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『渡る世間は鬼ばかり』主婦が働くことを悩む長山藍子、中田喜子

渡る世間は鬼ばかり

『渡る世間は鬼ばかり』第一シリーズ(1990年10月11日~1991年9月26日、TBS)を、約半分の26回まで観ました。今のところ、「嫁姑」「○○家の跡取り」「女性(とくに主婦)が働くこと」「子育て」「熟年夫婦の定年後」という5つのキーワードでドラマが展開されていますが、とくに前者3つに力が入っているのがこのドラマの特徴で、それらは橋田壽賀子自身の体験に基づいた“ライフワーク”なのかもしれません。(画像は劇中より)




先日、2度にわたって、『渡る世間は鬼ばかり』第一シリーズの第1回~第3回について振り返りました。

『渡る世間は鬼ばかり』養子縁組を考える、藤岡琢也、山岡久乃
『渡る世間は鬼ばかり』相続と泉ピン子、赤木春恵、角野卓造

そのときのテーマは、岡倉次女(泉ピン子)の結婚した中華料理店・幸楽の「相続」と、岡倉四女の「養女」問題でした。

その後、第7回で、幸楽の主人(佐藤英夫)が亡くなり、相続の問題が現実のこととなります。

渡る世間は鬼ばかり

主人の妻の赤木春恵と、店を切り盛りしている次女・五月(泉ピン子)の夫・勇(角野卓造)以外に、2人の娘(沢田雅美、東てる美)にも相続の権利があります。

土地に12億の値打ちがあるので、2人に法定の相続分相当を現金で渡すことは難しく、店を処分する以外にないところまで来ましたが、土壇場で2人の娘が相続を放棄したことで一件落着、という展開です。

五月(泉ピン子)夫妻ですら、近所のアパートで暮らしているところを見ると、そう広い土地ではないと思われますが(20坪ぐらい?)、ドラマでは土地の値段を実勢価格ベースで話し合っているので、いずれにしてもやや数字を盛っているのかな、という感じもします。まあドラマですから数字は派手な方がインパクトありますしね。

それだけの相続資産もない私には、いずれにしてもピンと来ない話ですが、2億もらえるとなると、普段店も手伝わず親孝行もしなかったくせに、権利を主張したくなるものなのでしょうか。

働く主婦に立ちふさがるふたつのパターン


そして、もうひとつの大きなテーマである「女性(とくに主婦)が働くこと」ですが、岡倉長女の弥生(長山藍子)と、三女の文子(中田喜子)が抱えています。

看護学校出身の弥生(長山藍子)は、上の娘が高校生、下の息子が中学生となり、看護師として働くことにします。

しかし、夫(前田吟)は、妻を働かせるのは男の沽券に関わると考え、「専業主婦が婚姻時の約束だった」と反対。母親を家政婦としか考えていない子どもたちも母親の言うことを聞かず、非行にも走ります。

もっとも、弥生は「いい学校に入れる」ということばかりに夢中で、人として大切なことを子どもたちに教えてこなかったので、子どもたちの態度は身から出た錆という面もあります。

大阪の長男夫婦と同居する夫(前田吟)の母親(杉山とく子)だけが、弥生(長山藍子)に理解を示しています。

一方、文子(中田喜子)は、もともと食品会社の研究職で働いていて、営業の夫(三田村邦彦)とは職場結婚。

働くこと自体は、夫(三田村邦彦)も了解済みです。

しかし、姑(河内桃子)がチクチク嫌味をいうのです。

文子(中田喜子)は、そんな母親であることを見透かして結婚当初から同居を拒んでいましたが、仕事が忙しいため十分に一人息子の子育てができず、仕事を辞めるか、仕事を続けるなら姑と同居をするかという選択を迫られ、結局姑の住む実家に同居することに。

しかし、姑(河内桃子)はアンフェアな人で、その条件で同居をしたくせに、孫が「お受験」の方針についてこないと、文子が仕事をやめないことが悪いと、孫の前で文子の悪口を言う最悪な態度を取ります。

それと並行して、岡倉の妻(山岡久乃)は、独身である四女(野村真美)、五女(藤田朋子)に「岡倉家の跡取り」という責任を課して娘たちと言い争ったり、岡倉大吉(藤岡琢也)の、板前への転職に「外聞が悪い」と腹を立てて家出したりしています。

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人間の心をスポイルする「外聞」と「欲得」


家庭のトラブルというのは、もっとほかにもあるのでしょうが、少なくともこのドラマを見ていると、現象としては様々なトラブルに見えても、その根本は、メンツだの、家柄だの、跡継ぎだのといった「外聞」と、お金や名誉に目がくらむ「欲得」が元凶なんだなあと気付かされます。

生きている当事者の自己実現よりも他人の評価を大事にする「外聞」や、身の程にそぐわない「欲得」を求めるというのは愚かな人生です。

そもそも、家制度は法的にもとっくに否定され、今や家族制度も、「事実婚」や「夫婦別姓」を求める潮流によって、質が変わりつつあります。

「ナニナニ家」だの「跡取り」だのと、いつまでも旧弊な価値観に人の生き方をはめ込もうとしても、結局誰も幸福になれないでしょう。

私など、火災を経験して、少なくとも物質的なものを失っただけで、そんなものはいかに小さなどうでもよいことであるかがわかりました。

家族の健康と家庭の平和さえあれば、人間は満たされるものだということに気づくはずです。

気づかないのは、たぶんその部分は満たされた苦労知らずなんでしょうね。

リアルで見ていた時は、いつもギスギスした問題ばかり起きて、何か馴染めないドラマだなあと思っていました。

が、歳をとってから改めて観ると、いささかステレオタイプのところはありますが、冒頭に書いたような、家庭にありがちなテーマが散りばめられていて、少なくとも第一部については興味を引く作り方をしていると思います。

それとともに、役者が巧いんでしょうね。

とくに、藤岡琢也、山岡久乃、赤木春恵のベテランが安心してみていられます。

藤岡琢也と山岡久乃は、実生活では子どもがいなかったのに、さすが役者だなあと思います。

メイキングで、野村真美や藤田朋子がトチると、藤岡琢也が物凄い形相で睨みつけるシーンを観たことがありますが、真剣勝負で芝居を作っている時に流れを壊すようなことをするな、という藤岡琢也の教えだったのだろうと思います。

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