So-net無料ブログ作成

東宝青春映画(ドラマ)が野球を題材にしない理由

スポーツ

東宝青春映画の人気作品だった、『日本一の若大将』について昨日書きましたが、若大将シリーズにしろ、1960年代中盤から始まった東宝制作・日本テレビ放送の青春学園ドラマにしろ、いろいろなスポーツに若者が取り組んでいますが、なぜか野球だけは出てきません。今回、若大将シリーズの岩内克己監督の話で、その理由がわかりました。

『リオの若大将』(1968年、東宝)のDVDを観ていたら、『社長になった若大将』(1992年、TBS)に出演した、せんだみつおと美栞了が、若大将シリーズのメイン監督だった岩内克己氏とともに、シリーズのロケ地をいろいろ巡り、当時のエピソードを話すという特典映像がありました。

岩内克己
『リオの若大将』DVD特典映像より

一行は、若大将が通った京南大学のロケ地である、東京農業大学の大教室へ。

そこで、せんだみつおが、若大将のようにドカベンを食べながら3人で話をするシーンとなり、さりげなく、興味深い話題になりました。

その部分、書き起こします。
---------------------------------------------
せんだ「加山さんが、映画の中でいろいろなスポーツやるじゃないですか。すると、その年、必ずそのスポーツが流行ったっていう……」
監督「流行ったって言うより人気は出たよね。『エレキ(の若大将)』のときはアメラグだしね。その頃、アメラグなんて誰もしらないんだよね」
美栞了「じゃもう、一躍それで知られるようになって」
監督「次はフェンシングがあって。フェンシングなんてね、誰もなんにも関心ないのに、フェンシングが話題になったり」
せんだ「その後、プラスアルファで卓球でもやらせればよかったですね」
美栞了「いいと思いますよ」
せんだ「(監督の方を見て)ダメ?」
監督「ダメ。球が小さいのは、藤本(真澄)さん大っ嫌いなの」
せんだ「プロデューサーが」
監督「プロデューサーが」
せんだ「プロデューサー、球小さいの嫌い」
監督「ホッケーやろうって言ってたわけ。ホッケーで1回組んだんですよ。(親指と人差指で輪を作り)こんなちっちゃいやつ、よせって(笑)」
せんだ「映画っていうのはプロデューサーの一言で、どっちにでも転んじゃうっていうのは……」
監督「サッカーは大きいからね」
せんだ「あの頃、サッカーと言ったら、時代的にまた早いですよね」
監督「全然はやってない」
せんだ「最後に逆転満塁ホームランを打てばいい、という劇的なシーンも撮れるんだけど、野球というのはないんですよね」
監督「球ちっちゃいから。藤本さん、小さい球だめだって」
美栞了「謎に思っていた部分が、全て解けましたね」

たまちっちゃいから
『リオの若大将』DVD特典映像より
---------------------------------------------------------------------------
若大将シリーズで行われたスポーツは、水泳、拳闘、マラソン、ヨット、水泳、アメリカンラグビー、乗馬、スキー、サッカー、柔道、水上スキー、スキューバダイビング、モータースポーツ(ラリー)、陸上、フェンシング、スケート、スカイダイビング、オートバイ等です。

唯一、『ブラボー!若大将』(1970年、東宝/岩内克己監督)だけは、球の小さいテニスで、しかも、若大将が解雇されたり、女性にフラれたりと、いつもと違う作り方でした。

心地良いマンネリを壊してしまったことが、シリーズの“終わりの始まり”を感じたのか、客の入りが激減し、翌年に若大将シリーズは終了してしまいました。

若大将の撮り方が青春学園シリーズに継承された


上記の話について、どうして私が興味深いと思ったかといいますと、若大将シリーズを語る上での興味深いエピソードであるとともに、60年代~70年代の日曜20時に、NHK大河ドラマのライバルとまでいわれた、東宝が制作して日本テレビが放送していた、青春学園ドラマにもあてはまることだったからです。

青春とはなんだ(1965年~1966年)……ラグビー
これが青春だ(1966年~1967年)……サッカー
でっかい青春(1967年~1968年)……ラグビー
進め青春(1968年)……サッカー
飛び出せ!青春(1972年~1973年)……サッカー
われら青春!(1974年)……ラグビー

全作でメガホンをとった高瀬昌弘監督によると、「選手がボールを持ってグラウンドを走り回るラグビーは、選手とボールを同じ画面内に収めることができるため、他の球技と比べて、非常に画作りがしやすいスポーツ」と回答しています。
http://www.tokyo-sports.co.jp/blogwriter-takagi/637/

要するに、小さい球は動きが速いので、画作りがしにくいということだったのです。

といっても、野球を題材とした映画やドラマはたくさんあります。

ですから、作品として使えないということではなく、藤本真澄プロデューサーの狙いに合わず、その意図がテレビドラマの制作にも継承されていた、ということなのだと思います。

青春学園ドラマのマニアの間でも、しばしばこれは話題になっていて、放送する局が日本テレビだから、『巨人の星』と被らないように、野球を避けているんじゃないか、という推理もありました。

でも、それなら、岩内克己監督ではありませんが、ホッケーでもいいわけで、小さい球を除く、というのは若大将シリーズ以来の東宝作品の伝統だったということが今回明らかになったわけです。

かつての名作を収録したDVDには、特典映像がつくことがありますが、本編だけで満足してつい見過ごしてしまうこともあります。

これからは、特典映像もしっかり鑑賞します。

『リオの若大将』本編もいずれ記事を書きたいと思います。

【若大将シリーズ関連記事】
『大学の若大将』高度経済成長の日本に全面開花した青春喜劇
『銀座の若大将』星由里子の澄ちゃん、今回も嫉妬で若大将困惑
『日本一の若大将』悪気を知らず友だち思いの明るく楽しい青春

リオの若大将 [東宝DVDシネマファンクラブ]

リオの若大将 [東宝DVDシネマファンクラブ]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


スポンサーリンク↓


[編集]
共通テーマ:映画
Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます