』(1961年、大映)でNHK助演男優賞を取っていますが、主演実績の豊富な芸達者がこれだけ揃った喜劇駅前シリーズで「トメ」をとれたのは、役者生活のハイライトと言ってもいいのではないでしょうか。

テレビでは、『青春とはなんだ』(1965年10月24日~1966年11月13日)『これが青春だ』(1966年11月20日~1967年10月22日)『でっかい青春』(1967年10月29日~1968年10月13日)と、東宝/日本テレビの青春学園ドラマに3作連続出演。こちらもすべてカタキ役でした。



私もそうたくさん観たわけではありませんが、映画を何本も鑑賞していると、監督や脚本家、さらにこうしたバイプレーヤーの仕事を、「点」ではなく「線」で追ってみたい、という気持ちになります。

これからは、山茶花究が出演した他の作品も鑑賞してみようと思います。

喜劇 駅前探検 【東宝DVDシネマファンクラブ】

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


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